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カテゴリ: Book Review
「心理学的にありえない(上・下)」(アダム・ファウアー、文藝春秋)を読む。

人の心理を視覚や聴覚で感じることができたり、また操作することができたりする超能力者「エンパス」を題材にした作品。心理アナリストのイライジャと天才ヴァイオリニストのウィンターはそれぞれエンパスであり、それ故に巨大な陰謀に巻き込まれてゆく。陰謀の黒幕は、従来のキリスト教の神を否定する教義を唱える新興宗教の教祖ヴァレンティヌス。彼もまたエンパスであるのだが、この3人の意外な繋がりが子供時代にある。そして、ヴァレンティヌスの究極の目的達成を阻止するためイライジャとウィンターが戦いを挑む。

構成としては前作「数学的にありえない」と同様に、短い章ごとに視点人物を変えて、次々と新事実を描いていく。それと同時に大きな流れとして、現在から過去、そしてまた現在に戻ってきて、最後の最後にまた過去に戻るという形になっている。この「最後の最後の過去」が何というか凄い!ホントに最後の最後まで楽しめる作品だ。

設定的によく似たキングの「ファイアスターター」の名前が作中に登場。実際、ファウアーは影響を受けた作家のひとりにキングを挙げている。

以下、印象的な箇所の引用。神を信じぬ私としては、どうしてもヴァレンティヌスの台詞からのものが多くなるが…。

「運命ってやつはアバズレ女だってことさ」

なぜなら、創造主が教義の裏に真実を隠したからだ。

「では教えてほしい―あなたたちに怖ろしい災難がふりかかったとき、神はどこにいたのかな?」

「わたしたちがエゴを持っているのは、神もまたエゴを持っているからだ。事実、神が自分自身の出自を隠し、自分こそが唯一の真の創造主であると詐称しているのは、そのエゴゆえだ。
 しかし、実際にはもうひとりいるのだよ。真の神が」





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Last updated  2019.05.23 16:05:19
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