最近の関心事・思う事

最近の関心事・思う事

2018.04.27
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今年の1月~3月頭までに観た映画の個人ランキングは以下の通り。前回までに☆3と☆4、そして☆4.5の評価をした映画のレビューを書いてきた。今回は☆5をつけた映画「 アマデウス 」のレビューを書く。


まずはランキングのおさらい。

アマデウス>>>ある公爵夫人の生涯>クロムウェル(1970年)>>>マリー・アントワネットの首飾り=仮面の男(1998年)=モリエール 恋こそ喜劇=ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路=君の名は>危険なプロット=危険な関係>ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い=宮廷画家ゴヤは見た>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>花咲ける騎士道

☆5:アマデウス

☆4.5:ある公爵夫人の生涯、クロムウェル(1970年)

☆4:マリー・アントワネットの首飾り 、仮面の男(1998年)、モリエール 恋こそ喜劇 、ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路、君の名は、危険なプロット、危険な関係、ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い、宮廷画家ゴヤは見た

☆3:花咲ける騎士道


・「 アマデウス ディレクターズカット版 」

やっと最高評価☆5を付けた「アマデウス」のレビュー。

前回から随分と日が空いてしまった。視聴したのは、前の仕事を辞めてプラプラしていた極寒の頃の1月上旬~月末。何でこんなに間が空いてしまったか。
記憶が薄れるので、本当はDVDを返却する前に映像を見ながらレビューを書きたかったが、その後も2月は主に18世紀ヨーロッパが舞台の映画を、3月~4月は三銃士関連の映画を借りて観まくっていたので書く時間が無かった。

しかし先に三銃士映画のレビューを書いてしまい、それを掲載する前にどうしてもこちらを書き終える必要があった。
一番評価の高い映画なのに何故こんなに書き渋っていたか・・
登場人物の画像も掲載するつもりだったので、それを考えようとするとうまくまとまらず後回しになってしまった。

映画自体は中学生位の時にテレビで放送されていたのを見たことがあった。当時(1991年)はモーツァルトが亡くなって200周年だったからか、モーツァルトが盛り上がっていたように思う。

当時の私は「カッコいいモーツァルト」を期待していた。そういう理由で当時はそれほどこの作品は気に入っていなかった。モーツァルトを見るのが目的だったので、皇帝も記憶に無かったし、サリエリは名前しか記憶に無かった。

何か別映画のモーツァルトの方が顔が良かったように思うが、その映画だかドラマだかのタイトルが思い出せない。アマデウスと同時期に西ドイツで制作された映画「くたばれアマデウス!」かと思っていたが、それも違ったようだ。

私の記憶の中では、カツラのモーツァルトが遊び仲間と裸でグラヴサンを弾いている姿があったが、そんなシーンは見当たらない。私の記憶違いだろうか?

私が知る限り、一番ビジュアルがイメージに合っているモーツァルトは
以下のドイツ制作のドラマだ。放蕩児・モーツァルトの感じが良く出ている。

その1
その2
その3

上記ドラマに出て来るヨーゼフ2世は似てないけど次点かな(一番は「 アマデウス 」)。
他のドラマでは、「この肖像画のヨーゼフ2世で、このキャスティング?」と思うようなオッサン俳優が演じていたりする。
モーツァルトの父・レオポルドは、「 アマデウス 」と、少し前にレビューを書いた「 ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路 」がイメージに合っている。

今年に入って、この映画のヨーゼフ2世が肖像画にそっくりであることをネットで知り、DVDレンタルした。借りたのはディレクターズカット版。劇場版はDVDをひっくり返さないといけないらしく、それが自分のPCで再生出来るものか不安だったのでディレクターズカット版にしたが、意味を分かっていなかった。

公開当時、「このシーンは無くていいだろう」とカットされた部分が、20年の時を経て日の目を見ることになったのがディレクターズカット版だ。何がカットされていたかというと、コンスタンツェの上半身ヌードであったり、沢山の犬を飼っている金持ちの家のシーン、
楽屋のシーン等だ。幸いなことに皇帝の登場シーンでカットされたものは無かった。

高評価の一番の理由は、今年に入ってからヨーゼフ2世(マリー・アントワネットのお兄さんでオーストリア皇帝)が気になっているから。
この映画のヨーゼフ2世の顔と外見がえらい好みなんだが・・


