サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2015.07.24
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カテゴリ: スポーツ
見返せること

 私はそれでもこの間の「なでしこ」たちの戦いぶりを評価するのです。最後まで自身のスタイルを頑として変えることをしなかった。自分たちの矜持を最後まで失わずにプレーし続けた。「そうでなきゃ、サッカーなんてやってられないじゃない」と言うかのように。

 思い出すのが2006年男子ワールドカップ、ドイツ大会での日本対ブラジル戦です。中田英寿や中村俊輔といったスター選手を擁しながら、1分け2敗という結果で予選落ちした最終戦、せっかく先制しながら逆転されて敗色濃厚となった後半半ばあたりから、日本は組織立ったプレーがまったく影を潜めて、各自バラバラにピッチを駆け回っているというような景況を呈していましたね。いくら相手が格上とはいえ、「戦う姿勢」が完全に消えて「投げやり」とは言わないまでも、「速く終って欲しい」というような気落ちした姿だけが目立つ試合でした。
 これは何もこの時だけでなく、先だっての2014年ブラジル大会の時もそうだったでしょう。「気持が折れた」選手たちのプレーは、ハッキリ言って見苦しい。それが証拠にJリーガーファンの皆さん、これらの負け試合を後から見返したことがありますか?おそらく大半の人が「いやな記憶は、早く忘れよう」「これらは無かったことにして、次を考えよう」としているのではないか知らん。

 私は不思議に思うのです。「なでしこ」の試合はロンドンオリンピックや今大会のような負け試合でも、何度でも見返したくなる。そして見返すと、今回長々としゃべって来たような発見がある。この違いは何なのだろうと考えるとき、それはやはり「気持が折れた」パフォーマンスを、ホイッスルが鳴るまで一度足りとしなかった、というところにあるのではないか?確かに「勝負には負けた」、それも今回はスコア的には惨敗の内容なのに、彼女たちのサッカーに対する「気持は折れなかった」。先の2006年では中田が引退してしまいました。おそらく(サムライブルーをまとって)サッカーをすることに嫌気が指したのでしょう。
 これはほぼ確信を持って言えるのですが、今回の敗戦で「なでしこ」を辞めようと思った選手は一人もいないに違いない。否、むしろますますスキルアップしたサッカーをしたい、と思うようになった人が多いでしょう。佐々木監督が試合後の会見で、早くも来年のオリンピックの話をされていたことが、それを雄弁に物語っています。無残な試合の最中にあっても「今ここで出来ることは何なのか」「自分にとってプラスであることとは何なのか」「戦う心を保つこととは何なのか」。それもこれもひっくるめて、要は「サッカーを『真に楽しむ』には、どうすれば好いか」という気持を切らさなければ、それは明日へ繋がる。結果それは何度でも「見返すに足る」試合になるのです。

 いきなり話が難しくなります。このように「まともに見返せる目」「見返すに足る過去」というのを、敗戦後日本は出来る限り持たないように努めて来た。戦争に負けたという「負の遺産」とまともに対峙することを忌避し、我が身を一意的に「被害者」と同定することによって、そこから意識的に逃れようとしたのです。これは戦後イデオロギーの右左関係なく、すべての日本人に見られた思考態度です。
 残念ながらそれはある種の政治政党、あるいは反原発、反米軍基地、環境保護団体そしてマスメディアなどに、今も色濃く残っているので、堅苦しくなりますが、今般の「安保法制」の議論においても、敗戦後今に到る日本の繁栄が何によってもたらされているのか、自分たちが享受している安全と社会的安定が、どうやって維持されているのか(勝手に天から降って湧いたわけではないですよ)、まともに見ることをすっ飛ばして、「戦争反対」という意味不明のプラカードを押し立てることに何の疑問も感じない思考態度として残っています。私たちはそうした論者たちのすっかり古びきった振る舞いに、見え隠れする胡散臭さにはとっくに気付いているのです。

 かつて触れ、うんざりすることなので、あまり繰り返したくないのですが、いつぞや大文字の送り火で福島の薪を燃やすのを拒否した人々、現実に自分たちが享受している生活が何によって成り立っているのか、についての視点を一切ネグレクトして、セシウムによる環境汚染だけを言い立てていました。福島の人々はこの事実を決して忘れないでしょう。これによって京都が失ったものが何なのか。端的に「私たちはあなたがたの痛みを一切共有しません」というメッセージを発信してしまっていることに気付いてない。京都の人はこの過去に選択した事実を、まともに「見返すことが出来ない」でしょう。


 その人たちは「なでしこ」の振る舞いかたをしかと見て、それが真に語っていることを、とくと考えたほうが良い。なぜ「彼女たちは前を向けるのか」、そしてなぜ「男子サッカーは世界と戦えないのか」と。





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Last updated  2015.07.24 11:40:36
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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