ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2003年12月09日
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 また、最近ではインターネット上にも職種情報が増えてきましたから、その中で差別化するには網羅的に情報を並べるのではなく、何らかの特色を出したほうがいい。そこで、最近のトピックスを盛り込みながら、ジャーナリストとしての私独自の視点からまとめてみたいと思います。

●薬剤師がテレビ電話に登場した理由

 24時間営業のディスカウントストアであるドン・キホーテが、深夜や早朝の時間帯にテレビ電話で薬剤師が相談に応じつつ医薬品を販売するサービスを始めたところ、厚生労働省から待ったがかかり、ひと悶着ありました。

 法律上、医薬品は薬剤師が店舗に常駐して対面販売を行わなければならないことになっているので、テレビ電話は「対面販売」の範疇を超えるというわけです。

 ところがまた事態は一転しました。厚生労働省の有識者会議が、テレビ電話方式による深夜・早朝の医薬品販売を条件付きで容認すべきだとの見解をまとめ、これを受けて法改正へと流れが変わったのです。

 ドン・キホーテがテレビ電話を使い始めた背景には、薬剤師の人手不足の問題があります。ドラッグストアでは高い時給を提示しても薬剤師が集まらないそうです。洗剤、ティッシュペーパーからコンドームまで一緒に売るような窓口での仕事は、あまりプライドをくすぐってくれないのでしょう。時給は2,000円以上が相場で、中には1カ月10万円の資格手当を上乗せするところもあるとか。

●旅する薬剤師

 薬剤師の人材紹介や派遣を行う会社へは、「ラベンダーの季節に3カ月ぐらい北海道で働きたい」とか「冬の間は蟹のおいしい北陸方面で働きたい」といったリクエストをする薬剤師もいるとのこと。

「ファーマシスト・トラベル(旅する薬剤師)」という言葉もあるそうです。

 このご時世に、なんともぜいたくな話ですね。そういえば、私の知人の薬剤師は、屋久島の魅力にとり付かれ、移住すると言っていましたっけ。人口の少ない地方では調剤薬局でも薬剤師が不足しているとか。日本全国どこでも求人のある専門職は、うらやましい。

●2008年には供給過剰に転じる?

 厚労省の調べによると、2000年12月31日現在における、全国の薬剤師の数は21万7477人。薬剤師全体の7割を女性が占めるため、結婚や出産の影響が出やすい30代では離職率が高まり、有職率は7割程度と見られています。

 厚生労働省のホームページにある職種情報の「JOB JOB WORLD」には薬剤師として働く人の数の推計値が出ています。これによると、2000年が12万8885人、2005年が13万1522人、2010年が12万9799人となっています。つまり約13万人をピークに、以後、減少に転ずるということでしょうか。

「2008年以降は薬剤師過剰時代を迎える」という説もあります。現在、20校近い学校が薬学部の新設を希望しています。年間約8500人が国家試験に合格していますが、薬学部新設後は1万3000~1万4000人に増える計算になります。それだけの受け皿がないのではないかというわけです。

●薬学部6年制へ

 来春、大学の薬学部に入学すると、卒業するころには薬剤師過剰時代がそろそろ始まってしまう計算になります。

 また、薬剤師のタマゴたちには、もうひとつ大きな変化が待ち受けています。文部科学省と厚生労働省は、質の高い薬剤師を養成するため、大学の薬学教育を現行の4年から6年に延長する方針を固めました。つまり、薬剤師国家試験の受験資格が「6年制の課程を修了すること」になるわけです。

 今後、文科省は学校教育法、厚労省は薬剤師法の改正作業を進め、法案を来年の通常国会に提出します。成立してから施行まで2、3年の周知期間をおき、新入生から適用するというスケジュールになります。

「薬学部を6年制に」という意見は、早くも94年に出されていましたが、当時は「時期尚早である」との結論に落ち着きました。

 ところが、遺伝子治療薬、分子標的薬といった全く新しい薬の開発が進み、より幅広い知識が必要になっている上、薬にからむ医療事故の防止など、医療現場で薬剤師に求められる役割が重みを増してきました。これに応えられるよう臨床教育を充実させるには4年では不十分という判断になったのです。

 医師とのギャップも問題視されています。医師には2004年度から卒後2年以上の臨床研修が義務づけられます。学部教育と合わせ医師が8年、薬剤師が4年では、医師と薬剤師の実力の差は、ますます開いていくことになってしまうのです。

 欧米諸国の薬剤師養成プロセスと比べてみると、米国では2年の基礎教育に3年か4年の薬学教育が必要。英国やドイツは4年の学部教育に1年間の卒後研修が必要となっています。

