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苫治安

苫治安

2008.02.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
東博で「近衛家1000年…」展を見たあと、東京へ移動してランチ。

十分すぎるほどの時間をかけて昼食をとり、次は日本橋三越へ移動。
「北斎」展を見るのだ。

土曜だから混んでるだろうと覚悟していったら、さほどでもなかった。
今回のここの北斎展は、冨嶽三十六景と富嶽百景の展示だった。
変わり摺りまで含め、205点が展示されている。
作品は小さいし、保護のため照明は暗いし、みんな壁に近寄って見るので自分らのペースで見るのに若干苦労したが、予想していたほどにはストレスなかったかな。
また、さすがに二百点もあると途中で飽きる人も多いらしく、残りを駆け足で通過する人々も見かけた。おかげで、後半は特にスムーズに見られたかも。


一種の印刷とはいえ、このレベルの作品が庶民の手に入る価格で売られていたんだからびっくり(あまつさえその紙で食器包んでたりするんだから、もう…)。
ウォーホルがやったことを、江戸ではすでに実現していたってわけね。
それにしても、彫師さんも摺師さんもたいへんだっただろうなぁ。
きっと何度も絵師から駄目押しが出たに違いない。
ご同情申し上げちゃう。

作品の半数近く(そこまで行かないか?)が、「これのどこに冨士が?」と一瞬聞き返したくなるもので、企画や構図取りに絵師の遊びと「見つけてみろ」と言わんばかりの気負いとが感じられた。
一筋縄では行かない男、北斎。
しかし動物の絵は苦手なようだ。どう見てもあれは犬に見えない……(笑)。

絵はまぁ楽しめたが、三越ギャラリーの展示に問題があった。
まず作品に付けるカードの情報量が少ない。
制作年がないのだ。

なんか「天保後半」みたいな書き方のみ。
しかも西暦・和暦混在。北斎の生年は西暦で書いてあるのに、制作年代は大雑把な和暦のみ。
どっちかにせえよ。
一番問題だったのは、変わり摺りの制作年代が他と全く同一の表記で、したがって制作年代すべてが信用を失うという点だった。
変わり摺りというのは、たとえば北斎が死んでからずっとあとで、残っていた版木で再版する。そのときには色味について指示を出す絵師がいないから、版元か摺師の判断で色を置くわけだね。そうすると色が変わって、刷り上がりがかなり違って見える、それのこと。

なんで書かないんだ~。さぼってないか~。
北斎研究は結構メジャーな分野だろうと思うので、この制作年代の絞れなさは単に調査を怠ったとしか思えないんだが。

もうひとつ足りないもの、それは出典。
どの刷り物がどこから借りたものなのか(個人蔵とか●●美術館蔵とか)が、一切書かれていなかった。
全部同じところから借り出しているのか?
そうならそうで書いておいてほしいんだけど。
年代とか出典って、すごく重要な情報なのだが、最近軽視されがち。
(今回は全部「木版画」だから不要だったけど、「油彩」「炭」などの技法の情報もすごく重要なのだが、最近軽視されがち)

あとは富嶽百景のマットの切り方!
ぎりぎりすぎる!!
なんだあれは!!
ちょっと言葉で説明しづらいのだが、作品の印刷部分だけが見えるようにマットを切ってあって、余白部分はマットの下に隠れて見えない。
なんでもっと余裕を持たせないの?
そのせいで、版面から飛び出している富士山があると、その部分だけ富士山の頭に沿ってマットを切り込まなければならなくなっていて、見るに実におかしい。
作品が直接額のガラス面に当たることを防ぐためにマットが必要としても、余白を見せない余裕の無い切り方をする理由にはならない。
実に実にみっともなかった。
どうも最近の展示にはこういう独善的な匂いがして、よくない。
変な思い入れを披露するのはやめてほしい。
(その点でも、東博の展示はすばらしかった)

とゆーわけで、まぁまぁ…かな。
前回見た琳派の展示のほうが面白かったな、ここは。
3/2(日)まで。





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Last updated  2008.02.29 13:09:16


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