濫読屋雑記

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2007年05月16日
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カテゴリ: 映画鑑賞
え~、 公共図書館というところは、土日も開館しないといけないので、どうも曜日の感覚が狂っていけません 。おまけに、シフトによっては平日2連休という週もあるので、 今日が何曜日か、一々新聞やカレンダーで確認をしている今日この頃です

さて、今日はそんな世間一般が平日の休みの日にレンタル屋へ行って借りてきて鑑賞したDVD、『 砂漠のライオン についていつものようにダラダラと紹介and解説をしていきたいと思います

この『 砂漠のライオン 』は1981年に ムスタファ・アッカド 監督の指揮の下、撮影された史実に基づいた映画です。



オマー・ムクター らの指導の下、激しい抵抗運動を展開し、イタリアのリビア統治は苦難の連続という泥沼に陥ってしまいました。ところが、1922年、イタリアでファシスト党の ムッソリーニ が政権を獲得、一大ローマ帝国を築こうと野望に燃えていた ムッソリーニ は、1924年にはユーゴからフィウメを併合、続いて1926年にはアルバニアを保護国化するなどしてファシズムの旗を地中海沿岸に拡大しようとしていました。 そんな ムッソリーニ とって一番我慢ならないことが、リビアでのベドウィン族の抵抗運動でした

そこで、頭にきた ムッソリーニ は大軍をリビアに投入し、鎮圧作戦を実施していましたが、ついに1929年、第1次世界大戦の英雄 グラツィアーニ将軍 をリビアの司令官に任命します。彼は後に「 虐殺者グラツィアーニ 」と呼ばれるほどの過酷なゲリラ掃討作戦を実施します。 グラツィアーニ はまず、 近代兵器を砂漠へ投入します 。史上初の戦車の砂漠での作戦行動の実施。航空機による無差別爆撃。毒ガスの使用等々。さらに、毛沢東の格言「 ゲリラとは人民という海を泳ぐ魚である 」という考えを逆手にとって、ベドウィン族の村や耕作地、井戸を破壊し、反乱分子を躊躇なく処刑し、その他のベドウィン族を強制収容所に隔離してしてしまいます。当然、 人権の欠片もないイタリア軍の手による強制収容所では、栄養失調者や病気で死者が続出、この残虐なゲリラ鎮定作戦を列強は イタリア式 」と呼んで眉を顰めました。

この 残虐で近代的な合理主義者 グラツィアーニ将軍 に頑強に抵抗し、リビアのベドウィン族の指導者、 オマー・ムクター たちは果敢にゲリラ戦を展開していく、というのが映画のあらすじです。

6,5mmのカルカノ・ライフル で、 このライフルは日本の三八式歩兵銃より古いという代物 。そして機関銃は故障だらけの ブレダ社製の機関銃 (この機関銃、撃ち終わった薬莢をもう一度保弾版に戻すという摩訶不思議な機能が付いていてこの複雑怪奇な機構が故障の原因となったのです。まぁ、日本人も11年式軽機関銃で弾倉を作るのがもったいないといって、小銃実包をクリップのまま使える様にした軽機関銃を作っているので、他国の事はどうこう言う資格はないのですが)、さすがに映画の中では調子よく火を吹いてベドウィン族をなぎ倒していましたが・・・。それから、イタリア軍の装甲車や戦車の出来の良さ!とくに戦車は、イタリアがフランスのルノーFT型戦車をコピーして作った フィアット3000突破戦車 (戦車といっても当時のトラックの荷台に乗るようなちいさな二人乗りで、しかも重機関銃が1丁しかないという貧弱なものですが・・・)が本物そっくりなのには驚きましたね。さらに、 当時のイタリア軍の制服など、小道具も当時の写真や映画 (ファシストは宣伝を重視していたので、このような映像資料がたくさん残っていて、映画を製作する際の参考になったそうです) そっくりに作られていて、違和感がない仕上がりとなっています

