@青木十三雄の『他人のフンドシで相撲取れ!~第二章~』
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もう25年位前か。3丁目にあったバーによく通ってた。「あんとん」と言う名前のバーだった。細い階段を2階へと上るとあったそのバーはとても狭く和枝(かずえ、ではなくしずえと読む)ママがいつも「いらっしゃい」と迎えてくれた。いつもあまり客の居ないその店でお腹が空くと店のご名物料理のウズベク餃子を頼んで食べたものだった。当時ママは60代だっただろうか。気分が乗ってくるとばギター片手に「半分愛して」と言う歌を歌ってくれた。店を閉めると聞いて常連客が集まった。僕もその内の一人だった。いつになく賑やかな店内は楽しさと寂しさが混在していた。 店を閉めてから千葉に引っ越したと聞いた。その後は川崎に引っ越していった。年賀状のやり取りだけは続けていた。 ある年の年賀状に紛れて息子さんから「いつも素敵な年賀状ありがとうございます。実は母は去年亡くなりまして...」とのハガキがあった。 墓参りに行こうと思ってから2年も経ってしまった。今日、やっと墓参りに行ってきた。花と線香を供えて手を合わせた。当時から割とアバンギャルドで「独りで生きて行く」を地でいっていたママのお墓はとても小さく回りは沢山のお墓に囲まれていてとても賑やかそうなお墓だった。「あぁ、もう寂しい思いはしなくて済むね、ママ」”寂しい思いをしなくて済む”これはぼくの勝手な憶測だ。ママがあの世でどう思ってるのかは知る由も無い。その後慣れない土地でバスを乗り継ぎ、バス停から結構歩いて息子さん宅まで赴き、仏壇にお線香をあげる事もできた。息子さんと短い時間ではあったが、昔の思い出話をする事も出来た。遺影のママを見たら懐かしい思い出が甦ってきた。帰りのバスがなかなか来なかったが、その間つくつく法師や蜩の鳴き声に「あぁ、夏が終わるんだなぁ」とぼんやり思っていた。それにしても今日は暑かったな。
2019/09/08
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