ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2004年02月27日
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 電車の中で、ときどき幼い子どもと母親の会話が耳に入ってくる。

「お母さん、なぜ……は、……なの?」

 子供というものは、ときどき恐ろしい質問をする。「なぜ、空は青いの?」とか、「なぜ、男の人はチカンをするの?」とかね。

 大人にとっては、あまりにも当たり前過ぎて、なぜそうなのかを疑うこと自体がバカバカしいような疑問。

 こうした「根源的な問い」を向けられると、たいていの母親は、「そんなことどうでもいいじゃないの」と話題を変えようとしたり、「なぜなんだろうね。お母さんも分からないわ」と答えるケースが多い。まあ、電車の中では外聞もあって、やたらなことは言えないから、ブナンな対応ではある。

 では、家の中ではこうした「根源的な問い」にキチンと答えているのだろうか。小さいお子さんをお持ちの皆さんは、いかがでしょうか。

 自分が子どもだった頃のことを思い出してみると、私は「なぜ?」が大好きだった。「なぜだろう、なぜかしら」というタイトルの子ども向け科学読本を愛読していた。そして、「なぜ?」を身近な大人にぶつけては、その反応を楽しむようなところがあった。最後まで根気強く付き合ってくれる大人はいなかったけれどね。

「どうしてお前は理屈ばっかり言う!」と父に怒鳴られることもしばしばだった。そんなふうに暴力的に来られると、私は余計に理屈にこだわり、大人がぐうの音も出せないような完ぺきな理屈をこしらえようとして、ない知恵を絞ったものだった。だから余計に大人を苛立たせるワケ。

 教え過ぎはかえって逆効果なのかもしれないけれど、核家族が当たり前の現代社会では、子どもの知的好奇心を刺激してくれる身近な大人が決定的に不足している。親とは全く異なる価値観の持ち主が、親とは全く異なる考え方を示して見せたり、時には親との価値観の違いによるバトルを子どもの目の前で展開するといった場面も、子どもの成長には必要ではないだろうか。そう、嫁姑の争いも、子どもにとっては害ばかりではないのだと、烈しいものを見てきた私は確信をもって言える。

 私の場合は、家が祖父母や叔母、両親に弟という大家族で、おまけに祖母の田舎から呼び寄せた「お手伝いさん」や、稼業の魚屋を手伝ってくれる「若い衆」もいた。近所のお兄さん、お姉さん、おばあちゃんたちも可愛がってくれた。私にとって、家族はつねに地域に開かれた存在であり、千客万来、お客さんとともに、または家族揃って食卓を囲んでいる光景が、一番幸せそうなシーンとして私の記憶に焼きついている。

 だが、笑顔の裏には、ずるがしこい顔もある。色々な大人が、私の前で色々な素顔を見せ、ケンカしたり、ウソを付き合ったり、隠し事をしたり。

 おばあちゃんは「ママにはナイショだよ」と言い、母親は「おばあちゃんに言っちゃダメよ」と言った。姉のように慕っていた12歳違いの叔母は、母と祖母がケンカすると決まって「アンタのママが悪いのよ」と私に言った。

 つまり、それぞれに違う個性があり、事情があり、現実対処能力や流儀に差があることを身をもって教えてくれた。

 世の中に情報はあふれているけれども、その情報をどのように取捨選択し、自分の中に取り込んでいけばいいか。それには自分ならではの「モノサシ」が必要だけれども、その「モノサシ」を形成するには、世の中には色々な「モノサシ」があり、たった一本ではないということを知らなければならない。学校で教える「モノサシ」は完ぺきではないし、親の「モノサシ」だって全面的に信頼できるとも限らない。

 テレビのニュース番組で振りかざしている「モノサシ」は、首尾一貫していなくて滅茶苦茶だ。スイッチを切ってしまえば、発言の主は消えてしまうし、こちらから質問をぶつけたくても、空しく画面に反射するだけだ。

 家族が壊れている。それが、現代日本の最も典型的な社会病理のひとつだと言われる。

 壊れてしまった原因のひとつは、家族が閉じた存在になろうとするからではないかと私は思う。

「3歳児神話」を信じ込まされた母親たちは、子どもを家の中に囲い込み、まるでカンガルーのような母子密着状態で育てようとする。

 かくして、子どもは母親の価値観、母親のモノサシを刷り込まれる。1人の人間が多様な価値観を持とうとしても、無理がある。複数の価値観を組み合わせても、それはそれでまた1つの価値観であり、その枠を出ることがないからだ。

 英会話、ベビースイミングといった、幼児向けの英才教育教室へ通わせるのもいいが、ああいった教室では、知識や技術を子どもに覚え込ませることはできても、「なぜ?」という疑問を飽きるまで突き詰めるような、そんな基本的な考える訓練の場とはなり難い。



 そんなことを考えています。

 キーワードは、育児といっしょに「育自」。親が変われば、子どもも変わる。親が成長するから、子どもも成長する。そんな好循環を促進する「本」はつくれないかなあと。





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最終更新日  2004年02月27日 10時35分06秒


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