韓国とオーストラリアがグループリーグを2位通過するという、小波乱があったため、決勝T1回戦(=準々決勝)で優勝候補同士のつぶし合いが実現してしまった。
【日本-オーストラリア】では、オーストラリアの圧力が昨年のW杯で感じたものと較べて格段に落ちていた。気候と移動の影響は否めないとは思うのだが、それ以外にもオーストラリアには弱みがあると思う。
それはオーストラリア国内でのサッカーの地位にあるのではないだろうか。国技といえるラグビーに対して(ラグビーも色々あるが)サッカーの人気はそれほどではない。日本にしても野球を追い抜いたとは言えないサッカーだが、オーストラリアのサッカーはラグビーに対してそこまでいっていないのである。つまり何が言いたいかというと、マーク・ビドゥカ、ハリー・キューウェル達は突然変異的に現れた黄金世代であり、彼等が年をとればオーストラリアの強さは長くは続かないんじゃないかということである。世界各国を見渡してみても、ブラジルやアルゼンチン、イタリアなどの例外を除けば、たいてい世代間の波がある。特A級のフランスだって、プラティニ世代が終わった後、90年イタリア、94年アメリカとワールドカップに2大会続けて出場できなかった。代表チームの力を一定に保っていくには、間断なく若い世代が育っていなくてはならないのだ。そういった観点で日本-オーストラリアを見ると、国内の裾野を広げ、育成システムを確立してきた日本の歩みがある程度間違っていないとは思える。
とはいえ、育成システムが優秀で絶えず代表チームを高いレベルに保てていても、本番での一発勝負は別物で、圧倒的な個の才能の前に敗れ去ることがままある。いまの日本は、少々選手の入替えがあっても一定の水準を保てるチームになっている。しかし、最高到達点はあまり高くないといった感じ。最高到達点が高かったW杯でのオーストラリアだったら負けていたような気がする。
日本のボールポゼッション(チームとしてのボールキープ)能力はアジアにおいては違う次元にあり、これは日本サッカーの個性として磨いていくのがいいと思う。ただし、そこから先の部分を伸ばして最高到達点を高めないことには、W杯での上位進出は難しい。この試合の(特に相手が1人退場してからの)進め方はすごく保守的であった。アジアでの勝利を最終目標とするならばOK、あくまでW杯での勝利を目指すのが目標というなら、ぜんぜんダメである。
韓国はまぁ強いチームだし、イランはアジアNo.1のタレント集団である。
が、日本-オーストラリア戦並みの退屈な試合となり、かなり脱力。
韓国は、相変わらずのハードワークぶりだがパク・チソンを欠いているので"差"を作る選手がいない。
今大会のイランは、"フィールドのテロリスト"アリ・カリミにボールが集まらず、マハダヴィキア、ザンディといった両サイドの攻撃センスのある選手が後方に配置されたため、攻撃に迫力がない。長年、良くも悪くもチームの柱だったダエイに代わった10番カティビもダエイと較べて存在感なし。と両チーム期待はずれであった。
カリミについて言えば、ボールが渡ればチャンスを作るのだが、いかんせん運動量が少なくボールに触る機会が少なかったのが残念。
マハダヴィキアは、HSV時代の高原とチームメイトで、来季からフランクフルトに移籍して再びチームメイトになるのだが、今大会を見る限りではそのダイナミズムに衰えを感じた。
イランは大きな変革が必要であり、それは個に頼るサッカーからの脱却である。これまでも欧州のコーチを迎えてはいたが、成し遂げられてこなかった。近い将来、イラン最大の英雄、ダエイの代表監督就任があるかも。
オーストリア-日本 2007年09月08日
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