トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2007/05/24
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カテゴリ: 音楽
original soundtrack
02. I'm Not in Love
03. Blackmail
04. Second Sitting for the Last Supper
05. Brand New Day
06. Flying Junk
07. Life Is a Minestrone
08. Film of My Love

■スクイーズとXTCが好きだ。そのどちらにもイカしたソングライターがいて、ロックってただ感情のほとばしりだ、なんて言わせないような計算された構築力が窺えるわけで。センス・オブ・ヒューモアもあれば、ウイットもあり、モンティパイソンやビートルズを生み出した風土とか歴史を否応なく感じさせてくれる。



■その中でわたしが愛してやまないのは4枚目の「How Dare You?」。それについては以前 ここ にも書いたので、今日はその前の作品にあたる「The Original Soundtrack」について。

■M1は9分近い大作であるが、初めてこの曲を聞いた人は Queenの「ボヘミアン・ラプソディ」との酷似にビックリするのではないか。ちなみに今作が出たのは75年夏、「オペラ座の夜」の方はその同じ年の暮れに発売されている。わずかな時間差ではあるが、どちらがどちらに影響を与えたかは自ずと想像できそうなものだ。組曲形式でパリの一夜の出来事を歌うこの曲にはやはりあらかじめスクリーンに映し出されているだろう映像が浮かぶ。いわゆるサントラが映画内音楽であるのに対し、彼らがここで試してみたのは音楽内映画と呼べるような代物だったわけだ。

■実際10ccほど映像に対するこだわりを強く持っているバンドは少ない。ジャケットワークはそのほとんどが天才集団ヒプノシスの仕事だし、ゴドレィ&クレームのふたりはその後、映像アーティストとしてもひっぱりだこになる。特に忘れられない名クリップは彼ら自身の 「Cry」 とPeter Gabriel&Kate Bushの 「Don't Give Up」 。特に後者には何度背中を押されたか知らない。(この曲と「ガープの世界」に救われたという鈴木慶一氏のセリフはちょっとビックリするくらい自分とダブった)

■わたしはこの作品をLPで所有しているわけだが、どちらかと言えばB面にあたるM4~M8までを好んでかける率が高かった。いずれもA面に並ぶ劇的構成とはちょっと趣を変えて小品のつながりという感じ。でもそれぞれがどれもほんわか聞いていて心地良い。「人生は野菜スープ」という邦題もまたすごく時代を感じさせるが、人生はミネストローネのようなものなんだよね、なんて煙に巻くとなんか気のきいたことを言っているように聞こえてしまう場面も人生にはたびたびあるということも学んだ。

■ともあれ、この架空の映画音楽集が特別な一枚になっている大きな理由はやはりM2「I'm Not In Love」によるところが大きいと思う。歌詞と曲はスチュアート&グールドマン組、バックを装飾するコーラスワークはゴドレィ&クレーム組。月並みだがそんな4人の得意分野が奇跡的にマッチした傑作だと思う。

I keep your picture
Upon the wall
It hides a nasty stain that's lying there

To give it back

君の写真は壁に掛けてある
そこに付いた染みを隠すため
だから返してなんて言わないで

■たとえばピアノの弾き語りで歌われたこの曲もまた、哀愁を誘う名曲になったかもしれない。それでもこのオリジナルに到底かなわないと思うのは幾重にも積み重ねられたコーラスパートの重厚感がコズミックな広がり、もしくは酩酊感、ないしは浮遊感を醸し出している点にある。そしてその合間に囁かれる Be quiet...big boys don't cry...というつぶやきのあとひき感とね。






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Last updated  2007/05/24 11:05:45 PM コメントを書く
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ミリオン@ Re:「北の国から」を友達にすすめてみる(01/02) こんばんは。 嬉しいです。頑張って下さい…
Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…

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