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先日、NHK BSプレミアムで放送された「 旅の力
60歳のフラメンコ・官能を取り戻す ~大杉漣・アンダルシア~
を見ました。
感動したところがたくさんありました。
ちょっと、まとまりがないかもしれませんが・・・m(__)m
感動が冷めないうちに書いておきたいので・・・
60歳を目前にして、死がリアルに感じられ
老いも、より側に来ていると思うけれど、
まだ何かできるのではないか?
まだ自分らしいものに到達していないのでは・・・?
と、、フラメンコ修行にスペイン、セビージャに旅立った
大杉さん・・・
全く初めてフラメンコの手ほどきを受け、最終的には大杉さんがフラメンコでなく
無言劇を演じたのには、賛否両論あるかもしれません。
私も、先生達が涙を流して感激していたのでこれで良かったとは思ったのですが、正直
あんなに一生懸命教えてくれたペタンソ先生に対して
ステップのひとつも加えていないのはもしかして
残念なのじゃないか?と思ったりもしたのですが・・・
録画してあったので、もう一度見直してみたら
これはこれでよかったのだな、と思いました。
セビージャで、グランドマエストロであるマノロ・マリンさん(75歳)
に合い、その弟子のマヌエル・ペタンソ先生(38歳)に
初めてフラメンコを習う大杉さんでしたが、そのリズムのとりかた、
ステップの難しさに驚いてしまいます。、
ギターも弾ける大杉さん、自分のリズム感にも体力にも自信が
あったのではないでしょうか?
5日間で「ソレア」を練習し、6日目には大御所マノロさんに
お披露目することになっていました。
最後のレッスンの後、大杉さんには苦悩の色が現れていました。
一応、趣味ですが習っている者として言わせて頂くと初心者が5日間でフラメンコ踊れるわけはないんです。
もし、批判されるのであれば、これは企画の問題では
ないでしょうか?
ある程度、何年か学んだ人でなければ無理なのです。
(私も、こんなに難しいものはない、奥が深い、と
時々落ち込む事があります)
フラメンコを少しあなどった企画だったの?・・・いえ、そうではないのかも。
この企画では
60歳をむかえてフラメンコに魅かれた男の生きざまと
これから俳優として生きてゆく指針みたいなものを
大杉さんが見つける、そして今の自分自身をも見つける旅
・・・に重点がおかれていたのではないでしょうか?
大杉さんと同年の私には心に響きました。
そして直接指導して下さったペタンソ先生が
苦悶する大杉さんに、お披露目の前に
送った詩に涙しました。
これが私の孤独だ・・・
今は離れて静観してみる時だ
いつもひとりでいたいわけではない
でも
私は自分の孤独に魅力を感じる
ひとりでいる事が好きではあるが
それは私を傷つける
しかし
私は私自身である必要を感じ
私自身を感じることができるのだ・・・
この詩はペタンソ先生が
この時の大杉さんを見て一晩で書きあげたものでした。
ペタンソ先生はレッスンしている時言っていました。
「振りなんて忘れたっていい、毅然として
その時の自分の感情を表現し、自分を伝えるんだ」って。
こんな詩が書けるなんてフラメンコに真摯に向き合い、修行されてきた
本物のプロなのだと思いました。
( 実は私・・・この詩、『これってあたしのことだ!』って
涙が出てしまったのです。)
先生の詩に感激してなんども読み返していた大杉さん。次の日のお披露目の「ソレア」は、この詩を朗読し
そのあと大杉さんが自分自身を演出した、
迫真の無言劇になりました。
そしてそれは、今の大杉さんの精いっぱいのフラメンコなのでした。
終わった時・・・ペタンソ先生もマノロさんもカンテ(歌手)さんも
感激し、涙を流していました。
大杉さんの迫力に相対し、思い切り歌で表現したカンテさんは
「シンプルな演技だったから、心が伝わったんだ」
と感動を隠しきれない様子でした。
大杉さんが、フラメンコの練習を始めて間もなく
マノロさんの自宅を訪問する場面がありました。
75歳のマノロさんは、舞台に出る回数は減ったけれど
毎年その表現力がアップして行くと評判なのでした。
若い頃の写真は、野性味があってすごくステキでした。
今はお腹も出て、まるくなってかわいいおじいちゃんて感じですけど・・・
いや、ほんとにチャーミングです。
踊っているところが少し出ましたが、私達の先生のお師匠さんの
C子先生の踊りを思い出しました。
やはり存在感が圧倒的なんですよね。
この時のマノロさんの言葉が身に沁みました。
「 誰でも、老いたくはない・・・でもすべてを失うわけではない。
失うのは表面上の美しさや肉体のパワーくらいだ。
それに代わるものがある。
派手に踊るだけがフラメンコじゃない。
フラメンコは悲観的だったり、 激しく表現する事が 多いけれど、
瞬間の静けさも必要なんだ。
『葉っぱは森を見せてくれない』と、いうけれど
葉が茂りすぎると森の美しさが見えなくなる・・・
と同じように派手に動くだけでは観衆に
何も伝わらないんだ。 」
大杉さんにもその言葉は心に刺さったと言っていました。
俳優としての自分もこれまで過剰に演じる事が
一生懸命やることと錯覚する事があった・・・と。
私達の先生もいつも同じ事をおっしゃってますよ。
「フラメンコは心」・・・なのだと。
5日間の練習が終わったとき、人間の存在を表現するには
今の自分のフラメンコの技術はあまりにつたない、もどかしい・・・
俳優一筋に生きてきた大杉さん、演技で先生達を
感動させたのは、やはりプロのなせる技でしょう。
この番組、楽しい事や参考になる事もたくさんありました。
フラメンコの12拍子は独特の「揺らぎ」を表現するんだって。
それから町のフラメンコ同好会のお店があって
老若男女がセビジャーナスを踊ってた!
いっぱしに衣装を着て踊る小さい子供たちのなんてかわいいこと!
私達が習ってるのと同じ振りのようでした。
曲もよく聞いている曲で、楽しくなりました。
わ~セビージャに行ったら、スペインの人とセビジャーナス
踊れるかもかもしれないんだ!
ナレーターも言ってたけど、
フラメンコは、こう踊らなければいけないという決まりはない、
うまい下手もない、プロもアマもない…
自分の感情を、自分の存在を伝えることなのだ、と。
大杉さん、もうフラメンコ習わないのかなぁ~
何年かしてまたセビージャに行ってほしいな~
そう言えば、もうすぐセビージャはフェリア(春祭り)です!