オトコマエを見かけてん。ラッシュアワーの駅の階段で。
顔は、十人並みやったな。
身長は、170センチ代。
別に脚は長くなかったで。
すれ違う女の子が振り向いた?
それも、ないな。
なんやねん、それ。
あんねぇ、駅の混雑した階段を昇っとったんよ。
ほんでね、すぐ近くで女の子の小さい声が聞こえたん。
ストッキングにローヒールの。
「あっ」て。めっちゃ小さい声が。
靴のサイズがほんのちょびっと大きかったんやね。
かたっぽの靴が階段の、その子の足のいっこ下の段に残ってん。
脱げてもうたんやね。
ほんならね、彼女の真後ろから登ってきてた男の子が、スッっと脱げたその靴に手を添えて、女の子が上げた足を戻して靴を履くんを黙って手伝ってあげたんよ。
ほんまにスッとね。
スマートに。
お陰で二人の後ろに続いとった人らは足踏みもなくて。
全然乱れんと階段を昇れたんやわ。
混んでたのに。
二人は連れでもなんでもない。たまたま前後に居合わせただけ。
女の子は、ちゃんとお礼言うたで。声はやっぱり小さかったけどな。
そのまま何食わぬ顔で、改札通ってそれぞれの行き先へ。
平日の朝にジーンズにスポーツバッグでラフなファッションの子やったけど、ごっつい紳士やったわ。
メス化する男子、言われてるけど、まだまだオトコマエはいてる。
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