想い出は心の宝石箱に。。。

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2019.09.11
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カテゴリ: 創作
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       ==    第三章   ==

忘れかけていた過去を、一つ一つなぞるような男の質問に、明美は 次第に

 いいしれぬ恐怖感に
とらわれてきた。

  この男は、自分の過去を総て知って、意図的に近づいてきたのだ。



 ( あなたは、一体だれなの? そして、何の目的で・・・・・ )

 ( そう先をいそがなくてもいい。いずれは、わかることだ。)


  冷たく言い放つ男の目は、獲物捉えどのように
料理しようかと考える、 猛禽類

 の
ようであった。



  これまでの興奮も一挙に醒め、
部屋から逃げる ように出ようとした。 

 ( ところで、その老人が自殺したのは、知っているか? 

   いや、自殺じゃないよな。いってみれば、神戸に殺されたのだから。
  )


 追い打ちをかけるように、明美の背中に向かって男が叫んだ。

   
  もしかしたら・・・ いや、そんなはずがない・・・


  ホテルの前に待機していたタクシーに乗り込んだ明美は、宮町の
マンションへと

    向かった。明美の中に放たれた男の残滓が、不気味にまとわりつくよう、

 ショーツを
濡らし始めていたのだった。

        



  其の日以来男が店に、再び現れることはなかった。


  街は師走の風景に変わり、12月から光のページェントが始まっていた。


   杜の都仙台の象徴は、定禅寺通りなどの欅の並木道。冬枯れして殺風景になった

 姿を
憂えた市民が、仙台七夕の天の川に例えたイルミネーションを飾ったこと

 から、光の
ページェントと呼ばれるようになった。


     定禅寺通の中央分離帯にある遊歩道の様子(2007年)

ジョルジュも忘年会などの客で、多忙を極めていた。

  店が釣当台という一部上場企業のオフィス街に近いこともあり、取引先の 接待場所

   としてジョルジュは、よく使われていた。

  その意味では、いい客層を掴んでおり、店の経営も比較的安定している。



   明美より4歳年上のめぐみが、ちーままとして若い子たちを、うまく
纏めて

 いた。常勤は明美とめぐみ、20歳代の女の子を5人アルバイトで起用し、


 2~3日
勤務として、店には恒に4人がいるような、シフトを組んでいる。


 彼女達は、学生や
昼間働いている OL で、当日急に休みをとることも多く、

 繰りに苦労する毎日が
続いていた。



お酒を飲む社会人 44042865

  


  暮れも押し迫ったそんなある日のこと、常連客の一人と夕食を共にした後、

明美は
店にその客と同伴出勤した。同伴出勤とは、クラブやバーのホステスが、

 客と
食事をしてそのあと一緒に、そのまま店にはいること。店によっては、

 < 強制同伴日 >
として、月に何回かその日を設けて、彼女たちに強要している

 ところもある。



  店内は満席状態で賑わっており、カウンターに目をやると、あの男が
座っている。

   明美は、わざと男を無視し、側をすり抜けようとした。



    ( ママ、お高くとまんじゃねえ~~ぞ!! )

     明美の腕を掴み、男が叫んだ。

高級感のある落ち着いた雰囲気の店内



   店内の空気が一瞬凍りつき、総ての客の視線が二人に、注がれたので
あった。

   そこは、百戦錬磨のクラブのママである。


  ( お客様、も~酔っていらっしゃるの? )

   掴まれた手をほどきながら、明美は男に微笑んだ。



 ( この前と、同じホテルで待っている。 )

  と小さく呟くと、何事もなかったように、男はグラスを傾けたのであった。



               




走る犬のgifアニメ     == 続く ==   走る犬のgifアニメ走る犬のgifアニメ


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Last updated  2019.09.11 12:02:02
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