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カテゴリ: Book Review
「スティーヴン・キング―恐怖の愉しみ―」(風間賢二、筑摩書房)を読む。

こういったキングの評伝が何冊も出ていることは勿論知っていたが、実際に読んだことはなかった。だが、近所の図書館で偶々この手の本を(しかも2冊)発見し、これは読まねばと思って早速借りて読んでみた。三部構成の本書は、第一部が幼少期から学生時代・赤貧時代を経て「キャリー」でのメジャーデビュー、そこから「レギュレイターズ」「デスペレーション」の姉妹作に至るまでのキング史を編年体で記述、第二部は筆者・風間賢二氏のメイン州探訪記、第三部はいわば「文学としてのスティーヴン・キング」評論といったところである。

私も長年キング・ファンであるので、各作品の前書き・後書き・解説などでキングの歴史の大体のところは知っていたが、こういったまとまったもの(特に編年体で書かれたもの)を読むとよりスッキリ理解できるし、この本自体が面白い。

キングにしてもホントに何もないところから創作しているわけではなくて、私が最も怖い作品(勿論好きな作品)だと思っている「ペット・セマタリー」にしても、実際にキングが愛猫を輪禍で亡くした体験からスタートした作品だということは初めて知った。他にもそういう例は多く紹介されていて、キングの日常(の向こう側)を見る目がいかに卓越しているかが改めて思い知らされる。

あとは「キャリー」以前にキングが4つも長篇を書いていたこと、映画「スタンド・バイ・ミー」の大ヒットは原作がキングであることを隠すような宣伝によるものであること、70~80年代のキング原作映画の興行成績のトップ3は「シャイニング」「ペット・セメタリー」「スタンド・バイ・ミー」であること(「シャイニング」はあのダメなヤツなのだが)など、知らなかった事実がいろいろあって興味深い。

第二部のメイン州探訪に関しては、私も一度は行ってみたいと思っていたのでその思いが半分叶った気がする。キングの生家や現在の家、その周辺の街、デリーの給水塔、キングの球場「フィールド・オブ・スクリームズ」が写真付きで紹介されている。勿論、キングと風間氏のツーショット写真も。まぁ決して観光地ではないメイン州ではあるが、キング・ファンにとっては正に聖地で、故にこの第二部は風間氏の「聖地探訪」なのである。

第三部は既往のホラーや文学の中にキングがどのように位置づけられるかという、ややアカデミックな話で、引用もとのホラー作品の知識や文学の知識(まして海外文学)に乏しい私には、ここでうまく説明できないが、とにもかくにもキングは多くの評者の論評や考察の対象となるほど多方面に影響を及ぼしているのだということを再認識した。今では日本でもキングに影響を受けた作家(例えば辻村深月)とかロックバンド(私はロックは詳しくないので名前は挙げられないが)とかがたくさんいる。そのベースとなる部分を本書執筆時点のキングは既に築いていたのである。

あと、風間氏と白石氏ってやっぱり仲良しなんだ~と思った。

以下、印象的な箇所の引用。

作家に生まれるのではなく、作家はそうなろうとする強固な意思によって作られるのだ。

優秀な理科系人間(科学者)は、想像力を持ち合わせているがゆえに、破壊活動よりも創造活動に向かうものなのだ。真の科学者は詩人の精神を有する。

「ホラー・コミックスは、善の力によって悪は罰せられるといったロマンチックな考え方の断末魔の吐息なんだ」(『映画館のスティーヴン・キング』)



(下の左の写真が本書)









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Last updated  2019.02.24 06:09:52
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