タイ万華鏡ー3
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バンコクで初めてこれを見た人が殆どびっくりした。この「カイピング」(焼きタマゴ)売りは、約10数年前田舎から来た歩き商人は始めた。炭火の網の上に置いた卵、言われる「カイピング」を見たことがないバンコク人は理解できなかった。常識では卵を割ってフライパンなどで焼いてたべるが、殻のままで炭焼き。。。?このために、買う人が多かった。どんな卵になるのか、味は大丈夫なのか、ゆで卵と違ったのか等々の複雑な気持ちで買ったが、食べてみると納得!「なるほど、卵だ!」、「ゆで卵と違って、うん、美味しい!」。。。 現在街中どこでも「カイピング」を売っている屋台がある。しかも、始めたころのようなただの卵ではない。もう一種類、串にさした殻づき卵は現れている。これも不思議!どうやって殻を通して串が挿したままでできるのか!串に挿した丸ごとたまごは「カイパーム」と呼ぶ。イーサーン地方の卵おやつ。 生卵を穴あけして中身を出して溶き香辛料や調味料等で味づけしてから、また中へ入れかえす。そして、そのままを蒸して中ができたら冷ます。冷えたら串でその穴に差し込んで反対の方へ(穴が開かなかった)刺し通す。(このために、冷えなかったら殻が割れてしまう恐れがあるということ)挿し終えたらもう一度網焼きにする。この炭焼きによって味と香るが増す。不思議な美味しさがゆで卵も、オムレツも、目玉焼きもない! 街角での移動商人は、カイピングの他に、カウニャウピング(バナナの葉っぱで包みもちこめ)、マンピング(芋)、クルオイピング(バナナ)等々の、「焼きながら熱いうちに食べて美味しいおやつであれば、売ってる」屋台。 バンコクの北側のランシット区に住む人は「カイピング怪人」が知らない人はいないだろう。ランシット大学の入り口の手前の道端に「カイピング・ソンクルオング」(=特製カイピング)という看板がオートバイの前に張ってあった。そのそばにカイピング串が網にかかって、その売るひとは、カイピングより凄く目立つ! よそから通りかかる人は一見したらもう一度わざわざと戻って見に来る人が多い!気違いの人では?。。。かなり年配だし、派手なネクタイのバーテンダーの姿で両耳が大きな輪のイアリングしている。 数年前新聞に紹介されたから、遠く来る客も多くなったという。売り上げも倍となった。8年前この商売を始まった。そのきっかけは30年も連れ添った奥さんは糖尿病苦で治療費がないため、なんとかしなきゃ、思いついた一番簡単で安い経費はこの「カイピング」だと、二人ともイーサーン出身なので難しいことがないという、始まった。当初は洋服はぼろぼろだし汚くて見る人には可哀想に思われた。買ってくれた客があまりいなくて、ある日一人のリピータがスーツのセット(5ピースのスーツ上下、ワイシャツとネクタイ)、ソックスと皮靴まで持ってきてくれた。次の日はまた2、3、着目を持ってきて「好きなように使いなさい。あまり乞食みたいな姿では人が寄ってこないし、売れないよ」と言われた。 帰宅その晩、奥さんと相談した。翌日は勇気をもって生まれて着たことのないワイシャツ、ネクタイ、皮靴まで(それまでは裸足にゴムサンダルだった)ちゃんと着てあの同じ道端の「お店」に出た。周辺の住民、通りかかる勤め人や大学生、どんな人もまた、ビックリした。「あのおじいさんは可笑しい!」と、また寄ってきて見る。しかし、話かけてみると普通のおじいさんだし、まじめに商売しているから、買ってくれた人が殆どだった。その日からは完売!帰宅はいつもより早くて不審に思われた奥さんに必死に説明した。それではと、倍数のを作ろうと、奥さんは元気に味付けを協力してくれた。 その後、他の客もたびたび、ネクタイやら、ワイシャツ、靴を持ってきてくれた。今は2百本のネクタイ、ワイシャツは百数枚、靴は10数足もっている。毎日ネクタイを日ごとの色に結び(タイでは月曜日から日曜日まで一週間、日ごとの色が決まって、縁起のいい意味でその日にその色を着るといい事があると信じている習慣)、長い髪の毛はちょんまげ風に結び、いつもの場所でまじめに「カイピング」を売っている。 現在毎日限定での200本を売れ、3000バーツの収入になった。(一本15バーツ=約50円)月にしては約90000バーツ(約30万円)ですので、大卒の初任給の約9倍くらい!普通の中堅サラリーマンより2~3倍の給料となった。身振りは派手ですけど、と、よく客に言われたが、怪人はこう答えた。 「別に裸でもないし、悪いことでもないし、盗んだものでもない。皆が楽しませるためにもなるので、また、人がくれたもので、その気持ちを感謝してできるだけ着るようにするため、毎日ネクタイでも色を7色に循環していく。スーツは熱いので、中だけでもできるだけ着る」と。 街の話題になった人物で、問い合わせが多いため新聞まで取材された。
2011.01.24
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