サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2007.06.19
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 「生成と消失」あるいは「死と再生」の映像は、古代人にとっては地中から毎年生え出る作物や、季節の移り変わりとなって映じていたでしょう。しかしこれらは決して予定調和的に保証されたものではなく、ときに自然は恐るべき旱魃や飢饉をもたらしたでしょう。
 それゆえに古代人にとって周囲の自然と何とか折り合いをつけ、振るい立たせて更新し、翌年も同じように収穫を得ることを祈念するというのは、集団の存立をかけた重大事でありました。祈念して折り合いをつけるのに成功すれば、翌年もふたたび収穫を得ることができたでしょう。この 毎年同じようにイネやムギを収穫する という願いは、容易に 「死と再生」は繰り返す という概念と結びつくものです。
 集団とそれを取り囲む自然全体を支配する「魂」が、大地に依り憑いて作物を復活させるのと同様に、赤子は新たに誕生するのではなく、ヒトに依り憑いて再生するものでありました。赤子が親や祖父(祖母)に似ているのは、まさしく死者が「魂」と結びついて、再び生れ出たものと映ったでしょう。
 「魂」は現在からはるか過去へ遠ざかっていくのではなく、毎回振るい起こして冥界から引っぱり出してくるもので、古代日本人の場合、それは海原の彼方からであったり、葦原の周囲の沼地であったり、急峻な山坂であったりしました。いずれにしても「魂」は、時間的にも地理的にも遠く離れた存在ではなく、周囲にあまねく存在し、しかるべき手順で大地やヒトに依り憑き、コメや赤子に化身するものでありました。

 というわけで、古代人にとって「魂」とは、その集団をその周囲の自然も含めて、存立成らしめている何ものかであって、決して個体に独自の具有物ではありませんでした。これを一般にアニミズム(Animisum)と呼んだりして、近代西洋思想においては未開人の原始宗教のひとつと分類されたりしてきましたね。
 しかし20世紀に入って人類学の進展や、何よりも2つの世界大戦による西欧思想の危機感から、これら原始宗教は再度見なおされ、神話学や社会学(あるいは動物行動学や生命工学までも)とも結びついて、新たな段階に至っているように思えます。

 しかし宗教の分類や構造分析など、とても私の手に負える代物ではないので、これ以上は話しません。要は古代人にとって周囲の自然や、命の誕生はどのように映っていたのか、ということを多少でも頭を更地にして考えてみたかったのです。


 しかし私に言わせると、これは暦年と系譜が誕生し、時間が過去から未来へと一方向に動き出した歴史時代以降に、あとから出てきた一種の祖先崇拝で、私のいう古代人の世界での祖霊というのは、遠い過去の霊ではなく、今そこにある集団をその周囲の自然ともども、存在成らしめている大いなる「魂」=大御霊(おおみたま)として捉えていたのではないかということです。

 神話の特色は歴史物語と違って、常にそれが今示現して目の前に現われるように語られることで、前にも話しましたが、日本神話にしても旧約聖書にしても「神代」や「創世記」の中を流れる時間は、歴史の果てに存在する過去ではなく、別の宇宙を構成していて、その後につづく暦年人代史全体を包み込むように存在することです。
 というわけで、旧約聖書ならアブラハムあたりから、古事記なら神武東征ぐらいから、暦年と系譜によって語られるぶん、かえって古く感じられるのは、そこを支配する時間が神話から歴史へ変換されているからです。

                                        ― つづく ―





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Last updated  2007.06.20 02:10:00
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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