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カテゴリ: Book Review
「記憶をコントロールする―分子脳科学の挑戦―」(井ノ口馨、岩波科学ライブラリー)を読む。

【事の発端】
最近、脳科学に興味がある。特に、記憶に関することに。そのしょうもないきっかけは、私の頭の中で久松郁実さんの笑顔とDEENの「瞳そらさないで」が結びついて離れなくなったという体験である(​ ココ

【調べたこと】
とはいえ、脳科学なんて門外漢。最初は心理学かなと思ってそっちの入門書にも当たってみた。勿論、記憶に関する記述もあったが、ふとしたことで「脳科学なのでは?」と思って調べ直してみた。すると、別冊日経サイエンスでそういったことの特集号が出ていたことを発見。2冊読んでみて大体の雰囲気は掴めた。現状の脳科学でどこまで判っているかが見えてきた。そしてその中の記事のひとつを書いていたのが、本書の筆者・井ノ口馨氏。それで本書を読んでみることに。

内容的には、既述の別冊日経サイエンスのものと大体同じで、一般向けに易しく書いてある感じ。例えば、独立した2つの記憶は繰り返し想起で増えていくオーバーラップしたセルアセンブリによって関連付けられるとか、強烈な体験の前後の些細な出来事も長期記憶することがあるとか(行動タグ)、その行動タグは「シナプスタグ」という生化学的メカニズムで説明できるとか、こうした研究は「光遺伝学(オプトジェネティクス)」という新しい実験技術によって可能になったとか…。

でも、なかなか【事の発端】を説明できるような現象には行きつかず…。

【現状の結論】
本書の最後の方に、こんな記述があった。これは私が求めているものにかなり近いと思って読んだのだが…。

しかし、肝心なことがまだ分かっていないのです。私たちが記憶と言った時に想起するのは、心の現象としての記憶です。たとえば、デパートで売っている赤いセーターを見た時、若い頃に初めてデートした際に彼女が赤いセーターを着ていたのを思い出すといったような、いかにも記憶らしい記憶があります。(中略)あるセットのニューロンの活動がなぜ、赤いセーターと彼女との初デートをつなぐ心の現象としての記憶になっているのか。そこのメカニズムが解明できない限りは結局、記憶の本質を理解したことにならないのです。

そっか、この「心の現象としての記憶」というのは、まだメカニズムが判っていないのか…ちょっと残念。でも、方向性としては合っていたし、今後この分野の研究が進めば解明される日が来るかもしれない。ここしばらく門外漢の脳科学を素人レベルでだけど追究してみて良かった。

もう1か所、引用。

官僚や政治家たちは研究の意義がよくわからないままに予算を削りますが、一旦資金を削られてしまうと、研究を元の軌道に乗せるまでに気の遠くなるような時間がかかるのです。





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Last updated  2019.01.29 09:21:30
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