深秘の華苑

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黒左右衛門

黒左右衛門

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2006.02.07
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で、今日は会社に復帰できたんだけど、今度は不倫相手が撃沈したらしい。

彼の家では奥様の実家経由でインフルエンザが蔓延しているようで
遂に彼も其の波に呑まれたらしい。
就業中から「もうあかんわ」メェルが届いていて、早退しないさいよと薦めてはみたけど
会議とか何とかで帰るに帰れない状況だったらしい。
あたしはと云えば、皆の同情を買ってしまったようで
(ちなみに、昼食時に雑炊を食べていたら他部署の上司に
『何ゃ~黒左右衛門さんダイエットか?そんなん要らんやろ~』と云われ
「今、固形物腹に入らないんです。雑炊食ってるのは非常に不本意です」と

そそくさと定時ダッシュしたんだけど、不倫相手もほぼ同時刻に退社したようで
うちで落ち合った時には瀕死の状態だった。
取り敢えずベッドに横たわって抱き合うと、熱い。
「某さん、熱あるんと違います?」
慌てて熱を測ると良い値を示した。
「うちに寄ってないで、早よおうち帰って休まないとあかんやないですか」
「でも、此所の方が落ち着くもん。一寸だけ。ええやろ?」
そう云って彼はあたしを抱きしめたまま眠りについた。
都合4時間、途中で結局交合ひしちゃったけど彼は殆どを寝て過ごした。
ずっと抱き合っていると、彼の体温が熱くて尋常じゃなかった。
本気でしんどかったんだと思う。

彼もこんなに病気でやられるのは久し振りだ、と感心する位よろよろだった。
何回か起きてはちょこっと喋って、しかし直ぐ眠りにつく、と云うのを繰返し
(今回、会話した1秒後位に鼾をかかれた。多分新記録)。
此の儘うちに泊って貰う訳にもいかないし、早く帰宅しなさいな、と云うと
「でも、黒ちゃんと一緒の方が良えもん」

漸く、時間も時間だし、と云う段階になってから彼は帰っていった。
「一緒に居たいけど、うつしちゃうと悪いし」
って貴方、今迄抱き合って顔近付けておいて何、とは思うけど
彼は行為中以外は殆どをマスクしていてくれたし、帰りしなのキスも
「うつっちゃうから」
と云って握手で済ませた。
昨日あたしが拒んだ時は其れを拒否してキスした癖に。

こんな時に思う。
さっき、玄関先で彼とさよならしてからは音信はほぼ不通。
多分、彼はあした会社を休む事になり、其の連絡はあるのだろうけど
以後の連絡は無いだろう。
倒れている彼を看病するのは奥様の役目。あたしではない。
彼の安否をリアルタイムで把握して気遣う事も出来ない。
復帰した彼の連絡を待つだけ。
当然、桃缶を差し入れする事すら出来ない。
寂しいと云うか不毛と云うか莫迦だと云うか。

だから、不倫なんてろくなもんじゃない。

なのに、今回もさよならできなかった。

正直、弱っている癖に、「黒ちゃんはほんま優しいなあ」とか
「黒ちゃんちは居心地良えなあ」とか、非常にこちらの心を刺激する言葉を
故意か自然にかは解らないけど、兎に角一杯吐いてくれた挙げ句
鼾かいて寝てる癖にあたしが身体を離しても
すぐに手を伸ばして来て
ずっと抱きしめてきたよろよろな彼にはさよならを迚もじゃないけど
切り出せなかったが。







彼との別れに備えて転職先を探す鬼畜な俺。






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Last updated  2006.02.07 23:54:37
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