サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2017.09.19
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カテゴリ: エレクトーンの日
グルーヴ感

 しかし、この「有限であることの焦慮感」こそ、まさしく「聴いている」ことの証し=充実感だったかもしれない。逆にオーディオにかぎらずテクノロジーの大飛躍は、なべて「無限性」へかぎりなく近づこうとするものであったのでしょう。「無限性」への指向とはこの場合、「時間」と「場所」を超越するという意味です。ヴァーチャルリアリティだのAIだの、近ごろの技術はどうしても現実の生身を超越して、それにどこまでも「近似した仮想世界」を提供しようとするもののようです。私たちはそれに触れるとき、仮想現実の迫真性と面白味にたまげ、大笑いしてしまいますが、この感覚はじつはCDが登場したときの面白味と似かよったところがあるように私は思う。
 つまり、かなり早期にそれら全般に「飽きてしまう」、そして「どうでもよくなってしまう」ということが起るのではないかしらん。あるいは現実にかぎりなく近似した非現実に対して、カジュアルで雑駁な接しかたしかしないようになるのではないか?

 先にマーラーのところで、「『声』が闇の表現の邪魔をする」という、はなはだ逆説めいた話をしたのですが、ここでもう一回ちゃぶ台をひっくり返すとすれば、「すべての器楽器は『人声』を指向する」という逆理があるのです。ヴァイオリンとかサックスとかが典型的な例ですが、純音に近い音を出すと思われるピアノとかフルートのような楽器でさえ、私たちが切迫性を帯びた音楽を感じ取る瞬間というのは、かぎりなくきれいな純音というわけではないらしい。
 M・ポリーニの「 ショパンのエチュード 」とか、H・シェリングの「 バッハのシャコンヌ 」を聴いていると、当の楽器の音を越えた、ほとばしり出る「生身の音」が聴こえるでしょう。楽器にまるで「身体性」が宿り、演奏者の手指がそれらを奏でているというより、楽器がかってに「そのように鳴りたがっている」ような音がしている、と思ってしまうのは私だけでしょうか?こういう時、私たちは楽器から「生身(人)の声」を聴き取っているのではないかしらん。
 「超一流の奏者が、超一級の楽器を弾いているのだから、当たり前じゃん」と言われてしまいそうですが、もちろんそんな簡単に概括できる話ではありません。しかしこれも話が難しそうだし、しかもこの「エレクトーンの日」というカテゴリー全体のテーマに及んでいるような気もするので、あわてずに後で(もし触れることが出来れば)することにしましょう。

 先に「何で高い金払って、一回こっきりの(しかも失敗するかもしれない)生演奏なんか聴かなあかんねん」という若気の到りの言葉をあげましたが、ここまで来れば、話はだいぶ明晰になって来ましたね。

 二度と出会えない瞬間を「共有」出来るかもしれないという期待は、言い換えれば自身が「有限」な存在、時間性のただ中に逃れがたく投げ込まれている身であるために、逆にまさしく「よく聴く」ことが出来る。つまり「充実した時間を生きている」と感じられるからでしょう。周囲に対して万事カジュアルで雑駁な接しかたが、本流となりつつあるデジタル時代の今日この頃、間違いなく「かけがえのない感触」を味わえる機会というのは、こういう時しかなくなってしまったのかもしれませんね。

 ところで、CDやDVDどころかスマートフォンでハイレゾの音楽を、いつでもどこでも取り出せるような今どきの時代となっては、「音割れ」だの「抜け」といったマニアックなオーディオ用語は、ほとんど死語になったと言っていいでしょう。
 826Asukaさんの動画に寄せられる、さまざまな人たちのコメントを見ていると、なかなか面白い。中に専門用語というか業界内符丁のような単語もあり、時には私の耳朶を刺激する言葉も出て来ます。その一つが「グルーヴ(groove)感」という用語なのですが、例によってwikipediaによれば
―ある種の高揚感を指す言葉であるが、具体的な定義は決まっていないー
とあるように、言葉の意味は必ずしも明確ではない。今世紀に入ってから使われ出した新語らしく、なるほどそれなら私が知っているわけがないのです。もっぱらジャズやレゲエ、ソウルのような音楽の、ノリの良さを示すマニアックな形容として何となく使われているようです。
 で、そのノリの良さのカギはリズムにあるようです(もともとドラムやパーカッションのような、打楽器の演奏の評価に使われたらしい)。





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Last updated  2017.09.19 17:39:00
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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