さすらいの天才不良文学中年

さすらいの天才不良文学中年

六本木に旨いものあり

六本木に旨いものあり

 過日、食通の知人に旨いものを食わせる店に連れていって貰った。気の置けない同士の三人が集合した。

 六本木交差点を赤坂方面に歩いて少ししたところに、やや大き目の仏像が鎮座しているビルがある。その2階に通された。何の変哲もない居酒屋と思ったが、入って驚いた。造作は凝っている。土壁だ。コンクリートの打ちっぱなしを、土の打ちっぱなしにしたと思えば良いか。古民芸調で統一されている。落ち着いた雰囲気の店内である。

 お通しの後、料理をお任せにしたら、最初に生きたどぜうが出て来た。から揚げにするという。早速頼んでみると、これが絶品。ビールの摘みに見事に合う。写真は少し食してから、慌てて写真を撮ったもの。小奇麗に配置したものが出てくる。


どぜう


 造りなどいくつかの品を賞味した後、この店の手作りである焼きたてパンとチーズが出て来た。このパンがまた旨い。チーズはカマンベールの味で、まるごと出てくる贅沢さである。


パンとチーズ


 ワインはポルトガルにした。ポルトガルと言えば、ポートワインのイメージがあるが、地元ではダン(ぶどう酒)と言って、実は旨いワインが多い。赤のフルボディを頼んだ。これが大正解。しっとりした味で食が進む。

 おっと、生ハムの王様、食べ物のダイヤモンドであるハモン・セラノまでが出て来た。それを社長が目の前でスライスしてくれる。居酒屋が何時の間にか高級ビストロの趣きである。


ハモン


 締めをソーメンにした後(これがまた美味)、止めは、デザートの干し葡萄だ。房のまま出て来た。カリフォルニヤから直送という。味は少し甘めで、癖がなく、いくら食べても飽きが来ない。感激しておみやげにしてもらったほどだ。そうそう、このお店の器がまた良い。嬉しくなってしまう。


レーズン


 さて、このお店、六本木に2軒の店があり、現在台湾(台北)への進出も計画しているという。

 この店の社長は、「もっくん似」のいい男である。店の中を走り回っている。ヴァイタリティは人一倍ありそうである。その社長が2階のエレベーターで帰る我々を最敬礼でわざわざ見送ってくれた。礼儀上手である。見送ってくれた社長の噂をエレベーターの中でして、1階でエレベーターを降りようとしたら、その社長が何時の間にか1階のロビーで腕立て伏せのパフォーマンスをしていた。「奇遇ですねえ」とか言いながら。2階から1階に全速力で駆け下りていたのである。全くもってエンターテナーである。

 社長の名前は堀さん、お店の名前は、おっと、良い店の名前は秘密にしておくのが礼儀でせう。

 あの社長なら台湾でも成功間違いないだろう。なお、料金もリーズナブルであったことを付言しておきまする。

 良い店、良い仲間、良い料理。六本木の夜は更け行く。



蕎麦せんべいは旨い

 久し振りに旨い蕎麦せんべいを食した。


蕎麦せんべい


 前にもこのブログで書いた「薫風花麗」(フリーページ「六本木に旨いものあり」「仏像のあるお店」参照)でデザートの一つとして出てきた。ビールのつまみとしても最高である。

 蕎麦せんべいには、蕎麦を「そのまま揚げたもの」や「あられ」にしたものがあるが、このように本格的な蕎麦せんべいは始めてである。

 恐らく蕎麦を切った後の端(はし)を有効活用してせんべいにしたものだろうが、蕎麦の香りが旨く残っており、絶品の味であった。思わず、お土産にしてもらい、自宅で撮ったのが上の写真である。

 なお、このお店「薫風花麗」で出てくるパルメザンチーズ・サラダは、本物のパルメザンチーズをくり抜いて、その中で作るサラダである。旨くない訳がない。


サラダ


 ブルーチーズも絶品。


ブルーチーズ


 このお店には何時来ても裏切られることがない。


薫風花麗再び

 昨日が仕事収めであった。

 驚いたのは、通勤電車が満員で、特に日比谷線の混雑はひどかった。車両故障がいくつかの路線であったからのようだが、今年のカレンダーは29日が土曜日なので、仕事収めの会社が多かったことも影響しているのであろう。

 さて、再び、六本木の怪しい隠れ家、ダイニング・バー「薫風花麗」を紹介する(お店の詳細は「薫風花麗」で検索)。

 一昨日、いつもの気の置けないメンバーと共に忘年会を開催した。

 生ハムの王様である「ハモン・セラノ」(美味放浪「幻のハモン・セラノ」参照)を始めとし、美味と美酒に酔いしれることになった。

 ところで、この店には随所に気の利いたアフォリズム(箴言)が掲示してある。

 メニューには、「人生 やったもん勝ち」(飲んだもん勝ち)と書いてある。

“ If I wasn’t hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.
(タフでなければ生きていけない。やさしくなければ生きている資格がない)”
 Raymond Chandler 『PLAYBACK』

などの洒落た警句とは明らかに違う。

 寸鉄、人を刺すである。


薫風花麗


 このお店のトイレには、上の貼紙である。解説は不要である。

「人生 傾いて 候」

 また、行ってみたくなる。




© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: