サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2017.10.03
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カテゴリ: エレクトーンの日
M・ジャクソン、日舞、ウィンナワルツ

 ブラックミュージック(黒人音楽)といえば、1960年代の後半から80年代にかけて、既存の価値観や体制に対するプロテストソングとして一世を風靡したもので、例えばジャズならM・ディビス、ソウルならO・レディングなどの名前がすぐ並びますが、残念ながら私はそれほど心酔したわけではないので、多くを語ることができません。

 またぞろwikipediaを見てみると、「ブラックミュージック(黒人音楽)」とは、
―アメリカの黒人発祥の音楽の総称を表す言葉。強いビート感・グルーヴ感を特徴とする。ブルース、ゴスペル、ソウル、R&B、ヒップホップ、ジャズ、ギャングスタラップといった現在世界的に様々な形で展開されているジャンルを生み、またポップスやロック、カントリー等にも影響を与え、20世紀に生まれた多くのポピュラー音楽の源泉となった―
とありますが、肝心なことは「アメリカの黒人発祥の音楽」ということでしょう。で、この場合の「黒人(アフロアメリカン)」とは、主として中央アフリカ西海岸から、奴隷として新大陸に運ばれた人たちの子孫を指し、北アフリカ地中海沿岸の人たちは含みません。早い話、黒人音楽特有の「強いビート感、グルーブ感」というのは、例えばエジプトとかモロッコの人たちでは、ちょっと想像しにくいじゃないですか。

 要は、私たちが漠然と感じる、彼ら特有のビート感グルーヴ感というのは、かなりエスニックに限定された人たちに特有の振りを指すのでしょう。たんに強烈なビート感というなら、アフリカに限らず世界のどこでも太鼓の連打は聴くことが出来ますが、もちろんそういうことじゃなくて、たとえば M・ジャクソン に代表されるような、正確なリズムを掌中にしたうえで、さらにそれを自在に「ずらして」みせる。ヒップホップとはよく言ったもので、彼らは全身で表のリズムを刻みながら、お尻だけは裏を取るという芸当が出来るのです。これは白人や、少なくともアジア人には絶対真似できない。
 新大陸のショービズによって、すっかり芸としてリファインされた振りだとはいえ、かぎりなく異質で妖しい臭気を放ちながらも、それらが私たちを惹きつけて止まないというのは、やはりそれの始原が人類発祥の地とされる中央アフリカから来ているらしいという「物語」を、そこから感じ取るからでしょう。リズムはヒトに限らず、生き物それぞれに固有なものとしてあるわけですが、アフロアメリカンの発するリズムは、それが人類の始原に直結している(のかもしれない)という「神話性」によって、世界のポピュラーミュージックシーンを征したのです。

 大事なことは、かといってアフロアメリカン全員が、特異的なグルーヴ感を保持している、と考えてはいけないということでしょう。早い話「日舞」のリズムは、今どきほとんどの日本人がよう取れないと思いますが、外国から見ればたぶん日本人全員が、自分たちとは明らかに異なるリズムを有していると感じる。玉三郎の「 京鹿子娘道成寺
 要は、このグルーヴ感なるもの、ある限られた民族、あるいはエスノに「特異的に共有されたもの」というより、「共有されたかのように物語り、物語られる」ことによって、初めて成り立つ用語なのでしょう。とすれば、これはアフロアメリカンの話ではなくて、先ほどの「日舞」やあるいは「ウィンナワルツ」にも適用できる概念となるのではないか知らん。
 一拍めにわずかなストレスを感じさせる「ウィンナワルツ」の3拍子は、「ドナウ川の産湯に浸かった者でなければ出せない」と言われるほど、独特なのです。まことに古いモノーラル盤ですが、C・クラウスの「 美しく青きドナウ 」を聞いてみてください。他の楽団がやったら絶対コケそうな3拍子を、悠然と優雅にやってのける。M・ジャクソンが日舞をやったら絶対コケるように、これもまた他所では表現不可能なリズムの刻み方でしょう。であるにもかかわらずというか、むしろであるからこそ、古色蒼然としたウィーンの生気を、私たちは生き生きと感じ取ってしまう。
 とみてくると「グルーヴ感」とは、結局「生きたリズム」の刻み方、というところに帰着してしまうのではないか?





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Last updated  2017.10.03 23:43:40
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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