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さすらいの天才不良文学中年
相場予測 終わりの始まり 資本主義の死
今年の株価予想
正月三が日はゆっくり出来た。
その三日に日本経済新聞を求めて駅前に出たが、人柄はまばらで、久し振りに正月を実感した。東急東横線沿線の我が某街も三日間は商店街がほぼ完璧に正月休みで、開店しているのはコンビニ位であった。正月はこれでなければいけない。昔の正月は全ての店が休んでいたのである。
さて、おいらは現役中、某紙と日経の2紙を取っていたが、自由人になってからは某紙のみとし、日経は専らネットで閲覧している。因みにネットに一番力を入れているのは読売である。
では何故、日経の三日版かというと、特集として「今年の為替と株価の予想」を掲載しているからである。市場がどう見ているかは、これでおおよその見当がつく。
今年の紙面を見ての結論は、ほとんどが昨年末までの予測と同じである。締切の関係で当たり前といえば当たり前だが、大勢は「春先安の年末高」である。
ほとんどが3月末までに底を打ち、その後は、年後半にかけて回復という予測である。しかし、逆張りする経営者もいるもので、年後半は軟調という少数派もいる。
ただ、おいらの経験でいえば、日経の予想は当たらない。
回りを気にして、毒にも薬にもならないことばかりを述べているからである。特に日経金融の予想はひどい。優等生のサラリーマン予想屋に当たる分けがない。
だから、日経の予想は貴重である。今年も「当たらない優等生の予想」をはずして買えば、大当たりになるはずである。
ま、そこまでの度胸があれば、であるが。
今の株価は低すぎる
年度末をいよいよ来週月曜日、迎える。
3月末の為替は恐らく100円をまたぐ水準だろうが、株価も1万2千円台と全く冴えない。
そりゃそうだろう、ついこの間まで株価は1万7千円だったのだ。全く、安倍総理が失脚して福田総理になったときには、これで株価は上がると思ったものだが、あれほど役人の言いなりになる総理だとは思わなかった。
お陰で株は大暴落である。
閑話休題。
しかし、冷静に考えれば、今の株価水準は低すぎるのではないか。何時も思うのだが、日本の株価を決めているのは、海外投資家勢である。
うがった見方をすれば、彼らがここまで日本の株価を下げさせたのには、何か理由があるのではないか。痩せ細った動物を買う輩はいない。しかし、安く買い叩き、太らせて転売することは可能である。
どうも過去のパターンのデジャブのような気がしてならない。
そうであれば、株価は今が底値で今年の後半あたりから徐々に回復していくという筋書きにならないとも限らない。
さて、新年度の株価は如何に。
円高、株安は政治の責任である
円高、株安は政治の責任である。
これほど金融政策に対して無策の内閣があっただろうか。財務官僚の言いなりになる福田政権は市場の不信感を募らせるばかりで、全く見事に何も手を打たない。
日銀総裁問題は決着が着いたが、あの事件も財務省の言いなりにしようとした福田首相のお粗末さが原因である。
そもそも我が国で日銀の独立性が確保されていないことが問題だったのである。
卑しくも一国の中央銀行である。その中央銀行たる日銀が旧大蔵省および財務省の言いなりになってきた歴史を正そうとする動きが今回の騒動の発端である。
日銀は、明治15年、ベルギー国立銀行をモデルにして創られた。その後、戦時統制化である昭和17年に、ヒットラー政権の独帝国銀行への支配を手本にして旧日銀法が創られた。首相と大蔵大臣が日銀総裁の任命権と解任権を持ち、政府が日銀業務の監督命令権を持つ(立ち入り検査まで出来る)という、内閣の下部組織とされたのである。
こりゃおかしいと、日銀の独立性を確保させようとする動きが過去にもあったのだが、その都度旧大蔵官僚が抵抗をしてきた。このような経緯の中で、平成9年、橋本内閣は新日銀法を成立させた。我が国もようやく中央銀行の独立に一歩を踏み出したのである。このときの改革のポイントは次の三つであった。
