サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2009.04.18
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 「葵」と「賢木」の帖で、ずいぶん手間をかけてしまいましたが、それは取りも直さず、この二つの帖がよく出来ているからで、しかもその面白味の中味が、例えば「空蝉」や「夕顔」に現われたような、物語上手という天賦の才から大きく飛び越えて、長編ロマンという別の才能への、質的な変化が感じられるからです。そのあたりを私自身がもう一度確かめたくて、例によって思い切り低空飛行で、ほとんど字句ごとに物語を追いかけてしまいました。

 原典の逐字的な講釈というのは古典学や憲法学などで、ときに行なわれるのですが、その方法としての特色は、あらかじめの予断とか予想が、 原文ないし本文によって、常に覆され更新される性質を持っている ことで、読む側の頭をいつも更地にしておかないと、思わぬ自己同一化や独断の世界に入りがちになってしまいます。このブログなど、まさしく独りよがりの最たるものと、罵られてしまいそうですが、それでも世に出ている源氏物語解説本の中には、自己の予断に都合の好いパラグラフだけを取り出して、ずいぶん壮大な文学論を展開されているものもあります。
 以前、このブログは初見の源氏物語の印象を、忘れないうちに書き記すために、始めたと言いましたが、この第二部ではもちろんその目的は放棄しています。その理由は何度も触れたように、ブログにUPしようとするたびに、新たな疑問や発見が出てきて、はじめの印象など、どんどん更新されて、わけが分からなくなってしまったからでした。
 というわけで、ここでは慌てることはやめて、逆に出来るだけゆっくりと、しかも私の目に留まった解説本で、気に入ったものを参考にして、書いていくことにしたのです。第一部では自分の印象が妨げられないよう、基本的に参考文献は読まない、と決めていたのですが、ここではいろいろ(といっても数冊ですが)読んでみました。で、その中には上記のような本も混じっていたのですが、それはそれとして、ここに書いている内容自体が、何かとんでもない方向に入り込んでいるのではないか、という不安があったことも事実です。
 結果からいうと、まるっきり見当はずれの世迷い言にはなってないような気がして、多少安心したところもあるのですが、ある程度分かっていたこととはいえ、逆にこれまでの数多くの碩学の奥深さには恐れ入るばかりで、このまましゃべり続けるべきか戸惑ってしまいます。しゃべる以上は、これまでの数多ある解説本や解釈などを、性懲りもなく繰り返すのはイヤですし、第一それではこれを読まれる皆さん(もしおられるとして)には、時間のムダを強いる、という意味で迷惑でしょう。

 とはいえ、たかがブログという気楽さの上にワル乗りして、自分自身の感想を語りつくしたい、という希望は捨てきれないので、話は続くのです。
 その前に、ここまで参考にした本をあげておきますと、まえにあげた西郷さんの本とは別に、
 「光る源氏の物語」 丸谷才一・大野晋対談 (中央公論社、1987 のち文庫)

 「源氏物語論」 吉本隆明 (大和書房, 1985年9月、ちくま学芸文庫 1992年、洋泉社MC新書 2009年)
の三冊です。
 「光る源氏の物語」は、いま手に入りにくくなっているようですが、小説家兼文芸評論の雄と国語学の泰斗との対談で、お互いの専門を飛び越えて、源氏物語を語り尽くす読み物としてとても面白い。中味にかんして異論ももちろん出てきそうですが、潔い新論の展開には驚くばかりです。
 「源氏物語を読むために」は、西郷さんがこれまで古代文学の研究者として、何度か触れられてきた源氏物語についての諸論をまとめたもので、私にとっては座右の書になるべき本です。
 「源氏物語論」は希代の論争家の文学論で、例によって吉本流の専用語彙が出てくるのをガマンすれば、専門外の人が源氏を語るにはどうすればよいか、を知るにもってこいの本です(げんに多くの批判があったようですが、まともな批評はなされずに、たぶん無視されているのでしょう)。

― つづく ―





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Last updated  2009.04.18 15:37:00
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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