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カテゴリ: Science
「代替医療解剖」(サイモン・シン&エツァート・エルンスト、新潮文庫)を読む。

主に鍼・ホメオパシー・カイロプラクティック・ハーブ療法を例として、代替医療が本当に病気の治療に効果があるのかどうかを、臨床試験や<科学的根拠にもとづく治療>といった現代(西洋)医学の観点から論じた1冊。

結論から言ってしまえば、本書で取り上げられている代替医療はほとんど科学的根拠がないか、治療上の効果がないか、あってもごくわずかであり通常の医療のほうがより効果的であるかであり、代替医療については概ね否定的な見解が述べられている。しかしそれは科学的見地からのものであるので、不当に代替医療を貶めるものではないし、医療といったものは当然科学的に理解しなければならないので、賢い患者であるためには本書のような論評に触れることは重要なことであろう。

それにしても容易に想像されることだが、本書の訳者文庫版あとがきによると、本書の出版を巡り著者のひとりシンは英国カイロプラクティック協会により法廷に訴えられたとのことである。結局勝訴に終わったとのことで一安心であるが、本書を科学的・客観的に読むことができず感情的に読んでしまう人(特に代替医療のセラピストやその患者)にはなかなか受け入れられないこともあろう。しかし、それではいけないし、そうではないのである!代替医療もきちんと臨床試験を経れば通常医療として認められるというのが著者や他の多くの医師・医学研究者の意見なのであるから。

さて、以下面白いと思ったエピソードをピックアップしてみよう。まずは、鍼と言えば中国発祥と思っている人が多いが、実はこの治療法の最古の証拠は中部ヨーロッパで見つかったものだとのことだ。あと、1996年にコロラド在住のエミリー・ローザという女性が、9歳にして、人間の<エネルギー場>を検出できるというセラピストたちの主張を科学的実験により否定し、2年後に論文にまとめたのが、査読付き医学論文執筆の最年少の事例であるという。これは凄い!それから、本書は英国チャールズ皇太子に捧げられているが、彼は代替医療の唱道者のひとりであり、科学的見地によらない代替医療を通常医療と同様に推進することが患者のためになるという誤った信念を持っているという。そして、単に生まれが良かったという理由だけで、代替医療界に大きな影響を及ぼしているという。これはまさかと思った。今後チャールズを見る目が変わるな、と。

最後に例によって引用を幾つか。



(ヒポクラテス)

「逸話の複数形はデータではない」

本書には、誰にとっても大切なことであるにもかかわらず、たいていの人にとっては学ぶ機会のなかった、医療に関する基本的な考え方や最新の情報が盛り込まれている。ジェイムズ・リンドと臨床試験、ナイチンゲールと統計学など、医療の歴史を彩るさまざまなエピソードを楽しみつつ、現代人に必要な医療リテラシーを身に付けるための一助としていただけるなら、訳者としてこれにまさる喜びはない。
(訳者あとがきより)


これで今年26冊目読了。


代替医療解剖/サイモン・シン&エツァート・エルンスト






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Last updated  2015.04.25 05:00:26


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