慢性膵炎とアルコール依存

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2025.05.13
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カテゴリ: 病院でのこと。




通勤の電車に乗り込んで数分したところで
電話がブルブル震え出した。
夫からだ。

社内だから出れん。
LINEで今電車だからごめんね、ちょっと待ってと伝えたが既読にらならなかった。

途中下車し、電話を掛け直した。
状況が知りたい。

「もしもし、体調はど?」

「・・・ない。」

?

「記憶が、ない。」

「いつから?」

「入院した日の夜。」

入院したのは覚えているらしい。

「そこから、ないの?」

「ない。」

「・・・えっと、入院したのが先週の水曜日の夜ね。
今日は火曜日だから…ちょうど一週間だね。」

「会社はどうなってる?」

・・・いや、自分で連絡するって言ってたから知らんけど。したんじゃないの?

「・・・記憶がない。どうなってんの?」

「先生からはなんて言われてるの?」

「金曜、退院。」

マジか。
嬉しいのと不安と半々だ。

「会社どうなってんの?」

だから知らんがな!

「連絡してみたら?」

「・・・うん。」

お、まだ頭にモヤはかかってはいるようだが
だいぶ通じているような…。

この数日のおかしな感じが残っているかもしれない不安はありつつも、今日は通常の夫に近いように感じた。

この数日の記憶がないっていうのも、
回復の兆しなのか。

ジキルとハイドってこんな感じ?
全くの別人格だったと思えば良いのか、
それとも覚えているが無かった事にしたくてそう言っているのかは推し量れなかったが、
いずれにせよ、意志を取り戻したと考えていいだろう。

あのおかしな感じを見た後で、元の生活に戻れるのかの不安はあるが、久しぶりに夫に会えたような安堵感は感じられた。

また夜にでも連絡してみよう。

…と思っていたら、仕事中に電話が来た。

「何が起きた?」

まただ。また覚えてないんだろう。

「記憶、ないの?」

「ない。」

「いつからないの?」

「・・・。」

「入院したのは覚えてる?」

「覚え、てる。」

「水曜だったよね?
今日が火曜日だからちょうど一週間。」

「計算が合わねーじゃねーか!」

急に声を荒らげた。

これも症状のうちなのか。

「ん?」

「だーかーらー!
今日が火曜日なら水曜日は未来じゃないか!」

・・・え?理解ができないんだ?

時系列がわからなくなってるのか。

数日の記憶が飛んだだけならまだしも、
一般的な事もわからないのかと不安を覚えた。

「違うよ、入院したのは先週の水曜日だよ?
それから一週間経ってるんだよ?」

「・・・そういうことか、、」

なぜこの場所にいるかもわからない、という。
入院している記憶はあるのに。

もう一度、入院までの経緯を話した。

タクシーを呼んで病院に向かったこと。
痛みが酷くて強めの鎮静剤を投与したこと。
土曜日に面会したこと。

なんとなくは記憶があるようだけど…。

アルコール依存症の離脱症状だよ?
と言ったが、

「それはない。」と否定して黙った。

依存症の怖いところは病識が持てないところ。

そのまま無言になってしまったので電話を切った。

今朝は回復したと思ったが、
私が考えているほど良くはなっていなそうだった。

また夜になり、帰りがけにLINEを入れてみた。

「ご飯は食べられるようになった?」
「私や朔のこと、覚えてる?」

この数日間はLINEへの返信は一切なかった。
電話はかかってきたが。

もしかすると文字を打つなどの細かい動作も難しいのか。

「食べれる。
おぼえいる。」

短いが、返ってきた。

さらに「何食べたの?」と入れたが
既読にはなったがそれきりだった。

本当に、こんな状態で退院していいのか。
もう考えることに疲れてきた。

今日はもうこれ以上、考えるのはやめておいた。






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最終更新日  2025.05.16 20:26:31
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