サリエリの独り言日記

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2017.06.10
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カテゴリ: エレクトーンの日
ジェローム・ロビンス

 とはいえ、このミュージカルの大きな特質であるダンス表現に関しては、従来のハリウッド風の豪奢な振り付けでは、その魅力の大半は失われてしまう。ブロードウェイの鬼才J・ロビンスが共同監督という位置付けで、この映画の演出と振り付けに熱く関わったのは、そもそもこの物語の発案が彼だったということを差し置いても、無理のないところでしょう。

 とはいえ、こうした主張の強い大物同士が「共同」製作するとなれば、それがタダで済まないであろうことは、容易に想像がつきますね。げんにそうした対立が現場にあったことは、後年ワイズ自身も認めているようだし、wikipediaによれば、
― ロビンスは音楽シーン、ダンスシーン、ファイトシーンの全責任を負っていたが、撮影が60%ほど進んだ時点で予算超過を理由に解雇された ―
というのが本当だとすれば、途中で降ろされたにもかかわらず、クレジットにはその名が記されたということになります。音楽、ダンス、ファイトシーンということであれば、この映画の魅力のほとんどすべてということになってしまいますが、実際プロローグでの小競り合いにしても、有名なガード下でのリフとベルナルドの「 決闘シーン 」にしても、何回も観ているとリアルというよりは、おそろしく練り込まれたダンス(時代劇の殺陣みたいな)という印象に近いのです。
 今回ユーチューブの映像を観ていて、面白いことに気付きました。リアリズムをとことん追求するワイズであれば、当然チンピラたちのいでたちは、服はヨレヨレ靴は泥だらけと汗臭い身体を前面に押し出しそうなところ、G・チャキリスもR・タンブリンもきれいなシャツ、ぴかぴかのスニーカーで踊っているのです。
 このあたりも、おそらくロビンスの強い主張があったに違いない。で、それは舞台振付師としての矜持であったのかもしれない。劇場ならばチンピラ役でも、そのいでたちはリアルであるよりも、「正装」でなければならない(歌舞伎役者がヨレヨレ姿で、登場されては困るでしょう)。つまり、これらは舞台における「衣装」としての位置付けになっているのです。

 したがって、全体としてこの映画は、J・ロビンスの考え方というか、美学が色濃く出ている感じがして、そちらを強調する向きもあるようです。しかし私に言わせれば、R・ワイズはJ・ロビンスの斬新な振り付けと演出を全部取り込みつつ、より高い視点から彼独自の映像作りを試みようとしたのではないか?それは彼の得意分野の編集、とくに「カット割り」の技法に現れているような気もする。よく引き合いに出されるのが「 クインテット
 やはり何といっても、「 クール 」のダンスシーンでしょう。この史上有名なダンスシーン、トリッキーなカット割りを多用しながらも、全体の流れがぜんぜん滞らない。今どきのテレビドラマみたいに、複数台のカメラで同時撮影して切り貼りするのでなく、カットごとに撮影し直しているのです。振り付けはロビンスなのに、ここに写る映像は明らかに舞台とは違うテイストを生み出している。「臨調感」の質が違う、と言ってもいいでしょう。
 このあたり、ボクシング映画の「罠」(1949年)や「傷だらけの栄光」(1956年)などを経た、ワイズの職人的な技量が面目躍如と言ったところでしょうか。

 それにしても、この手法や美学において対称的な二人の表現世界を、スリリングに結び付けているのは、明らかにR・バーンステインの驚倒する音楽なのです。





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Last updated  2017.06.10 18:00:48
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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