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カテゴリ: Book Review
「小説 映画どらえもん のび太の月面探査記」(藤子・F・不二雄;辻村深月、小学館)を読む。

ドラえもん好きを公言する作家・辻村深月がドラえもんの小説を書いたと知った時から「これは是非読まねば」と思っていた。そしてようやく読むことが出来た。

事の発端は月探査機から送られてきた不思議な動画のニュース。空気のない月に風が吹き砂嵐が舞っているようにみえる、というもの。しかしのび太はと言えば「月にはウサギがいる」という説を好み、それが原因で相変わらずジャイアンやスネ夫と衝突する。そこでドラえもんの道具を使って月面に「ウサギの国」を作る。

ちょうどその頃のび太のクラスにやってきた不思議な転校生・ルカは実は月面人で、遠い昔宇宙の遥かかなたカグヤ星から月に移り住んだのだとか。ルカ一族は不思議なエネルギー「エーテル」を持っており、それが軍事転用されるリスクから両親が星外に逃し、1000年も月に住んでいたのだ。しかしカグヤ星からの追手がついに月に迫ってくることに。のび太たちと力を合わせてカグヤ星の支配者ディアボロと戦うことになるルカ一族。果たしてその結末は…。

勿論私も小さいころからドラえもんの映画は沢山観てきたので、小説を読んでいても頭の中で映画として再生されているという感覚で読めた。ひとつには辻村が細部にわたって歴代の映画ドラえもんを意識して執筆したからである(とファンならば判る)。登場人物の性格から起きる出来事、ストーリーの裏にある深遠なテーマなどなど。

本作で言えばテーマは科学技術、地球環境とエネルギー、戦争と平和、AIによる人間の支配、そして勿論出会いと友情、悲壮なる決意…と書いてみればまさに現代の地球と社会そのものであることが判る。こういうことをアニメで子供に理解させちゃうところがドラえもんの凄いところだ。そしてその影響をどっぷり受けて育った辻村が描いた小説版のドラえもん、これも勿論凄い。たまたまではあるが、環境活動家のグレタさんが話題になっている昨今、この作品は子供たちのための科学や環境の教科書としてもいいかもしれない。

最後に、印象に残った箇所の引用。今回は主に台詞から。

「しずかちゃんの言う通り。ガリレオが地動説を唱えた時も、最初は異説として誰も信じなかった。だけど、今ではそれが定説になってる。人間の歴史はそれぞれの時代の異説が切り開いてきたようなものだよ」

「想像力は未来だ!人への思いやりだ!それをあきらめた時に、破壊が生まれるんだ!」

「だってボクたちには想像力があるんだから」






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Last updated  2019.12.13 08:18:46
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