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カテゴリ: Book Review
「お台場アイランドベイビー」(伊与原新、角川文庫)を読む。

近未来の東京・お台場の直下で大地震が発生してから4年、元刑事の巽が不思議な少年・丈太と出会う。彼の知られざる出自は、近年起こっている「震災ストリートチルドレン」の失踪と関連しているらしい。元上司の鴻池と協力し、子供たちの行方を追っていると、震災がきっかけで完全封鎖されたお台場に手がかりがあることが判る。さて、巽と鴻池は子供の失踪の謎を解けるのか、という近未来SFアクション小説である。

大震災という突発的な自然現象による危機だけでなく、「コロニー」と呼ばれる居住区(スラムみたいなもの)が都市の中に形成されていたり、強権的で独裁的な都知事が登場したりと、現在の社会の延長線上にありうる近未来の東京都心の姿もリアルに印象的に描かれている。勿論、巽と丈太の人間関係の発展、謎に包まれた丈太の出自、封鎖されたお台場の真実など謎解き要素も多くちりばめられていて、近未来SFとしてだけでなくミステリとしての完成度もかなりのものだと思う。

個人的には、作中に登場する地震学者の名前が「和達」であることにニンマリしてしまった。伊与原は地震学が専門ではないが東大・地惑のドクターを出ているので、ひょっとしたら「和達」の名前はわざとなのかも知れない。

以下、面白かったところの引用。





「人道的兵器? そんな言葉には騙されへんど。矛盾する単語を二つくっつけとるやないか!」


「地球とか星とか宇宙とか、そういうものを研究してやろうって人間には、大きく分けて二種類いる」
「二種類?」
「『ロマン派』と『数式派』です。昔、私が大学で教わった先生が、そう言ってました」
「『ロマン派』はなんとなく分かりますけど、『数式派』っちゅうのは…?」
「なんていうかなあ、自然を理屈とか数式で説明したいという欲求だけが、研究の原動力になってる人、でしょうか。物理とか数学を駆使して、定式化したりモデル化したりすることに、たまらない快感を覚えるという―」
「そういう変態が、いてるんでっか?」巽は本気で驚いている。


最後の引用箇所は特に印象的だった。

今年66冊目。


お台場アイランドベイビー/伊与原新





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Last updated  2015.11.13 17:38:06
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