かねてから報道されていたトヨタ車の品質問題。アクセルがフロアマットに引っかかって踏みっぱなしの状態になりブレーキが利かない。それで交通事故に繋がった、死者が出たなどの事例がアメリカで問題とされてきた。裁判にもなったし、当局も問題視して米国トヨタと対応策について折衝が続けられていた。
この問題に対して、多数の車のリコールが発表され、ビックリしたのはこれらの一連の問題に対応するために多くの工場を止めて問題の根本解決を図ると発表されたこと。リコールの方は、今までの報道や当局からの指摘に対して問題を否定したり逃げの姿勢が垣間見られたが、それにようやく終止符を打ち真正面から立ち向かう姿勢が明らかにされたので、やや遅きに失したがまず然るべき路線に立ち至ったという印象。まあ、そんなもんやろうと私は思った。
対して、工場を方々で止めてチェックするというのはビックリ。これでトヨタの本気さが一気に肌で感じられた。いよいよホンマに本気で取り組むのやね。立派やね。と素直に高く評価。裏の事情は全然知りません。マスコミの報道を追いかけてるだけですけど、ここまで踏み込むところにあの会社の真骨頂があるように見えました。
今までのリコール問題への対応は、それはそれで適切だったと思うが、結果論としては一歩踏み込みが足らなかったのかもしれない。それが一気に変わった。そんな印象を強く受けた。そういう対応が出来るのがトヨタの強み、我が日本企業の強みなのかもしれない。いや、そうに違いない。そう信じたい。
大体、一万点を越えるパーツ・コンポーネントを集めて作る自動車。その部品のどれか一つに問題があったら今回みたいな品質問題に繋がる。今まで、日本車は高品質と言われてきたがそれはまさしく神業でやれてきたこと。アメリカの車の品質が悪いと言われて久しいが、我が日本の車は優秀だと信じられてきた。実際そうだった。それはある意味で日本と言う独特の社会インフラや労働倫理があってこそ実現できたし維持できたこと。
それがこの20年ほどの間に現地生産が一気に増え、現地で設計し調達する部品が増えるに従って、この暗黙知として実践されてきた日本的生産システムが上手く機能しなくなってきた。抽象的に今回の問題を分析すれば、このような評価になる。分析は簡単やけど、これにどう対応するかはバカでかい問題。どの会社も直面する問題。
それに今回は真正面から取り組もうとする宣言が今回の工場の操業停止だとすると、これは本当に素晴らしいこと。偉い!
そもそも上に書いたように、事の本質は誰にでも当てはまる問題で、今回のようなことは誰にでも起こりうる問題。現にアメリカ車では長く起こってきたことと言える。また、車だけでなくいろんな製品や産業でも起こること。やる気になっても結果が出るまでに相当な努力と時間が掛かるに違いない。でもそれをやり続けないと品質の評判は回復できないし、維持できない。
この大きな問題にチャレンジしようという姿勢に拍手を送りたい。そして、それが一日も早く成果を生み出すことを期待している。問題が出ているときは暗い時。つらい時。今までの1-2年はそんな時期だったに相違ない。でもひとたび正面からチャレンジしようとすると、それがある意味で問題の半分が解決したと言える。それこそ陰から陽に転化した証が出てきたと言えるのだろう。
そんなせいかどうかは知りませんが、株価も下がったものの大暴落とまでは行ってません。(何を大暴落というかは定義の問題ですが) これは問題が底を打ったと、陰陽の転嫁が底流では起こっているのだと市場が評価したということなんやろなあ。そう私は解釈してます。無論、これからの株価などの動きを見てみないと結論は言えませんけどね。いずれにせよ、この姿勢と根性に拍手!一寸時間掛かりすぎたけどね。英語で言う、Better late, than never.
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