演じているジェフリー・ジョーンズは、今年69歳になるうちの親父よりも3学年も年上だった!
1984年の作品だから、プラハで撮影されたのは1983年頃か。今年41歳になる私が幼稚園児の頃じゃん。
何でこんなに年が離れているのだろう。



サリエリが作曲した、宮廷音楽家としてのモーツァルトを歓迎するための「歓迎のマーチ」を、皇帝自らが演奏。この映画での彼は音楽的才能は無いようだ。





「後宮からの逃走」の上演場面。



この皇帝と、18世紀ヨーロッパ上流階級のカツラ・衣装があってこその高評価!
(この時代のカツラを「変なカツラ」とか「カツラがキモい」と言ったり、「カツラを被らない方がいい」と考えていたり、近世であるこの時代を「中世ヨーロッパ」と言っている人とは合わないので話したくない。「この時代が退屈で苦手」と思っている人も理解出来ない)逆にナポレオンの時代の衣装が地味で好きではないわけだが。

上記の私の好みが全て反映された作品だったことを踏まえた上で、高評価を付けたその他の理由として、登場人物の人間模様が日本の会社のそれに似ているからだ。日本人にとって非常に入りやすい作品だ。私に限らず多くの日本人が思った事だろう。

ストーリーを簡単に・・

19世紀初頭(1823年)、真冬のウィーン。
ある屋敷で老人(老サリエリ)が自殺未遂を起こすところで物語が始まる。
冒頭から「モーツァルトの交響曲第25番」が流れ、インパクトバッチリ。

ココ ​をクリックすると、曲が聞けます。

翌日、老人は「狂人」として精神病院に収容される。
自殺未遂をした際、「自分がモーツァルトを殺した」と叫んでいたため、
何か懺悔することがあるだろうと若い神父が老サリエリの元を訪ねる。

老サリエリはモーツァルトのことを語りながら、過ぎ去った18世紀を回想する。

サリエリの少年時代は音楽とは無縁だった。イタリアで家業をしていた父親は音楽には無理解。
ヨーロッパを家族で音楽演奏しながら周る、モーツァルト一家を羨ましく思っていた。
モーツァルト少年はサリエリにとって憧れの存在だった。

時は流れ、縁あって宮廷音楽家として、ヨーゼフ2世皇帝の音楽教師も務めるようになったサリエリ。
順風満帆に思われた。

当時、オーストリアの宮廷オペラは、イタリア語が大活躍。音楽家もサリエリ・ローゼンベルク・ボンノを始め、イタリア人が幅を利かせていた。しかし多くのイタリア人を囲うとお金がかかる。「国民の為にドイツ語でオペラを上演したい」と考える皇帝の思いから、ドイツ人の才能あるモーツァルトが宮廷音楽家として大抜擢された。


イタリア人音楽家達が警戒するのは当然だ。今まで甘い汁を吸ってきたのに立場を追われるかもしれない。
余談だが、この映画に登場するイタリア出身の音楽家(サリエリ・ローゼンベルク・ボンノ)は、本国イタリアではかなり真面目な方だと思われる。

モーツァルトは周囲の嫉妬に対して無警戒過ぎたのか、「出る杭は打たれる」羽目になる。

↓以下のように例えると分かりやすいだろう ※日本の会社に例えただけなので本気にしないで下さい。



ヨーゼフ2世
・・父から会社を引き継いだ若手社長。新しい考えや空気を積極的に取り入れていこうと意欲満々。



宮廷音楽家のサリエリ
・・売上No1のデキル営業マン。若手にして大昇進を果たす。周囲に気を使うことも上手でここまでのし上がってきた。モーツァルトの登場で自身が苦労して築き上げてきた立場を追われるのではないかと恐れ、彼に嫉妬をするも、一方で自分には思いつかない自由な発想が出来る彼を内心では評価している。



ヴォルフガング=アマデウス・モーツァルト
・・才能を見込まれ、ヘッドハンティングされた若者。やる気と自信に満ち溢れている。しかしその自信の高さからか失言が多く敵を作ってしまう。