このように、 空からは戦闘機が空爆を行い、野砲が援護射撃をする中、戦車の支援を受けて攻撃するのですから、小銃ぐらいしかもっていないベドウィン族に勝ち目はまずありません。それに対して、どうのような戦法で オマー・ムクター の指導するゲリラがイタリア軍と戦っていくのかが、この映画の醍醐味のひとつだと思います

こうして、 グラツィアーニ将軍 オマー・ムクター の指導するゲリラを追いつめていくのですが、相手はゲリラ、舞台は広大な砂漠、包囲しようとしても山岳地帯に逃げ込まれ、中々、掃討する事が出来ません。そこで、 グラツィアーニ ムッソリーニ に直訴して「 古代のハドリアヌスの城壁 」の近代バージョンを提示、これを実行に移します。これは、英国保護領であるエジプトとの国境に海岸線から本当の不毛の地である「砂の海」まで鉄条網で国境を封鎖、ゲリラへの物資の補給を完全に遮断するという作戦でした。こうして追いつめられた オマー・ムクター はついにイタリア軍に捕らえられ、ベンガジで軍事法廷にかけられた後に、公開処刑(絞首刑)に処され、映画はそれで幕を閉じます

さて、この映画を観ていて思ったことは、ゲリラの指導者、 オマー・ムクター に対して、 グラツィアーニ将軍 をはじめとする、幾人かのイタリア軍人が騎士道的精神をもって敬意を表するシーンが多々出てくる点です。これは、 まだ戦争に古き良き時代のロマンの香りが残っていたということなのでしょうか?興味深い点です 。監督の ムスタファ・アッカド 氏は、 歴史上に残る勇猛な戦いを演じた偉大なる2人の人物を描き出すことに本作は成功している 、なんて述べていますが、私は、どうも オリヴァー・リード 演じる グラツィアーニ将軍 が「 高慢なヨーロッパ人 」というような感じで鼻についたのは少々辟易しました。それに比べて、 オマー・ムクター を演じた アンソニー・クイン の演技は、 ゲリラを指揮するリーダーの苦悩や個人の持つ信念というものがにじみ出ていて好感が持てましたね 。それにしても、 アンソニー・クイン と本物の オマー・ムクター が本当に写真を見比べるとそっくりなのには驚きましたね。

それにしても、この映画を観ていて考えさせられたのは、当時のイタリアのスローガン「 ローマ帝国の復活 」が随所にお目見えしますが、よく考えてみると、 当時の日本も皇紀何年とか三韓征伐とか叫んでいましたし ドイツもキリスト教化される前のゲルマニア文匡ルーンの文字とか色々を利用していましたね このような先祖がえり的な症例はファシズム特有のものではないかな?と、少し思いましたね

あと、映画の中ではイタリア軍がリビアのベドウィンを人を人とも思わぬ所業を随所で行いますが、これも、日中戦争での日本軍の対八路軍作戦や、ナチスドイツがユーゴスラビアやロシアで行ったパルチザン掃討作戦を考えると、 対ゲリラ戦略は結局はそこに落ち着くのか、と考えさせられましたね 。アメリカもベトナムで、「 イタリア式 」に似た作戦(住民を一箇所に集めて隔離する作戦や枯葉剤の散布など)を取っていましたしね。そう考えると、 現在進行形で進んでいるイラク戦争やアフガニスタンで行われている対テロ戦争も結局は、イタリアのリビア制圧に似ている点があることに留意すべきかもしれませんね 。このように、 この映画は、簡単にファシズム国対被抑圧国という視点だけでみたらつまらないと思います 映画の中でも言われていましたが、憎しみは憎しみを生み、世代を超えて受け継がれていきます。一体、力の論理だけで何が得られるのでしょうか?そのような事を考えさせられる映画でした






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最終更新日  2007年05月17日 00時44分17秒 コメント(12) | コメントを書く


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