サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.07.19
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テーマ: 古典の日(312)
カテゴリ: 文学
 さて、このあたりから「源氏物語」前段のフィナーレに入っていくわけですが、まず周辺の様子から語られます。

 光源氏の破格の昇段にともない、それに引っ張られるようにして、内大臣は太政大臣に、宰相の夕霧は中納言に昇進します。
 夕霧が太政大臣にあいさつに行くと、義父は彼の貫禄にあらためて感心し、「なかなか人におされ、すさまじき宮仕へよりは(なまじっか人に圧倒されるような、宮仕えよりは)」娘の雲井の雁にとって、よほど良かったと、思い直す。
 夕霧は昇段した位階にふさわしいように、それまでの部屋住みから独立して、故大宮の旧三条邸を大々的に改修して住むことにする。雲井の雁とはいよいよ仲睦まじい新居生活となるわけです。それにしても、ここには入り婿婚での相続の関係がよく出ていますね。

― をかしき夕暮の程を、ふた所ながめ給ひて、あさましかりし世の、御幼さの物語などし給ふに、恋しきことも多く、人の思ひけんことも恥づかしく、をんな君はおぼし出づ。古人どもの、まかで散らず、曹司(ざうし)曹司にさぶらひけるなど、まうのぼり集りて、「いとうれし」と、思ひあへり。をとこ君、
  なれこそは岩もるあるじ見し人の ゆくへは知るや宿の真清水
をんな君、
  亡き人の影だに見えず つれなくて心をやれるいさらゐの水
など、のたまふほどに、おとゞ、内裏よりまかで給ひけるを、紅葉の色に驚かされて、わたり給へり。 ― (山岸徳平校注、岩波文庫()筆者)


  なれこそは岩もるあるじ 見し人のゆくへは知るや 宿の真清水
  おまえこそこの家を見守ってきた主だろう (そのおまえが)見てきた人(故大宮)の行方を知っているか (この)宿の真清水よ
女君は、
  亡き人の影だに見えず つれなくて心をやれるいさらゐの水
  亡き人(故大宮)の姿さえ映さずに つれない心で流れる小井戸(いさらい)の水であることよ
などと、おっしゃったりしているところへ、父大臣が、内裏から帰参される折りに、(この邸の)紅葉の色(の見事さ)に驚いて、訪ねて来られた。

 若夫婦の仲睦まじさの気分は、仕える古女房たちにも伝染していて、何とも穏やかな夕暮れの風景ですね。

― つづく ―





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Last updated  2010.07.19 13:55:51
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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