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辻井啓作

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 今日のテレビを見ていると、ボクシングの亀田兄弟の試合の宣伝がやたらと流れる。
 ボクシングのことはよく知らないから、偉そうなことは書けないが、いろいろと聞いた情報では、彼ら、特に長男とまだデビューしていない三男の実力はかなりのものとして期待されているらしい。ただ日本の、というかボクシング界の困った体質として、ちょっと期待できる選手には「かませ犬」となるあまり強くない外国人ボクサーとの試合を組んで、派手なノックアウトを演出し、必要以上に盛り上げるということを平気でやるそうなので、まだ若い彼らの将来の成長にはやや不安が残っている。

 さらに彼らに対する不安要素となるのが、父親がトレーナーだということだ。これもよく知らずに書いて申し訳ないが、テレビで見る限り、彼らの父親は本格的にボクシングにとりくんだ経験はないように感じる。もちろん、「名監督は名選手にあらず」という言葉どおり、指導者としての資質は選手としての資質と異なるものであるが、名指導者であるためには、結果に結びつかずとも、本気で強くなろうとして試行錯誤した経験は必須のものであろう。百歩譲って、選手経験のない指導者として大成することがあるとしても、そのためには、選手経験を補うための勉強と、実績のある選手や指導者に対して素直に教えを請う姿勢が欠かせないものであることは想像に難くない。
 非常に失礼な書き方であるが、彼らの父親からはそうした姿勢があまり感じられない。選手層の薄い競技であるため、ある程度の成果は残せるのかもしれないが、本来ならそれ以上に成長させられる選手を潰してしまいそうな気になってしまう。

 しかし、自分の子供、どのように育てようと親の自由といえばそれまで。法にさえ触れなければ、他人が干渉することはできないし、またその必要もない。

 と、ここまで考えて思い至ったのが、今日の企画である「親子スポーツ教室」である。
 ひょっとしたら、あまり経験のない人間が指導することの是非はともかく、子供にすべてを入れ込んで指導するあの父親のことをうらやましく感じる親は多いのではないだろうか。考えてみれば、ゴルフの横峯さくら、とかレスリングの浜口京子とか、親が競技経験なしに指導している姿に共鳴する番組などが多いくらいであるから、きっとそういう要素はあるのだろう。ましてや、自分が多少なりとも競技経験があればなおさら、指導したい気持ちは強いだろう。

 親は基本的に自分の経験したスポーツを子供にやらせたがることが多い。地域のスポーツクラブなどでは、そうした親が自分の子供に教えたがるばかりに、コーチを買って出ている姿を見ることも少なくない。こうした気持ちからの指導者によって地域のチームが成り立っているのは間違いないのだが、こうした「お父さんコーチ」の場合は、自分の子供についついえこひいきしてしまいがちなのが問題である。

 であれば、最初から「親が教える」という時間を作ってみてはどうだろうか。

 もちろん、専門家である指導者の立場から見れば、親の指導は、基本を無視していたり、子供の成長段階に合わせていなかったり、単なる思いつきの練習法であったりするかもしれない。そうした練習をさせることは子供にとってためにはならないかもしれない。
 しかし、親子のコミュニケーションがなくなっている現在、こうした手段でコミュニケーションが確保できるなら、それはそれでスポーツの意義ではないだろうか。亀田兄弟の父親のようにすべてをなげうってコーチをするのではなく、あくまで週に一度のコミュニケーション、そうすることで、親はより子供のスポーツを応援する気持ちになるし、なにより親子の共通の目標が持てたり、話題ができるのである。
 実際に少年スポーツのチームを見ていても、指導者にたしなめられるまで周りが目に入らず指導に出てくる父親、本当は指導をしたいのに指導者に遠慮して声がかけられない父親など、親の側のニーズはかなりあることは間違いない。

 まあ、正直に書くと、私の親はこうした押しかけコーチではなく、自身も競技経験を持ち、本気で指導をしている人間だったので、私自身はあまり親としての愛情を感じる指導を受けたことがないからわからないのだが、おそらく、子供にとっては、親の指導を受けるのはそんなに嬉しいものではないだろう。
 しかし、あくまでこの企画は、「ビジネスとしてスポーツクラブを運営する際の差別化」が目的。その意味からは、子供を「勝たせる」以外の付加価値として、積極的に親が参加できるという形態は、かなりの集客力を持つのでは、と期待している。






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Last updated  May 5, 2006 01:44:31 PM
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