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カテゴリ: Book Review
「ひらあやまり」(嬉野雅道、角川文庫)を読む。

すっかり私も虜になり生活の一部となってしまった「水曜どうでしょう」のカメラ担当D「うれしー」こと嬉野さんのエッセイ。独特の語り口で独特の人生観・仕事観そして世界観まで語ってしまっている。そして何よりその独特の文章が上手い。

例えば「はじめに」で書かれていることは、旅先の東京のホテルでコーヒーの紙フィルターとノートPCを紛失したことに気づいた、というだけの内容なのだが、小説でも日記でもない、かといって既往のエッセイでもない、「嬉野流」としか言えない表現がなされている。

そしてこの本を貫くのは、何かとギスギスしている現代社会における生き方指南といったら大袈裟だが、何かそんなものである。この本を読んでいて何となく連想したのは、私が愛してやまない鷺沢萠さんの短篇集「海の鳥・空の魚」である。どちらも、上手くいかない状況においても結局は自分らしくやるのが一番だと勇気づけてくれるところが共通項なのかもしれない、というか間違いなくそうだ。

まぁ一言だけ言わせてもらえば、こういう人生論的な文章を読むと、いくら会社員とはいえカメラマンをやってる人とデスクワークばかりやっている事務やSEの人ではやっぱり違うな、そのまま私の場合にはあてはまらないな、と思うことがあるということだ。

それでもこの本は面白い。それも抜群に。そういえば「水どう」絡みでは大泉さんと藤村さんのエッセイも読んだが、その印象を(誤解を恐れず)端的に書くと、

大泉さん→ただのバカ
藤村さん→それとは別種のバカ
嬉野さん→半歩下がって何か悟りめいたものに辿り着いている賢人かもしれない人

という感じである。ミスターこと鈴井さんのエッセイはまだ読んだことがない(小説はある)ので、是非読んでみたいなぁ、というのもあるな。

以下、この本の印象的なところを引用させてもらう。

ここまで去り難く懐かしいと思えるこの世界とはいったいどのようなものなのか、そして「いよいよ」というときにならなければ、その懐かしい気持ちが素直に湧いてこない我々人間は、この世界にとっていったいどのような存在なのか、と。

ただずっと「行かなきゃ……」っていう思いだけを抱えて生きている。

この手持ちの資産だけで、最大の効果を発揮させる。それが自分の仕事。

「立ち止まれニッポン」

​
ひらあやまり /嬉野雅道





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Last updated  2019.03.30 19:28:26
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