1.「総裁、副総裁、審議委員は衆参両議院の同意を得て内閣が任命する」という国会同意人事とした。
2.この人事は、「法に列挙された事由に該当する場合を除き、在任中、その意に反して解任されることがない」こととした。
3.日銀の最高意思決定機関である政策委員会は、総裁、2人の副総裁、6人の審議委員からなり、通貨および金融の調節その他の方針を決定するが、政府から出席する財務大臣と経済財政政策担当大臣は議決権を持たないオブザーバーとさせた。
つまり、これが政治なのである。改革なのである。内閣や財務官僚に支配される日銀ではなく、日本も中央銀行の独立性を維持する先進国に仲間入りしようとしたのである。
しかし、財務省は未だに日銀を自分の子会社と考えており、日銀支配を復活させようと悪あがきしているのである。その象徴的人物が最後の大蔵事務次官であり最初の財務事務次官だった武藤氏だったのである。福田首相が財務官僚の筋書きに乗った日銀総裁候補を提示すること自体、彼自身が日銀の改革について何も分かっていないことを露呈したのである。
しかもマスコミまでが「武藤で何が悪い」と主張したのには驚いた。この国には経済の分かるジャーナリストがいないのか。マスコミも財務官僚に操られているのである。
このような国に金融政策があるはずがない。そうであればこの国は「売り」である。
結論。円高、株安は政治の責任である。
実体経済から金融経済へシフトの危険性
12連敗であった。
今月3日までの日経平均の12日続落は、1953年5月21日から6月3日まで続いた史上3番目の連敗記録に並ぶ。因みにこれを超える記録は、
(1位) 15日続落 1954年 4月28日~ 5月18日
(2位) 13日続落 1949年11月14日~11月29日
の二回しかない。
いずれも戦後の混乱期である。とほほ、としか云いようがない。
その株が再び4日連続して続落している。
では、どうしてこのようなことになったのか。
おいらは、これを「実体経済」から「金融経済」へ世の中がシフトしたからだとみている。
米国が主導した経済構造の変化は、おいらたちの生活に直結した物やサービスの提供から利潤を生み出すという「実体経済」から、投機的な資本の運用によって富を生み出すという「金融経済」に流れを変えてしまったのだ。
このような経済構造の変化は、先進国における実体経済ともいうべき経済活動が成熟し、最早、従来の経済構造で利潤を得ることが難しくなったことに起因している。畢竟、短期的な利潤追求はグローバルな金融マーケットに依存せざるを得なくなったのである。
何のことはない、尻尾が犬を振っているようなものだ。
経済とは実需に基づいた物やサービスの供給から生じるものである。それにもかかわらず、実需に伴わない金融バブルによって利潤を得ようと投機マネーが世界中を駆け廻る。これでは、資本主義経済は破綻する。
そうやって、廻りめぐって、株が暴落である。
これはおかしいと先進国政府は対策を講じるべきだと思うのだが、なす術もなく原油価格は暴騰してしまった。米国では一部の資本家が大儲けしているはずである。米国政府が釘を刺す訳はない。ところが、今の世の中で石油に依存しない食料品はない。連鎖して小麦粉を始めとする食料品は世界中で値上げである。貧しい人間から富を吸い上げる構図が出来上がった。
尻尾が犬を振って、世の中はこうなってしまった。狂っているとしか云いようがない。冷静に分析すると、おいらたちは世界史の流れの中で今、分水嶺にいるのだと思う。
世界同時多発恐慌に突入
8月23日付の日刊ゲンダイに「日本経済一歩先の真相」というコラムが掲載された。
S大学学長のT氏が毎週金曜日に掲載しているのだが、今回は少々たまげた。「人類が体験したことのない世界同時多発恐慌に突入する」「ワールドワイドに敷かれた導火線に火が」という大々的な見出しである。
