深秘の華苑

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黒左右衛門

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2002.05.02
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 て、いきなり重いタイトルなんだけど、まあ(恐らく)重い話なので、厭な方は読まないで下さい。

 あたしは、一時期本気でマコトを信じられなくなった事があった。
 そこに至る、まず一つ目の伏線。

 あたしの2つ上の先輩に、学部で卒業して就職した先輩が居た。先輩、と云っても同じ研究室だったにも関わらず彼は学部で卒業した為、直接研究室で世話になる事は無かった。でも、「同じ専攻なんだから学年越えて皆で仲良くしましょう」的な飲み会で仲良くなって、酔っぱらった隙にあたしにキスしてきた、油断も何も無い先輩である(苦笑)。
 その先輩はあたしの事をとても好きになってくれて、あたしが男関係でごちゃごちゃしていたら、「それが片づいたら俺の所に来い」とまで云ってくれた人だった。でもあたし的にはそんなに好きでは無かったのだけど(爆)
 それはともかく、彼は卒業後一人遠い土地で就職した。新しい環境。近所にツレは居ない。挙げ句に職場(最初は工場勤務だったから)「大卒が来た!」みたいな感じで浮いていて、必ずしも会社ではうまくいっていた訳では無かったらしい。よく電話が掛かってきて愚痴られたっけ。上司にも気に入られない、工場のおばさんやヤンキーにコケにされてる、辞めたい、って。でもあたしとしては愚痴られた所で社会に出た事は無いし(だってこの当時大学3回だったし)結局愚痴の聞き役しか出来なかった。
 それから暫くして急に彼の様子が変わった。異様にハイテンションだった。飲み屋繋がりで友達が出来たと云っていた。ついでに卒論で扱ったキトサンについてもう一度勉強し直している、と云っていた。
 その話を聞いた時は正直「友達できて良かったね!」って思ったし、正直彼の卒論研究とは無縁の職場に居るのにもう一度自分の扱っていたモノを勉強し出すなんて驚いたね、と感心してしまっていた。その後の彼からの電話を纏めると、実は化粧品やら健食やらを売る副業を始めており、その商品の一部にキトサンが含まれている事、その副業は学生では出来ないのだけど本当にいい商品を扱っている事、友達がその副業繋がりで沢山できて毎日楽しい、という事等が解ってきた。一度あたしに逢いにに遙々大学近辺まで来て飲みに連れて行って貰った時、「お前はこのビジネスは参加できひんけど、俺の扱っているものを知って欲しい」と幾つかの化粧品類を貰ってしまった。それが良いものなのかどうなのかは良く解らなかったけど、まあ先輩が楽しけりゃええやん、と普通に思っていた。

「なあ。苦労ザエモン・・・。金貸してくれへんか?」
は!? 何でいきなり金の無心してくるんやこの人! 正直驚いた。でも、この当時あたしの通帳は親と直通だったので(だって仕送り貰ってたからさ)まとまった金は動かせない、と云ったら
「じゃあボス(ラボの教授)の電話番号教えて。俺マジでまずいんだ」
と云われた。話が見えない。取り敢えずボスの電話番号を教えた。
 翌日、ボスとその話をしてみると、やはりボスにも借金を頼んできたそうだ。ボスは借金の理由を聞いたのだけど、言葉を濁されて明確な答えは返って来なかったらしい。そこでボスは珍しく「理由が云えないような借金をするな!」と声を荒げて説教して借金を断ったそうな。

 半年位して、先輩から電話があった。会社をクビになったので実家に帰る、という内容だった。妙に清々しい声だったので解雇の理由を聞いてみた。
「俺な、副業してたやんか。それが会社にバレてもうてな。ついでに自己破産したんや。元々俺上司に目ェ付けられてたし。都合よう解雇されてもうたわ」
 普通の会社は大概副業禁止なんですってね(あたしの親は自営なので、そういった会社の常識はあたしには解りません)。そっか~、とは思ったけど、先輩は何か吹っ切れていたようだったし、結局副業の名前は何かはよく解らなかったけど、そちらもきっぱりアシを洗ったそうだし、まあ良かったねえ、とこの時は思っていた。
 本当にこの当時、あたしは何も知らないコドモだった。





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Last updated  2002.05.03 00:45:30
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