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カテゴリ: Book Review
「わるい夢たちのバザール2 夏の雷鳴」(スティーヴン・キング、文春文庫)を読む。

2分冊短編集の2冊目。巻末解説にもあるし私も読んでいてそう思ったのだが、ホラーではなく文芸色・文学色の強い作品が多いのと、老人を主人公に据えた作品が多い。キング自身も老齢の域に達したということもあるが、「子供や若者vs悪の化身」的な昔ながらのキング作品を期待すると若干肩透かしを食らう感じがする(まぁそっちのほうは長編で、ってことで)。

で、印象的だった作品をいくつが挙げれば…。

「鉄壁ビリー」…野球好きのキングが描く野球小説。舞台は昔々のメジャーリーグ。急遽獲得した捕手ビリーが天才的なブロック技とバッティングでチームとファンを狂乱させる、が…意外過ぎるオチがまたキングらしい。

「死亡記事」…生きている人間の死亡記事を書くとその人が実際に死ぬという、いわばキング版「デスノート」的作品。私は「デスノート」の中身はちゃんと知らないが、この作品の死亡記事は思わぬ副作用を持っていて…ホラーらしいホラー、キングらしいホラーという本作品集では珍しい作品。

「酔いどれ花火」…独立記念日に避暑地の湖を挟んで対岸の家族同士が花火の打ち上げ合戦をするという、「合法的ならば私もやってみたい」と誰もが思うような話。主人公母息子は「成金」、対するはホンモノの金持ち一族(”コネ”を持っているヤツら)という構図で、毎年エスカレートする花火合戦。「バカ話」だが、これまた意外な結末が。

「夏の雷鳴」…表題作。にして「このタイミングで」と思う核戦争による終末後の世界を描いた作品。「ザ・スタンド」を彷彿とさせるが短編なのでそこまで大仕掛けではない。その分、終末における人間というものを丁寧に描いている。「地球最後の日に何をする?」というパーティートークのネタもキングの手にかかればこうなる、って感じ。

以下、気に入った箇所の飲用。

「おれはコメディが好きなんだ」
「じゃあ、鏡に映った自分の顔を見るのが好きなんだな」
(『鉄壁ビリー』より)

「変えられるものを変える勇気を、変えられないものを受け入れる冷静さを」
(『ミスター・ヤミー』より)

「死んで地獄に落ちたら、真っ先にあなたはサタンに賄賂を握らせようとするでしょうね」
(『苦悶の小さき緑色の神』より)

時間と潮の干満、そしてインターネットは待ってくれないからだ。それに女性も。
(『死亡記事』より)





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Last updated  2021.01.12 13:32:40
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