この予想自体は悪くないと思う。
しかし、予想するのであれば、その仕方に問題がないようにしなければならない。この手の話しをするのであれば、それなりの根拠が必要である。そうでなければ、流言飛語に成りかねない。
ところが、コラムの本文を隅から隅まで読んでも主観が中心で、説得力のある理由を見付けることが出来ない。
それにもかかわらず、
「恐慌が発生すれば、治安は崩壊する。大衆は取り付け騒ぎを引き金に一斉蜂起。テロなんて生やさしいものではない。世界中で武力衝突が発生する恐れがあるのだ」
と締めている。
まさか、日刊ゲンダイに書くのだからこの程度で良い、というのではあるまい。そういうことなら、同紙は読者を無くすことになる。いや、この学長の云うことなど誰も聞かなくなる。
おいらが云っていることは単純である。そういう予測はあるかも知れぬ。しかし、そういう予想をするなら(特に世界恐慌が発生するのであれば=可能性が低くはない)説得力のある説明をして欲しいということである。
だから巨人が優勝してはダメなのだ
そうだったのか、忘れていたよ。巨人が優勝すると株価が下がるのだ。
東証ダウが10月16日(木)、1089円安(11.41%ダウン)の大暴落となった。史上2番目の暴落率である。暴落率第1位は、昭和62年10月のブラックマンデーで、14.9%のダウンであった。実は、その先週も、10月8日(水)と10日(金)に東証は大暴落。これらは、史上4番目と5番目の下げ率である。
おいらは昭和28年に起きたスターリン大暴落(史上3番目の暴落率。10.00%のダウン)の恐ろしさを事ある毎に聞いてきたが、もはや驚かないもんね。
ところが、読者諸兄よ。
今年の巨人が初の単独首位に躍り出た日が、魔の10月8日(水)であったのである。その日から、東証ダウの歴史的な大暴落が始まったのである。
おいらは思うのである。全く非科学的ではあるが、10月8日(水)に巨人が単独首位になったから株が暴落したのではなく、株価を暴落させて巨人が首位に躍り出たのではないかと邪推までしてしまうのである(ま、そりゃ、ないか)。
調べてみると、株価の暴落率が高い年は皆、巨人が優勝しているのだ。
史上1番目のダウン率であった昭和62年「ブラックマンデー」はもとより、3番目のダウン率であった昭和28年「スターリン暴落」、また、昭和45年(同6位)、昭和46年(同7位)、平成12年(同8位)と、いずれも巨人がセ・リーグを制覇しているのである。
逆に、阪神が21年ぶりに優勝した平成15年は25%近くも上昇し、平成17年には約4割という大幅高となったのである。
しまった。今年は阪神優勝を応援すべきだった。
いや、まだ、間に合う。
クライマックス・シリーズで今年も巨人が優勝しなければいいのだ。おいらは中日に一宿一飯の恩義があるから、このシリーズはドラゴンズを応援している。中日よ、頼むから疫病神の巨人を倒して、優勝してくれ。
セリング・クライマックスは近いか
本日より三日間は、関ネットワークス「情報の缶詰12月号」に掲載した「セリング・クライマックスは近いか」を3回に分けてお送りします。
さて、日本の株価はどうなることやら。
セリング・クライマックスは近いか(前編)
1.株は底を打ったか
株は底を打ったか。まだそうだとは思い難い。しかし、それを見極める方法がある。皆があきらめて株はもう駄目だと一斉に投売りを始めたときがそうである。これを株屋の用語で「セリング・クライマックス」と呼ぶ。
セリング・クライマックスがやって来ると大底になる。狼狽売りが狼狽売りを呼んで、それでやっと収まるのである。素人は全員が投売りをする。高値で買って、安値で売る。早く売っておけば良かったのだが、下がり基調でなまじっか上昇したりしたので、持ち続けていたのだ。
