濫読屋雑記

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2006年07月21日
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テーマ: お勧めの本(8118)
水曜日のお話の続きで、「 もうライトノベルと馬鹿にしないで! 一介の学校図書館司書の思いを代弁してくれているブックガイド&ヤングアダルトサービスの手引き書の紹介を続けて書いてみたいと思います

では、二度目になりますが今日紹介する本がこの、 金原瑞人 監修『 12歳からの読書案内 』(すばる舎、2005年)です。

12歳からの読書案内

前回は、最後に「本当は、この後最後の第9章と続くのですが、 面倒になってきたので、 、後日、第5章から紹介&解説を始めていきたいと思います。」と書きましたが、 一々各章、各節ごとにアレコレ書いていると時間もかかりますし、短気な私もサッサと次のネタへと移りたいので手抜きでいきます 。期待していた人(多分、十中八九いないと思いますが)、ご免なさいね。

「いのち」の重みに気づく本 自分の生き方を見つめ直す! という副題がついています。この第5章は1節だけで、「 ひとりじゃない 」という見出しで始まります。

その第5章の最初に紹介されているのが、 森達也 さんの『 いのちの食べかた 』です。この本は、「 明日から世界を見る目が変わるかもしれない 」という見出しから始まります。そして、詩の本の内容とは・・・。私たちが日々何気なく食べているお肉、牛・豚・ニワトリ、これらの動物たちが一体年間どれくらい食肉として消費されているか?という疑問を切り口にして「 いのち 」について「 ちょっと深く考えさせてくれる本 」です。さらに「二色刷りでイラストも豊富。」お値段も定価が1,000円とお手ごろで、 次回の選書に入れようと考えている1冊です

いのちの食べかた

ここでは書きませんが、食肉を作る(変な表現ですが)食肉処理場ではわずか数十秒で1頭の牛の命を奪い、血を抜き取り食肉へとバラバラに解体していきます。この『 いのちの食べかた 最初のあたりで、みんなの口に入る肉が作られていく過程が、まるで目にみえるかのように描かれていく。牛が殺されて解体されていく過程を、これほど具体的に客観的に説明した、子どもの本には今までお目にかかったことがない。 」と評価されています。そして、それだけではなく、 食肉に関わる職人さんたちの心情 や「 その素晴らしい技術 」についてもキチンと描写されているそうです。

そして、 学校図書館に関わる人にチェックを付けて欲しいのは 、この本には「 生き物を殺すことによって世界を支えてきた人々に対する差別についても、詳しく書かれている 何故差別が生まれるのかについても、わかりやすく書かれていることです 。子どもは「ザンコク」な生き物でもあります。それは、なにも知らないことから来ること「無知」によるものや、考える力が無いためです。よく、アフリカでは年端のいかない少年兵が銃を持って戦闘に参加させられています。そして、彼らが残虐な行為を頻繁に引き起こすのです。そのことについても、この本を読んで「 自分が誰かを殺さねばならい瞬間を、人はいつのまにか忘れてしまうからだ。忘れているのに知ったつもりになる。だから間違う・・・ 」この言葉をよく噛み締めて考えてください。金原さん曰く「 過去と現在と未来 」「 考え方について 」そして「 生き方について 」の本だそうです。私も1回、是非読んでみたいと思いました。

最後に本からのメッセージを引用してみましょう。「 人は愚かだと昔からよく言われていたけど、知っていることを間違えるほど愚かじゃない。知らないから人は間違う。知る気になれば知れるのに、知ろうとしないこともある 」・・・。このメッセージから皆さんは何を思い感じましたか?

さてさて、毎度の事ながら前振りが長くなりましたが、本当に紹介したかったのは、「 もうライトノベルと馬鹿にしないで! 」の本題の部分、第6章の 「冒険」の楽しさを味わう本 「未来は自分で切りひらく! 」です。ここは、2節に分かれているのですが、最初の「 不思議な世界へ旅立とう 」では、何とイの一番に 時雨沢恵一 先生の『 キノの旅 』が登場してくれているのです。さすがは、 ライトノベル界に超然と佇む巨大な塔ですね


キノの旅
そんな、『 キノの旅 』の紹介は「 奇妙なルールの世界を旅して 」です。ご存知、主人公 キノ は旅人です。自分で、同じ町には3日間しかいないというルールを作って、旅を続けています。旅の相棒はコレマタ有名な エルメス 君。ちょっとどころではない生意気なしゃべるモトラド(注:空を飛ばないバイク)にまたがり、 キノは美しくも残酷な世界を旅していきます

ところで、 私たちの住む現実社会にも奇妙なルールは沢山ありますし、変な(狂信的な)考え方を持っている人々も沢山います 。しかし、宗教者でもない限り、 それらを正していくのは大変ですし、それを正すほど「自分が正しい」と言い切れる人はいないでしょう )。『 キノの旅 ではそのような人間社会の複雑怪奇で絡まりあった「厄介さ」を「わかりやすく解きほぐしてくれる」本だと紹介しています 。そして、その手段として 時雨沢 先生は、 短編連作という小さなエピソードを使う事によって、「人間社会のやっかいさを一つ一つ描いていくのだ」そうです

個々のエピソードは、作品を買って読んで頂ければ良いので省略しますが、 どのエピソードも、人間社会の歪みを映し出しています 1つの国に3日間しか滞在しないと決めているキノですので、それらの歪みを訂正することなく、ただの目撃者、あるいは傍観者 (時には騒動に巻き込まれますがね。キノの師匠のように・・・。でも師匠は動くトラブルメーカーか。) として、その町にいるだけです 私たちは、キノやエルメスの目線や感情などの表現を文章を通して考える事により、その町の「歪み」を解決しなくてはいけないのです

最後に、本からのメッセージは「 止めるのは、いつだってできる。だから、続けようと思う 」だそうです。 キノ らしい言葉ですね。紹介者の ひこ・田中 (児童文学作家、『 ごめん 』の著者)さんは良く分かっていらっしゃいます。

ということで、この後 雪乃紗衣 さんの『 彩雲国物語(はじまりの風は紅く) 』も紹介したかったのですが、字数制限が出ましたので、また次の機会に譲りたいと思います。





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最終更新日  2006年07月22日 01時55分52秒 コメント(4) | コメントを書く


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