結果的に私にとって至高の1本になってしまった」と結んだのだが、この作り手に関してはネット黎明期以前に廃業してしまったため、殆ど情報が無く、どちらかというとキワモノに近い為か、その後全く見かける事は無く、もう二度と飲めないだろうと思っていた。ところがひょんな事から VT は違うがこのワインをもう一度飲める事になり、更に別の線からこの作り手について知る事が出来た。まずはこの作り手の情報から。
1823 年に創設された Laboure-Gontard を基にこのエチケットに書かれている御当主が 1983 年に改称、産するワインは Nuit 、 Haute Cote de Nuit, CdV に加えて Crement 。メタヤージュと推測していたが cuverie も持っていたようだ。樽の写真から新樽は使ってないように思える。 唯一記述のある Clive Coates 著の中に記載されているところだと完全徐梗、長期 maceration との事。 CdV の畑の位置は中程から下部( R. Parker による) CdV の畑は約 0.6ha だから大凡 4000 本位作られていたのだろう。とま、大体これ位に要約される。
さて肝心のワインだが、前回飲んだ 94 より一回り古く40年近く経っていて香りに少しカディラが出ていてワインは下降曲面に入っている事が窺える。口に含むと赤果実を感じる事は出来ないが綺麗な酸が適度に残っていて果実の潰れた暗黒さは全くない。そして何よりも澄みを感じさせる。これは新樽を使わず完全 徐梗で 果実の甘みがストレートに残っている為であろう。可愛らしさが残った老婆とでも形容できるだろうか。ふと後当主の面影を感じたような気がした。
このドメーヌ、 Madame の死去で 94 年を最後に売却。コートドールの畑と Crement の畑( Rocheport )は分離され、このドメーヌは消滅、 CdV の地主としてブルゴーニュの歴史本にも記載されている由緒有る Laboure-Gontard の名は今は Crement 専門のメゾンとして残る。これは商標として価値が有ると見られたからであろう。
感傷的になる訳ではないが、このワインを飲みながら栄枯盛衰の無情を少し感じていた。このドメーヌにはこれで思い残す事は無い。
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