しかし、これ以上持ち続けていたら紙屑同然になると思い、損を覚悟で一刻も早く売りたいと思うのである。持ち続ければ損が拡大するばかりだと考えるからである。そうしているうちにも株は値が下がり続けている。それがセリング・クライマックスである。今回もセリング・クライマックスを迎えて初めて株は大底を打つ。
さて、今回取り沙汰されている不景気は「百年に一度の金融危機」だと云われている。読者諸兄は、「百年に一度の金融危機」だと云われても、あまりピンと来ないかも知れない。しかし、これを「百年に一度の株の暴落」と云われれば成るほどそうかと思うだろう。「百年に一度の倒産、失業」と云い換えればさらに身近になる。巷に失業者が溢れるのである。
株は世相を敏感に感じ取るから、金融危機がこれからも続き、世の中が失業者で溢れかえれば、まだ下がる。もっとも、金融危機が去り、景気回復が近いと分かれば、真っ先に上昇するのも株である。
2.セリング・クライマックス
それでは、セリング・クライマックスは近いのだろうか。
おいらは思う。セリング・クライマックスが来るとしたら、最初のタイミングはまず年末である。年を越せない企業が数多く出てくる可能性があるからである。だから、12月下旬に最初のヤマが来る。
そして、次のタイミングは来年3月の決算期だろう。決算を迎える3月から決算発表の5月ごろまでが次のヤマである。上場企業にとって決算は鬼門である。その次は、となると、来年のことを云うと鬼に笑われそうである。様子を見ながら、その次の時期を判断するしかない(続く)。
セリング・クライマックスは近いか(中編)
3.何故こうなったか
今回の金融危機の原因をたどると、サブプライムローン破綻に行き着く。
サブプライムローンとは聞き慣れない言葉である。それは、日本にはないローンだからである。日本では低所得者にお金を貸す銀行はない。しかし、米国では低所得者であっても住宅ローンを貸すのである。
何故、米国ではお金を貸すのか。
それは、住宅を買った途端に住宅の値段が上がるからである。ローンで借りようが借りまいが、住宅はすぐに倍の値段に上昇したのである。お金を借りても返すスピード以上に住宅の値段が上がるのであれば、お金を借りない奴はアホである。日本の諺にも「借金も財産の内」というのがある。あれである。しかも、お金の貸し方は「ノン・リコースローン」という手法で、返済が出来なくなっても住宅を差し出すだけで、借金がチャラになるという魔法の借り方である。
さらに、最初の数年間は金利が低いのである。誰が考えても返せる金額である。だから、お金がない人までこぞって借り、銀行も貸しまくったのである。
この背景には米国経済の右肩上がりのバブルがあったのである。今から20年前の日本と同じだったのである。ITバブルがはじけ、グリーンスパンの低金利政策が住宅バブルを創り出したのである。
しかし、世の中に永遠に上がり続けるものなどない。祇園精舎の鐘の声。上がったものは下がる。いずれまた上がるが、上がりすぎた分、下げの期間が長い。銀行は暴落した住宅を抱え、倒産する。それが、金融危機の始まりである。
問題を複雑にしたのは、銀行が貸した金(これを債権と呼ぶ)を第三者(投資家)に転売したことである。債権の転売はよくある話しで、中身が分かれば、その内容を評価して買うことが出来る。しかし、今回は違った。債権を加工して(これを証券化と呼ぶ)売ったからである。
物事を簡単にして説明する。例えば、丸紅と大成建設とイトーヨーカドーに1億円ずつ融資したとする。それぞれの債権を別個独立にして転売するのであれば、リスクは変わらない。しかし、確率の世界では、三社とも同時に倒産するとは考えにくい。そこで、三社のうちどこでもよいから最初に返した1億円を返済に充てるという1億円の債権の転売であれば、三社とも倒産してしまう確率は低いので証券化しやすくなる。
証券化の手法とは、このように算数の世界であるが(それ自体はまともである)、この手法を複雑にし、かつ、その中に巧妙にサブプライムローンという毒饅頭を入れた米国の投資銀行(証券会社のこと)のやり方に問題があったのである(続く)。