左・・劇場監督のローゼンベルク伯爵、右・・宮廷楽長のボンノ

劇場監督のローゼンベルク伯爵・・父の代からの役員で、能力もあるが、それ以上におべんちゃらでここまでのし上がってきた。考えが古く、新しいものや自身の理解出来ないものを受け入れられない頭の固い人物。態度のデカイモーツァルトが気に入らない


宮廷楽長のボンノ・・ローゼンベルクといつも行動を共にする役員で、社長へのごますりで甘い汁をすする。新しいものを受け入れるのに抵抗があるものの、ローゼンベルク伯爵とは違いおっとりした性格。




スヴィーテン男爵
・・役員。能力のあるものは年齢関係無く評価する。モーツァルトの能力を認め、管理職と大きなプロジェクトに大抜擢。好人物だが、品性を重んじるせいか、少々お堅い。



宮内長官のフォン・ストラック伯爵(皇帝の隣にいるハゲたカツラの人)
・・役員。新しい考え方を取り入れることも必要だと考える中立的な立場だが、優しい人物というわけではない。

その他の登場人物・・



オペラ女優のカヴァリエリ
・・モーツァルトに惚れるも、コンスタンツェと結婚すると知り、モーツァルトをぶん殴る。



コンスタンツェ。堀ちえみに似ていると思う。
・・モーツァルトの若妻。モーツァルトの評判を上げる手助けをしたいと思っている。



モーツァルトの父・レオポルド



初登場シーン。怖い・・これが後の話に繋がってくる。



後ろの青い服の男は、遊び仲間のシカネーダー。
落ちぶれたモーツァルトに、大衆オペラの作曲(魔笛など)を依頼。


他にメイドのロールという少女も出て来るが、あんま興味無いので写真無し。

折角サリエリがモーツァルトのために作った「歓迎のマーチ」を、モーツァルトが上手にアレンジして皆の前で披露。
皇帝や他の音楽関係者たちの前で恥をかかされた上、好意を抱いていたオペラ女優まで取られる始末。
サリエリの嫉妬は最高潮に達する。


それにしても、サリエリの世渡りのうまさに関心する。
自分の不利にならないよう常に計算して振る舞う。例えば、モーツァルトには理解のある優しい人物であるように見せかけ、一方ではモーツァルトの活躍を阻むネガティブキャンペーンを展開する。


例えば、皇帝が姪のエリザヴェートの音楽教師にモーツァルトを雇い入れたいと考えていたが、「えこひいきと思われるので慎重に」と釘を刺す。言われた皇帝は、モーツァルトを雇うことを前提にしつつも形ばかりの「審査」を行う。
大人しく従っていたら音楽教師になれただろうに、サリエリの読み通り「自分を雇うのが当然だ。審査なんてばからしい」と反発するモーツァルト。結局審査をボイコット。


皇帝直々の音楽教師であるサリエリは、皇帝と朝食を共にする程の間柄。モーツァルトはどうか?と聞かれて、「同じ音楽家の悪口は言いたくないです」と前置きをしつつも、彼は教え子にハレンチな事をするので、若い女性と二人きりにしない方がいいと皇帝に告げ口。

この作戦が功を奏し、モーツァルトは皇族の音楽教師の座に就くことは出来なかった。


サリエリの復讐は止まらない。
モーツァルトの浪費癖に付け込み、メイドを雇う余裕のないモーツァルト夫妻の元に、メイドという名の「偵察」を送り込む。モーツァルトの行動を観察し、弱点を握るためだ。

天才だが、大雑把な性格のモーツァルト夫妻は、「モーツァルトのファンが給料を支払うから」とやってきたメイドを、何の疑いも無く歓迎する。


このメイドからの情報で、モーツァルトがオーストリアで上演が禁止されている「フィガロの結婚」のオペラを書いていることが明らかになる。




皇帝を始め、音楽関係者から問い詰められるモーツァルト(メイドが密告したと考えない当たりが、天才ゆえの隙有状態)。

それでもモーツァルトの熱弁で皇帝を説得、どうにか公演に漕ぎつける。

懲りないサリエリは、皇帝がオペラにバレエを入れることを禁じていることを利用し、分かりやすくモーツァルトを嫌うローゼンベルクを上手くけしかけ、自らの手を汚さずに制作を妨害。バレエのシーンに音楽を入れることが出来なくなった。