●医薬分業で病院での雇用は減少

 薬剤師の就職先は、製薬会社、病院などの医療機関、調剤薬局、ドラッグストアなど。経験を積んだ後、個人で薬局開業というキャリアパスも可能です。

「医薬分業」といって、病院では処方箋を出すのみで、調剤は薬局でという分業スタイルが進んでいるため、病院での薬剤師の雇用は減ってきています。

 調剤薬局での仕事は、単に薬を調整するだけでなく、患者に対して正しい服用の仕方を指導し、副作用についての注意を促すなどの、対人コミュニケーションの仕事のウェイトが大きくなっています。

 キャリアを積むごとに、薬というモノを相手にする仕事よりも、患者というヒトを相手にする仕事のほうが、やりがいがあると語る薬剤師も多くなっています。

 一方、研究者タイプの人は製薬会社での新薬開発の仕事が向いているでしょう。

●ニーズが高まる治験コーディネーター

 新薬開発については、日本は欧米先進国に比べて開発から国家による承認、そして患者が利用できるようになるまでの期間が長過ぎることが問題になっています。

 欧米で標準的に用いられている抗がん剤の中には、日本では未承認あるいは、「胃がん治療で使うには保険がきくが、肝臓がんでは保険がきかない」といった制限つきの薬もあり、それでも薬を使いたい人は、欧米から個人輸入して保険適用外の高額の治療費を払っているのです。

 優れた新薬をいち早く患者が使えるようにするために、その活躍が期待されているのが治験コーディネーターです。新薬開発のプロセスの中には、副作用を調べるために行う臨床試験(=治験)が欠かせません。

 その臨床試験に協力してくれるボランティアに対して、インフォームドコンセント(説明と同意)を行い、治験を行っている間にボランティアの健康管理やカウンセリングといったケアもして、医師や製薬会社側と緻密な連携をとりながら治験プロジェクトを円滑に進めるのが治験コーディネーターの役割です。

 治験コーディネーターについては、現状では公的な資格が存在せず、日本看護協会や日本病院薬剤師会、日本薬剤師研修センターなどが養成研修を行っています。

 看護師、臨床検査技師と並び、薬剤師出身の治験コーディネーターが多数活躍しています。

 最近では、治験業務の代行・支援を製薬会社や病院から請け負うSMO(Site Management Organization)と呼ばれる専門の会社が増えており、薬剤師や看護師を治験コーディネーターとして採用・教育しています。

●ケアマネジャーの資格取得者は1万5361人

 薬剤師の仕事のジャンルの中で、もうひとつ、意外に知られていないのが、経験5年以上でケアマネジャーになれるということです。

 ケアマネジャーになるには、医療・保健・福祉の分野で専門職として5年以上経験した上で、介護支援専門員実務研修受講試験に合格した後、研修を修了することが必要です。そのような専門職のひとつとして、薬剤師がカウントされているのです。

 昨年までに行われた全5回の試験の合格者数は26万6688人となり、うち薬剤師の総合格者数は全体の約6%を占める1万5361人で、全19職種中で5番目に多い職種となっています。

 薬剤師ケアマネジャーの強みは、薬局という市民の生活に最も近い場所にいて、身近な介護相談に乗れることでしょう。

 また、他の専門職種が苦手とする薬剤・洗剤に関する抱負な知識を持っているので、介護用品の洗浄・消毒、要介護者のいる室内環境の美化・衛生、服薬指導といった分野で要介護者や介護を行う家族に対して大きな貢献ができるでしょう。

●もっと詳しく知りたいなら

http://www.shigotokan.ehdo.go.jp/jjw/top.html
厚生労働省JOB JOB WORLD
薬剤師を検索してみてください。3人の薬剤師の体験談を映像で見ることができます。

http://medwave.nikkeibp.co.jp/ndi/bn/colum/inside.html
Inside Outside>薬剤師によるエッセイ
薬剤師をめぐる最近の話題を鋭く切り込んだエッセイです。

http://www.chikennavi.net/jobcrc.htm
治験ナビ
治験コーディネーターの仕事の内容などについて詳しく解説しています。

http://www.caretemp.co.jp/bus/cont/human/chiken.html
治験コーディネーターの派遣・紹介サービスです。

http://www.nichiyaku.or.jp/
日本薬剤師会
薬剤師の職能団体のホームページです。薬剤師になるための情報など、全般的な情報を知ることができます。

http://www.tokyoapo-cares.gr.jp/html/Explain.htm
薬剤師ケアマネの支援組織、アポ・ケアーズ
「薬剤師がケアマネジャーにふさわしい理由」など。






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最終更新日  2003年12月09日 22時08分50秒


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