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苫治安

苫治安

2008.10.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
野田秀樹の英語劇を見てきた。

作・演出:野田秀樹
共同脚本:コリン・ティーバン
源氏/検察官:ハリー・ゴストロウ
女:キャサリン・ハンター
精神科医/葵:野田秀樹
署長/頭中将:グリン・プリチャード
【囃子方】囃子:田中傳左衛門、笛:福原友裕

残念ながら、会社の仕事のせいで、最初の10分くらいを見損ねた。

口惜しい。

Diverとは、能の「海人(観世流では海士)」のことだろう。
どこそこの浦に死んだ母をしのんで大臣がやってくると、海士の亡霊が現れて竜宮に取られた玉を取り返し、その見返りに自分の子どもを大臣(大臣のお父ちゃん)の跡取りにしてほしいと頼んだことを語る。
大臣が霊験に打たれ、坊さんに読経を頼んで供養すると、海士の霊が現れ、おかげで成仏できたと喜んで去る、みたいな話。
成仏云々はどうでもよくて(話のパターンだ)、自分の子どものために玉を取った悪い龍とも戦う、強いおっかさんが描かれているのがポイントらしい。
能楽における「母物」というのは、「隅田川」などに見られるように狂女物が多い気がするが、そうした傾向からは全くはずれたユニークな作品というわけだ。

しかし、脚本はどっちかってーと主に源氏物語をメインに進むので、海人がいったいどこでどう取り入れられているのか、よくわからんかったのであった。
以下、だらだらとスジを述べるので、話?のスジを知りたくないヒトはここで止めてくだされ。

不倫のあげくに、相手の正妻の子ども二人を焼き殺した(らしい)女が主人公(これがキャサリン・ハンター)。
しかし取り調べようとしても、相手のことは源氏と呼び、自分は夕顔だと言い張ったりする困ったちゃん。
精神科医が呼ばれ、犯行当時の彼女が責任を取れる精神状態だったか確認させられる(この精神科医が野田)。

最初は夕顔だったが、そのうちに六条御息所になり、正妻(葵)とのバッティング、不倫相手(源氏)との子どもを自分で堕ろす場面(彼女の台詞から、実はすでに二度目だと知れる)、鬼女となって祟ろうとする場面へと最後はとんとん拍子に進み、女は「自分は4人の子どもを殺した」と告白する。
正妻の、焼き殺された子どもは2人だ。あと2人は自分の子ども、堕ろしてしまった子どもたちだろう(もっとも、源氏物語と現実世界とはかなり複雑に絡み合ったまま話が進むので、本当にそんなストレートな解釈でいいのかは保証しない)。

で、なんで「海人」???
自分の子どもの出世のためなら、自らの命も省みずに龍と戦う強い母と、キャサリン・ハンター演ずる女とでは、重ならない気がするんだけど???
(あれ? ちょっと待て? 「現代能楽集」ってことは、三島をチェックしなきゃいかんかったのか? 葵や小野小町は読んだけど、海人も書いてたっけ??? いや、彼が書いたのは「近代能楽集」だから、やっぱり違うよね??)


役者がみんな上手い。
小道具の使い方なんかも実に巧みで面白い(扇をピザに見立てるとか、ただの一枚布を何通りにも見せるとか)。
あとは音響。
音響は、囃子方もそうなんだけど、「これがなければ舞台が成立しないのでは」と思わされるほど、キモな使われ方をしていたように思う。

まぁ、字幕がないときっと何言ってるのかはわからないだろうが、あってもなくてもキャサリン・ハンターの演技は安心して見ていられそう。
私はなぜか彼女を美人だと思ったことがないのだが(ごめんなさい)、演技の確かさは見ていて疑ったことがない。
舞台上を(飛び跳ねているわけでもないのに)端から端まで疾走しているイメージ。
こういう魅力的な舞台なら、英語でも頑張って見に来た甲斐がある。





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Last updated  2008.10.15 13:21:57


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