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開催日:2025.4.10(木) 19:00開演
場所 :長門町民センター 集会ホール
サントミューゼの上田地域定住自立圏連携事業 岡田奏 ピアノコンサート in 長和町へ行ってきました。
プログラム
1.C.ドビュッシー:プレリュード集 第1集より 亜麻色の髪の乙女
2.F.クープラン:クラウザン曲集 第2巻 第6組曲 神秘的なバリケード
3.M.ラヴェル:クープランの墓より プレリュード、リゴドン
4.J.P.ラモー:新クラウザン組曲集 第1番より ガヴォットと6つの変奏
5.C.ドビュッシー:映像 第1集より ラモーを讃えて
6.C.ドビュッシー:ベルガマスク組曲より 月の光
7.C.ドビュッシー:プレリュード集 第2集より 花火
アンコール
8.F.ショパン:バラード 第1番 ト短調 作品23
レポート
プレリュード集 第1集より 亜麻色の髪の乙女
オープニングはしっとりした雰囲気の亜麻色の髪の乙女でのスタートとなりました。J-POPの世界では、亜麻色の髪の乙女というと島谷ひとみの曲というイメージがありますが、クラシックの世界ではドビュッシーのこちらということで、一音一音耳を澄まして奏でられる演奏を楽しませていただきました。特に美しいと感じたのは、演奏が終わって音が消える瞬間で、ピアノの響きが完全に消えるまで静かに聴いているギャラリーの一体感もまた格別のものがありました。
クラウザン曲集 第2巻 第6組曲 神秘的なバリケード
バッハと同じ時代に活躍していたクープランの作品とのことですが、ピアノで弾いているのにどうした訳かチェンバロの音色が脳裏で鳴っているような不思議な感覚がありました。演奏後にこの時代にこんな洒落た曲があったんですね…というお話がありましたが、ドイツ系のバッハとフランス系のクープランということで、フランス音楽のお洒落なところを垣間見たひとときになりました。
クープランの墓より プレリュード、リゴドン
全曲演奏すると30分かかる大曲から、プレリュードとリゴドンの抜粋演奏となりました。演奏に先立って岡田氏から曲について詳しい説明があり、曲ができた背景を知った上で聴くとよりリアルな描写を脳内で想像できる感触があり、ラベルが戦友に捧げた音楽の一片を楽しませていただきました。
新クラウザン組曲集 第1番より ガヴォットと6つの変奏
ラモーもバッハやクープランと同時代に生きた作曲家とのことで、フランス系のお洒落さはあるもののバロック音楽の匂いを感じるところがあり、聴いていて自然と背筋が伸びてしまうような神聖な雰囲気がありました。そういえばバロック時代の音楽は神に捧げるものだったという話もきいたことがあったような…というところです。
映像 第1集より ラモーを讃えて
ラモーつながりということで、ドビュッシーがラモーをリスペクトして書いた楽曲ということが伺える曲で、このあたり〇〇の主題による…という楽曲群とどこか共通する部分があるのかなと感じました。
ベルガマスク組曲より 月の光
あまりにも有名なので説明することはありません!というドビッュシーの代表曲ですが、それだけに演奏者の個性がよくわかるところで、岡田氏のダイナミックで繊細な演奏スタイルを感じつつ楽しませていただきました。また今回演奏者の表情をよく見れる位置での鑑賞となりましたが、その表情の変化だったり、強奏部では髪を振り乱して体全体で音楽を表現する様を間近で感じれることはまさにライブの醍醐味だなと改めて感じました。
プレリュード集 第2集より 花火
演奏に先立って岡田氏より、いろいろな花火がありますが、曲の終わり方が線香花火の最後を感じさせるというお話がありました。線香花火の終わりといえば火の玉となって落ちて終わるパターンと、そのままゆっくり火が消えて黒い球となって終わるパターンがあったことが記憶としてありますが、ドラゴンとかいろいろ派手な花火をやって最後に線香花火をやったという幼い頃の懐かしい情景が蘇ってきた次第です。
バラード 第1番 ト短調 作品23
アンコールで演奏するには大曲すぎるバラード第1番と感じましたが、事実上の締めの1曲。岡田氏の演奏の特徴として強奏部の打音がとてもダイナミックで、ショパンの音楽に秘められた「花園の中に大砲が隠されている」というシチュエーションをじつに見事に表現していたように感じました。演奏後はギャラリーからブラボーも飛び出しました。
まとめ
上田地域定住自立圏連携事業ということで、上田市に隣接する自治体の中で毎年1回地域ふれあいコンサートに準ずる形で行われる60分のコンサートの今年度の第1回目になりますが、この長門町での公演を拝聴するのは私自身2回目で、ホールの構造としてステージの背面がガラス張りになっていて解放感があり、うまくすれば月の光を演奏している時に月が見れるといったステキなことも起こりうるのかなと思いました。そして岡田氏の演奏を聴くのは同じく上田地域定住自立圏連携事業として行われた2021年12月の坂城町での演奏会以来でしたが、3年半ぶりに聞く演奏は前回同様に骨太で力強く、また機会を作って是非拝聴してみたいという想いを強く持ちました。