サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2006.12.08
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カテゴリ: 映画
 湖の話はひとやすみして、C・イーストウッドの話です。
 近ごろのアメリカ映画、ほんとにつまらなくなりましたね。9・11以降のアメリカの思考停止状態は、まだ続いているようです(もう5年前の事件ですよ)。私は彼が2003年のイラク戦争開始直後から、ブッシュの政策に反対を表明していたことに、かつてのアメリカの良心を感じます。「硫黄島」2部作がどんな戦争映画になるのかは知りませんが。
 今でこそ、中間選挙で共和党が大敗し、対イラク政策の抜本的見直しが進んでいるようですが、ラムズフェルドに代表されるネオコンの強面政策が幅を利かせて、その他の言論を(意気地なしとばかりに)封殺するような雰囲気があった中での発言だったから意味があるのです。この種のタフさこそアメリカ人だと思うんですがね。

 今やすっかり巨匠の雰囲気を漂わせて、アメリカ映画唯一の良心を体現しているように思える、この俳優兼監督。私にとってはテレビ映画の「ローハイド」でのロディ・イェーツ役、ちょっととぼけた兄ちゃんふうのカウボーイ姿がなつかしく、うちの母は当時彼のファンでありました(今はBSで再映してるみたいですね)。
 当時テレビといえば、アメリカ製のホームドラマ、コメディ、西部劇、ギャングものなどなど、午後5時にスイッチを押せば(5時まではテストパターン、放映してなかった)、ほぼ間違いなく、このどれかにあたるという時代で、前にも触れましたが、相当アメリカかぶれしていたものでした。なにしろ西部劇だけで、今思い出しても「ローハイド」を筆頭として「シャイアン」(C・ウォーカー)「幌馬車隊」(W・ボンド)「ブロンコ・ビリー」(O・マーフィー?)「ガン・スモーク」(J・ガーナー)「拳銃無宿」(S・マックィーン)…、ちょっとお子様向きでは「ララミー牧場」(淀川さんが解説してました)「ライフルマン」「ローン・レンジャー」「リンゴー・キッド」…これ全部西部劇ですよ。
 というわけで、小学校では放課後、麦わら帽子をカウボーイ・ハット(本当はテンガロン・ハットと云うそうですな)風につばを折り曲げたり、バンドを二重巻きにしてガンベルトよろしく片方を下にずらしたり、各自趣向を凝らした手製の拳銃(竹竿だの、三角定規だの、鉛筆のキャップを繋ぎ合わしたものだの)を持って、机の間を転がりながら撃ちまくる。相当やかましかったはずですが、不思議と先生はどなりに来ませんでしたね。

 したがって野球の王、長嶋と、西部劇のヒーローは等価でありました。織田信長の「桶狭間」よりは、W・アープの「OK牧場」ほうが身近にあったことを覚えています。チャンバラが学校で禁止されていたことを別にしても、時代劇は何となく陳腐なイメージだったような気がします。要するにカッコよくなかったのでした。
 テレビほどではないにせよ、当時の映画スターも西部劇が重要な役どころで、ハリウッド一の早撃ちはG・クーパー、ライフル銃のスターはJ・ウェイン、殴り合いならK・ダグラス、さらにはH・フォンダやR・ミッチャム、K・ゲーブル、R・ウィドマークなどなど、西部の砂埃にまみれた革のチョッキとジーンズの似合う俳優は沢山いました。今の俳優はハリウッドと云えども、ウェスタン・スタイルはちょっと想像できませんね。たった40年ほどですが何が変わったのでしょう。西部劇は映画発祥のときから、活劇の重要なジャンルだったはずですが。
 私は70年以降に作られた数少ない西部劇は、それまでの牧歌的な(日本風に云えば、髷もの的)語り口を奪われてしまったのではないかと思っています。一つにはネイティブ(先住民)に対するオールド・リベラルな贖罪感、J・フォードが60年代に早くも「シャイアン」で見せていましたが、ニューシネマ風の「ソルジャー・ブルー」以降、何となく牧歌的な西部劇は作れなくなってしまったようです。一つには観客の嗜好の変化もあったでしょう(アメリカの価値観がヴェトナム戦争で揺らいでいました)。



 というわけで、彼に対する関心は急速に薄れていったのですが、それと並行して彼が監督しだした初期の映画、ずいぶんとこれまたB級以下の作品ばかりで、何を血迷ったかと思ったものでした。トップスターが監督するというのは、当時でもP・ニューマンやR・レッドフォードなど、いくつかあったのですが、彼らの作品と比べるまでもなく、何を好んでこんな映画を作るのか、弱ったことになったと(関係ないのに)、かってに気を揉んだりしてましたね。
 そんな中で、彼の姿が焼き付いた映画がありました。「ハートブレイク・リッジ」です。海兵隊の古参兵(軍曹)役だったのですが、はじめのほう、酒場でMarines風の短髪に、例の皺だらけの横顔で座って、黙って酒を飲んでる彼の姿がずいぶんと新鮮で、久しぶりやないか!という気がしたものです。映画そのものは何の記憶もないのですが(要するにたいしたことはない)、この老け役の姿を見ているだけで、筋金入りの軍曹のニオイが出ていて(今となっては、それが彼の定番ですが)、とても気に入ったのでした。それまでのダーティー・ハリー的アクションを抜け出たのかな、と思ったのです。

                                      ― つづく ―





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Last updated  2006.12.09 10:45:29
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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