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苫治安

苫治安

2005.10.08
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カテゴリ: カテゴリ未分類
友人と待ち合わせて銀座のすどう美術館(画廊)へ行った。

今年はさらに、先生のお母上の作品展も同時開催である。
(むしろ岡田芙美子展のほうがメイン)

岡田芙美子さんは61歳で初めて絵筆をとり、骨粗しょう症の悪化によって81歳で筆を置くまで20年間油絵を描き続けられた。
その作品の集大成である。

実は先年、先生の個展にうかがったときに、岡田芙美子さんの作品の写真を拝見する機会があった。
写真だけでも「なんて若々しい絵を描くんだろう」と吃驚して、これは一人で見るのはもったいないと大学時代の友人Mを強引に?誘い、今回会場を訪問した次第。
思ったとおり、とても素晴らしい油絵ばかりで、しかも全然枯れていない。

最初から割と抽象画に興味を持っていらしたようで、カンペキな抽象画には走らないものの途中でコンポジションに挑戦されたりしている。また、徐々に平板な油絵よりもマチエールを工夫する方向へ花開き、最後のほうは先生の言葉を借りるなら「重力から解放された」画風になっていく。すごいアヴァンギャルド。
絵だけ見せて、描いた人の年齢を当てさせたら、絶対に40歳ってみんな言うと思う。
でも80歳なのだ。しかも骨粗しょう症をわずらいながら、這うようにして描いていらっしゃったのだ。

これは「趣味」じゃないね、この人は画家なんだねと、友人Mと言い合った。
きっと岡田芙美子さんの中にはすでに描きたいもの、描かれるべきものの像があって、それがやっとチャンスを得て表に出てきただけなのだ、と。
こういう話をしていると、夏目漱石の夢十夜を必ず思い出す。
運慶の彫刻するさまを見ているひとが、「木の中にはすでに仏がいて、運慶はそれを彫りだしているだけなのです」といったことを言う場面があったと思うのだが、まさにそれである。若い頃は「なにおぅ」と納得できなかったが、今はよくわかる。彼らはすでに在るものを、表に出してきているだけなのだ。

というわけで、在るものはいずれ現れるものだし、無いものはどーやったって出てこないんだねーと、二人でうんうん納得しあったのだった。
(つまり私たちが何か作品を作ろうといくらアタマを悩ませても、無いものは作れないのだ……)

なんだかずっしりと実のある個展だった。
来年はもうない、これきり見られないなんて、信じられない。機会があれば毎年見に来るのに。


私一人で見に来ると「綺麗」で終わっちゃうんだけど、今年は友人Mが「どうやってこんな微妙なグラデを出すのか」といった質問を投げてくれたので、こちらも実のある観覧になった。
いやあ。
そんなに何版も重ね刷りしているとは思いませんでした(汗)。
やっぱり、ふつうの人から見れば無駄に見えるくらい、何度も何度も重ねて描くような地道な工程が、佳い作品を生み出すには必要なのだなぁ、でも私にはそんな地道な繰り返しはできないっぽいなぁ、やっぱり芸術家じゃないんだなぁと、再確認したのだった。





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Last updated  2005.10.12 13:02:45


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