サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2009.10.26
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 先日三年ぶりの大学の同窓会に行ってきました。長らく大学の友人には、ご無沙汰していて前回二十数年ぶりに顔を合わせたのですが、その時の感想は前に書きました。今回再び顔を合わせて、前回何となく感じていたことが、より明瞭な感覚で頭をよぎってきます。
 私たちの年代は、そろそろ還暦!も近くなり、会社勤めの大半の同級は、定年へのカウントダウンが始まったり、あるいは早期退職をして、すでに第二の人生を歩み始めている仲間もいます。出てくる話題はと言えば、お決まりの年金受給予定額と、人によっては孫の話、さらには病気の話題と仲間の消息といったことですが、私のように第一も第二も選択の余地なく、何となく人生の裏街道のみ!?を歩んできた人間には、はなはだ気が重くなる話題ではあります。

 とはいえ、しばらく話していれば、前回と同様、学生時代の気分というか、当時全体を領していた特有の雰囲気のようなものが、わらわらと立ち昇ってきて、そう言えば「僕はここでは傍系の男だった」と、三十数年前の我が身の気分を、ありありと思い出してしまいました。
 その後の人生で、さまざまの組織や人と絡み合って、そのつど別の衣装を身に着けて、それぞれの秩序に合わせてきたような数十年ですが、私は(そしてたぶん仲間も)本質的には本当に何も変わってないな、と実感するのはこういう時なのです。それは好かったとか、残念とかいった事柄ではなくて、もう少し生命秩序の実体の感覚に即したようなところがあるのですが、話が例によって長くなるので、これはまた別にしたいと思っています。

 ところで、今年は台風が少ないせいか、例年より秋の訪れが早いような気がしますが、それにしても虫すだく夜道を歩いていると、ときに虫の音がどうも通常の物理法則を無視して、私の耳駄を打ち続けているような錯覚に陥ることがあります。ひらたく言えば、電車とか車に乗っていても、窓を開けて走っていると虫の音が聞こえてくるのですが、他の例えば遮断機とか救急車の音などは間違いなくドップラー効果で、私の前を過ぎれば音程が急速に下がるのに、虫の音だけはそのまま、ずっと耳朶の後を追って来るような気がする(たんに酔っ払って聴いているからかもしれません)。というわけで、自ずと様々な想念が浮かんでくるのです。
 例えば、この虫の音は千年前も二千年前も、この地で日本人は間違いなく聞いたであろうとか、古代人はそれを音でなく、声として聴いていただろうとか、そしてその声を彼らはたんなる虫の知らせではなく、人やその祖先も含んだ時間的にも空間的にも、我が身を取り囲んだすべての息使いのようなものとして、認識していただろうといったことです。
 これは一言で言ってしまえば、自然の振るまいすべてに人智を超えた霊力を見いだすアニミズムという言い方で概括されるのですが、今どきの日本人はこうした概念語をあまり深く詮索せずに、分かったことで済ませてきたのではないか?

 あまりにも有名なので気が引けますが、昔、和泉式部が

― 物おもへば沢の蛍も我が身より あくがれいづる魂(たま)かとぞみる ―


 このうつつに確かに存在しているらしい我が身の背後に、幾千幾万もの数え切れない魂が飛び交っていて、古代人はその知らせとして虫の音を鳴いていたのではないか?
 そういえば、かつて虫の音を声というか、言葉として聴いているのは、世界的にみても日本人だけらしい、というまことしやかな話がかつて脳科学者のほうからありましたね。世界のほとんどの人たちが、雑音として右脳で聴くのに対し、日本人だけが言語野の左脳で聴いている、という例の話です。今どき、この論議は多少修正されるべき中身みたいですが、それでも一応近代化した文明国の人間の中で、こうした独特な認識の回路を、いまだに何とも思わず保持している我が身の特質というものに、我々はやはり多少でも思いを致すべきでしょう。

 日本人の世界認識の仕方に、古代的なアニミズムの心象が未だに色濃く残っているというのは、たんに虫の音だけでなく、今どきの「ゆるキャラ」や「アキバ系」をみていても、そこはかとなく感じるのですが、もちろんこれらはこうしたことを意識して造られたものではないでしょう。私はできればこうした無意識に現れる、今どきの日本人の振るまいかたや感性の特質を、もう少し意識の上に上せたい、明らかにしたいという、密かな欲求があるのです、なんちゃって!
 無意識とか野放図な感情や振るまいの出現というのは、片方で危険な一面を常に含むのであり、それはかつても今も退屈なくらいに繰り返されてきたことです。今どきの新政権もまたヘタをすると、そういう轍を踏むことになるのかもしれません。
 言い換えれば、日本人は歴史を顧みないというか、歴史的なものの読み方を知らない国民性を、ずうっと宿しているかとも思えるのです。またまた少し難しい話になってしまいました、すいません。





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Last updated  2009.10.27 10:45:58
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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