サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2020.09.08
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平成の終わり 2.

 既存のメディアは総括は出来るだけ簡単に、そしてさっさと新政権の話に話題を移そうと必死ですが、そこに見え隠れする底意には、いかにも安っぽい意図が感じられる。意地悪い見かたですが、さんざんモリカケや桜その他でこき下ろし続けてきたにもかかわらず、安倍政権は計六回の選挙を勝ち続け、一回も負けなしでビクともしなかったうえに、辞任表明と同時に支持率がハネ上がる、という事実に直面しているからでしょう。つまり安倍政権を総括をするということは、そのまんまオールドメディアの連敗の事例を検証することに他ならない。

 ところで、この退任直後の支持率急上昇という朝日新聞の世論調査データかんして、似たような数字の不自然な変動を、私は今年まったく別のところで見たような気がしました。他ならぬ中国政府発表の、武漢および中国全体における感染者データの推移なのです。はじめ発表していた感染者数について、取り方の基準を変更すると称して、途中から数字がうなぎ上りに上がった、それも基準の変更を二回やってです。これってデータの座標軸をずらすようなものだから、疫学的数字としてはまったく意味をなさない、というか、事実を前提とした議論の対象にももちろんなりえません。
 ではこの政府発表の数字は何かといえば、要はそれは、中国政府が求めて止まない「であるべき数字」だということが分かる。ただ残念なことに「であるべき数字」が、実体とあまりに乖離してしまったので、座標軸のほうを変更したのではないか?さらに言えば地方政府が、北京が考えている「であるべき数字」を忖度して、まともな数字を上げない、事実を報告したら何をされるか分からないということなると、はじめから実体などどこにも存在しない数字が、ただ中空で踊っているということになってしまいます。

 あまり言いたくはないけど、今回の支持率急上昇というのも、それまで朝日新聞が発表してきた安倍政権の支持率低下傾向という世論調査が、あまりに実体とかけ離れていたので、辞任表明をこれ幸いに一気に修正しただけなのではないか?考えてみれば、去っていく政権の支持率調査って、なんだかヘンですね。自分たちが作り出した事案を執拗に繰り返し、何とか「であるべき数字」に持って行こうとして来たが、ビクともしない実体に、どうしようもなくなって座標軸を変更して取り繕うという、およそ知的媒体としてあるまじき実体が顔を出したということではあるまいか?
 こうした「ゴールポストを動かす」とか「ハードルを下げる」といった、厳しい事実から目を背け、「であるべき空想世界」を次々繰り出すという児戯めいた行為は、先ほどの共産中国だけでなく、隣の国でもよその国でも往々ありますが、朝日もどうやらそのクチらしい。クオリティーペーパーとはよく言ったもので、オールドメディアの知的劣化をこれほど明瞭に示した数字もないのではないかしらん。

 とはいえ、その評価の中味を見ると「外交・安全保障」と「経済」が過半で、これはごく常識的。で、ここで話は「外交」のほうに移るのです。よく言われる「安倍トランプの蜜月関係」ですが、これはもちろんたんに相性が良かったなどというものではなく、安倍さんのほうからかなり戦略的に動いた結果だと言うべきでしょう。早い話が、相性が悪いと言われたオバマさんについても、「広島訪問」という大統領としてのレガシーを演出して、いささかなりと「貸し」を作っているのです。
 ではトランプさんに戦略的に近づいたわけはというと、それはたんに日米同盟の強化ということではなしに、大統領になる前から彼が繰り返し訴えていた「アメリカ・ファースト」という孤立主義を、何が何でも阻止するという意図があったからではないか?世界の警察からアメリカが手を引けば、世界秩序の不安定化、中でも東アジアでの共産中国の伸長激化を招くのが明らかだったからです。そうしたごく常識的な判断を進言する自国の国務省や国防省の言うことを、まったく聞かないトランプさんが、安倍さんの言うことなら聞くというのは、なんだかヘンな話ですが、これはトランプさんのかなり固有な性格によるものであるらしい。少なくとも「歴代のアメリカ大統領という退屈な規格に、俺様は絶対入らないぞ」と思っていたことは間違いないので、なぜなら、それが彼の岩盤の支持層の根源でもあったからです。

 そうした彼の性格を早々に見抜き、友誼を交わすのに成功した安倍さんという人は、やはり昭和の人ではなく純正の平成の宰相と言うべきでしょうね。中曽根さんでも小泉さんでも無理だったでしょう(小泉さんは平成の宰相ですが、手法は旧来のものでした。彼は自身の政治的レガシーのために、拉致被害者を利用したのです)。旧来の政治家としての権威性を、多少でも意識した政治家ではこれは無理。それが証拠にEU各国の首脳もトランプさんを嫌っているというか、手をつかねて安倍さんに聞きに来るという始末。これってやっぱり日本の憲政史上あり得なかった事態だと思いますよ。


 G7や中国ロシアの首脳と立ち混じって、まったく「臆する雰囲気がない」日本の首相というのは、安倍さんが初めてでした。中曽根さんも小泉さんも、その面にかんしては相当「気張った」首相でしたが、いかんせんその「気張った感」が丸見えで、自然体と言うにはほど遠い。安倍さんがそれをごく自然体に出来たというのは、大成した名門一族のサラブレッドとして、政治家によくある「権威や権力指向性」を、あえて表に出す必要がなかったからでしょう。
 同じような雰囲気を醸し出していた人として、私は緒方貞子氏を思い出します。この人も犬養毅のひ孫であり、外交官の家に育ってごく自然に国際感覚を身につけた人でした。大事なのは「名門には名門としての責務と役割がある」ということを、本人たちがどれだけ意識しているかということでしょう。両者に共通するのは、一言でいえば「私欲がない」ということです。政治家の世襲化が問題視されたりもするし、青山さんのようなフツーの人で、国際社会と丁々発止渡り合える人ももちろんいるでしょうが、日本の政治家の中で、そうした器量を自然と保持している人がどれほどいるのかしらん。





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Last updated  2020.09.08 17:26:40
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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