ライフキャリア総研★主筆の部屋

ライフキャリア総研★主筆の部屋

2003年11月28日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類


「会社でバリバリ働いている女性ならともかく、長く主婦をしていた私たちには、キャリアなんて敷居の高い言葉だ」

 という声を耳にしました。なるほど、そう思うのも無理はないでしょう。日本で「キャリア」という言葉が使われ始めたのは、官庁の「キャリア組」や「キャリア・ウーマン」が最初ではないでしょうか。この2つの用語からは「エリート」や「フツーの人とは違う優秀な人」というイメージが浮かんできますね。

 しかし、「キャリア」は決して一部のエリートだけのものではありません。この世界に生きている全ての人が「キャリア」を持っているのです。

 ではまず、語源を調べてみましょう。

「キャリア」(career)は中世ラテン語の「車道」を起源とし、英語で、競馬場や競技場におけるコースやそのトラック(行路、足跡)を意味するものであった。そこから、人がたどる行路やその足跡、経歴、遍歴なども意味するようになり、このほか、特別な訓練を要する職業や生涯の仕事、職業上の出世や成功をも表すようになった。
(厚生労働省「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書2002年7月31日発表より)

 つまり、キャリアというのは、私たちが人生を歩んできた「足跡のひとつながり」のことを指す言葉です。現在では、職業上の経歴や実績のみならず、人生全体を丸ごと「ライフ・キャリア」としてトータルに捉えるようになっています。

 広義のキャリア、狭義のキャリアというように、2つに分ける考え方もあります。大きな円と、その中に含まれる小さな円(大小2つの同心円)をイメージしてみてください。外側の大きい円が広義のキャリア=人生(life)です。内側の小さな円が狭義のキャリア=職業人生(working life)です。

 全人生を仕事に捧げてしまったような「仕事人間」「会社人間」は、この2つの円の大きさがほとんど同じになっているでしょう。一方、仕事以外のプライベートライフが充実していて、趣味、スポーツ、地域との交流、さまざまな友人との交流、そして豊かな家庭生活を楽しんでいる人は、外側の円がとても大きくて、職業人生を表す円はそれほど大きくないでしょう。また、専業主婦の女性も同様に外側の円のほうがとても大きくなるでしょうね。

「キャリアとは単に職業・職務を意味するだけのものではなく、人生と深くかかわる“人の生き方そのもの”である」(宮城まり子『キャリアカウンセリング』駿河台出版社)

 これがいま、「キャリア」の意味を最も的確に示す定義と言えると思います。

 さて、キャリアとは、私たちの生き方そのものですから、「リセット」して帳消しにすることは決してできません。方向転換は何度でも好きなようにできますが、消すことはできないのです。

 また、キャリアにはアップもダウンもありません。転職によって給料がアップ、ダウンすることはありますが、キャリアそのものは点数をつけられるものではないのです。キャリアとは生き方そのものですから、どのような生き方が優れていて、どのような生き方が劣っているということはないのです。

 でも、「キャリア・リセット」や「キャリア・アップ」という言葉は、人材派遣会社や就職情報誌の広告でよく見かけますね。広告ですから、お客さんをドッキリさせたり、ワクワクさせたりしなければならないので、こんな「誤用」を半分、確信犯的にしているのですね。

 キャリアを視覚的なイメージとして捉えてみれば、白地図の上の曲線のようなものではないでしょうか。いわゆるエリートコースを歩んできた人の場合は、単調な直線を描くかもしれませんが、そうではない圧倒的多数の人々の足跡が描く軌跡は、あっちへ曲がり、こっちへ曲がり、立ち止まり、行っては戻り、戻っては行き、同じところをぐるぐる回ったり、途中で休んだり……そんな調子でしょう。

 でも、その人も「岐路」を経験しているはずです。四つ角だったり、三叉路だったり、もっと複雑だったりするかもしれません。とにかく、その「岐路」でどれかの道を選んで前へ進んだことだけは確かでしょう。重要なのは、そのときに何を考え、その道を選択したかということです。

 人生には意味があります。その意味をじっくり考えるよいチャンスになるのが「岐路」に立った時ではないでしょうか。

 進学(どの学校を選ぶか)、就職(どの会社を選ぶか)、恋愛(だれを選ぶか)、結婚(だれを捨てるか!)、出産(産むか産まないか)……。

 人生には、何かを選び、何かを捨てなければならない決断のときが何度も訪れます。そのときに、その後の道筋を自分なりにプランできるかどうかで、その後のキャリアが違ってきます。

 自分で満足のできるキャリアを残すには、人生の大きな節目にしっかりとプランを立てることが重要です。

 キャリアプランを立てるとき、人は高い高い塔のてっぺんに立っているようなものです。そこから後ろを振り返ると、いままでに歩いてきた道筋を一望できて、また、前を見渡せば、これから歩いていく「未踏の大地」が果てしなく広がっています。山あり谷ありぬかるみあり、ひょっとすると道なき道を切りひらいて行くことを選ぶかもしれません。何を選ぶかは全く自由ですが、選ぶ根拠は、自分自身の価値観=モノサシであり、結果については自分で責任を引き受けることになります。

 どのような考えをもっていままでのキャリアを描いてきたのか。そこにはどんな意味があったのか。

 どのような考えをもって今後のキャリアを描こうとするのか。そこにはどんな夢があるのか。

 そんなキャリアストーリーを自分なりに語れるようになったとき、「自分らしさ」「生きがい」「私の幸せ」等々の輪郭が見えてくるのではないでしょうか。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2003年12月01日 12時12分05秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: