さすらいの天才不良文学中年

さすらいの天才不良文学中年

つるぎかずを 見参

つるぎかずを 見参


つるぎかずを


 つるぎかずを作「人魚姫ろまん」1976年発行(昭和51年2月20日初版)である。入社3年目の25才で自費出版した。100部作成、暮れのボーナスを全額注ぎ込んでの出版である。当時で約35万円かかったような気がする。

 装丁には凝った。安部公房の大判の書籍の装丁をモデルに、自分一人で考えた。デザインや校正、編集も全て自分で企画した。表紙および本文のイラストは、当時ちょっとだけ付き合っていた多才の女性にお願いした。帯の推薦文は、高校時代からの悪友「太刀学(たち まなぶ)」氏に依頼した。いずれも快諾してくれて、嬉しかったのを昨日のように覚えている。

 本書は「人魚姫ろまん」、「ともだち」、「落陽」の3編を収録しており、あとがきにも書いているが、「人魚姫ろまん」は、おいらが22才のときの作品である(「ともだち」「落陽」は24才のころ)。これらの作品はある程度の水準には達していると今でも自負している。
「人魚姫ろまん」、「ともだち」はのびのびと書かれているところが良い。「落陽」は自叙伝風で、今考えると少し気負いすぎか。

 自費出版した100部は仕事の仲間、友人、知人、先輩に配布したら、あっという間になくなってしまった。今、手元には数冊残っているだけである。つるぎかずをの青春が詰まっているという訳であり、この本を前にすると今でもさすがに冷や汗が出る。

 しかし、あれから29年、今再び好きなことをしようとしている。その間は、おいらにとって実に貴重な助走期間であった。夢を実現するチャンスがまたやってこようとしているのだ。つるぎかずをよ、さあ、再び羽ばたこう。




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