しかし前例のないフィガロの結婚の上演に、上手く行くか心配した皇帝がリハーサルを観に来た。



皇帝が、フィガロの結婚のバレエのシーンだけ不自然に音楽無しなのを見て、「サリエリどう思う?」と問いかける。⇒「私がどう思うかよりも、陛下のご意思です」と答える。うまいな。自分がモーツァルトを陥れていることを本人や周囲に悟られないための言葉運びも完璧だ。

結局バレエのシーンも曲を付けることが出来るようになった。


しかし、サリエリの「悪運」が強かったのか、せっかく皇帝が才能ある若者の能力を潰さないようにと、「フィガロの結婚」の上演許可を出したものの上映時間が長く、皇帝やその他多くの聴衆の好みに合わなかった。サリエリの圧力で、上演は9回で打ち切りに。

何故「フィガロの結婚」がたった9回の公演で打ち切りに?とサリエリに問いかけるモーツァルト
⇒「陛下に限って言えば長すぎたのだよ」と答える。自身がモーツァルトを非難していると悟られないよう、直接的な回答は避け‏る。

しかしモーツァルトは「あなた(サリエリ)はフィガロの結婚を観てどう思ったか?」と問いかける。
⇒サリエリは真剣な顔になり「見事だった」と答える。これは本音だ。

サリエリの暗躍があるものの、モーツァルトは自爆していく。

まだまだサリエリの復習は続く・・
ここまで書くと、サリエリはかなりの悪人みたいだし、実際悪人と言えるだろうが、モーツァルトの活躍を妨害しつつも、彼の才能に興味津々なサリエリは、自分の手で打ち切りにした作品も、全ての回をこっそり観に行っていた。メイドを使った偵察も妨害が第一の目的ではあったが、同時にモーツァルトのことをもっと知りたいという思いからでもあった。

そんなある日、モーツァルトの父・レオポルドが亡くなる。直後に上演された「ドン・ジョヴァンニ」で、サリエリは天才・モーツァルトの決定的な弱点を知ることとなる。

モーツァルトは父を恐れていた。自由を愛するモーツァルトは父親を愛してはいるものの、模範的な生き方を押し付け、「自分の教育があってこその才能」とばかりに恩を着せる父の存在が重しになっていた。亡くなった今も彼の中で父による精神支配が続いていた。

あの仮面パーティーの日に偶然見かけたモーツァルト父子の姿に着想を得て、サリエリ最大の復習が始まる。

1791年、モーツァルトは謎の死を遂げた。

老サリエリの回想が終わった。
彼はモーツァルトの死から32年経った今も、自身の犯した罪に苦しんでいたのだ。

自分の曲を愛してくれたヨーゼフ2世は既にこの世にいない(1790年病死)。
あの頃有名だったサリエリは、どんどん人々から忘れられていき、
今では彼の曲を知る者は誰もいない。

しかしモーツァルトは今でも人々の心の中で生き続け、曲が語り継がれている。


最期に・・モーツァルトがもう少し謙虚で金銭感覚もまともであれば、この映画の結末にならなかったかもしれない。モーツァルトは、サリエリも自分のことを嫌っていると分かっていたが、「嫉妬する」という感覚を持ったことがないせいか、裏で暗躍する陰謀に気付けなかった。

世渡りが上手いに越したことはない(私が言うか?という感じだが)。そうすれば死ぬまで「いい生活」が保障されるからだ。
皇族の音楽教師の審査や、犬好きな金持ちの家の娘の家庭教師をすることの何が不満なのか現代に生きる私には分かりにくい。大人しく従っていれば、豪華な装飾の家に豪華な衣装、召使いに豪華な食事が手に入るのに。何故わざわざ「身の破滅」と「生活の困窮」を選ぶのか・・

恐らく、21世紀の日本に生きる私から見たら「素敵」だと思う18世紀のブルジョア以上の西洋人の暮らしも、モーツァルトにとっては「現代」なので、封建的で時代遅れに感じていたのかもしれない。

それは現代の日本社会で働く私が感じてきた「女性の扱い」や「古い体質」に不満を抱いているように。

詳細は映画を見てみて下さい。






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Last updated  2018.07.05 11:27:12
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