セリング・クライマックスは近いか(後編)
4.市場原理主義の暴走
もう一つ問題点がある。そもそも金を貸せない人間に何故金を貸したかである。それは、規制のない市場原理主義に全てを委ねたからである。規制のない市場では、経済は暴走する。とりわけ金融機関は貸出の質を悪化させる。早い話しがリスキーな商売に手を出すのである。小泉、竹中路線がやったことの結果はこれである。
5.休むも相場
さて、読者諸兄よ、結局のところ、株は大局観である。当面は、「君子危うきに近寄らず」である。短期的に上昇することがあったとしても、少なくとも年内は休むしかない。
おいらの株歴も三十年以上に及ぶが、1日にダウが500円上昇して、翌日それが500円下がるような危なっかしい市場がある訳がない。素人は火傷をする。相場の格言に「休むも相場」と云うのがある。今はその時期である。
6.付録
資産株のつもりで株を持ち続けている方へ。
恐らく、株価はピーク時の半分から3分の1に値を下げておられると思う。
この場合の対処方法は次の4つ。
(1)ホールド(持ち続けること)
(2)戻り売り(一定の水準まで戻ったら売る)
(3)損切り(下がり続けると思うなら今すぐ売る)
(4)ナンピン(同じ銘柄を買い増す。これにより取得価額を下げる)
今後も長く持ち続ける気があるなら、(1)がお奨めである。米国大恐慌の後も持ち続けていた人は、皆利益を上げている。ただし、回復まで長期間(銘柄によっては10年から20年)かかったが(この項終わり)。
過去に学ぶ
未曽有の不況という荒波が全世界を覆っている。
インチキ経済評論家が「今年の後半から景気は持ち直す」など勝手なことばかり云っている。
こういうときは過去に学ぶしかない。世界恐慌になると、起きたことは二つ。戦争と財閥の焼け太りである。
恐らく似たようなことになる。
まずは、新たな戦争の勃発である。米オバマ政権のターゲットになるのは、核開発を進めているイランだろう。ご丁寧にも、イランのアフマディネジャド大統領は、イスラエルを地図から抹殺すべきと物騒な発言をしている。
いずれ、この道は何時か来た道で、イランが世界共通の敵であるという錦の御旗を掲げ、ブラックケネディ(オバマ)は戦争を仕掛けるのではないか。
次に、巨大企業の焼け太りである。中小零細はもとより、二番手以下の企業は倒産する可能性が高くなる。あの鈴木商店でさえ倒産したのである。そうなれば持てる者のみが勝者になる。世界の自動車メーカーも、残るのはトヨタほか一握りになるかも知れない。
世相は暗くなり、戦前の恐慌では小津安二郎が「大学は出たけれど」を作る。エログロナンセンスという言葉が流行り、ニューヨーク大暴落の3年後(昭和7年)には犬養首相が暗殺された(海軍青年将校による「5.15事件」)。国内でのテロは珍しくなかったのである。しかも、青年将校に対し100万を超える減刑嘆願書が提出されるという(異常な)世相であった。
さて、未来への処方箋も書かなければ片手落ちである。
この不況を打開するのは、最早これまでの延長線上の施策では無理であろう。産業構造を変えるしかない。前にも述べたが、石油エネルギーはもう御仕舞にしないといけない。
クリーン・エネルギーへの総取替(とっかえ)である。
これで生まれる新しい需要は莫大なものになる。今こそ、新エネルギーへの転換を進めるべきであり、その牽引になれる技術を持っているのは日本だと考える。
出でよ、強力なリーダーシップを持った英雄
株上昇の特効薬
株が上がる兆しはない。
出来高が少ないのに日経平均がすんなりと9,000円まで上がる。これは危ないなと思っていたら、案の定、一昨日、昨日と続けて暴落した。昨日の終値は8,000円ラインを首の皮一枚である。
野村証券の調査によると、個人投資家の53.1%が今年の株式市場にとって最大のマイナス要因は「麻生政権である」と答えている。
ハイ、答えは決まりである。
麻生さんが辞めることである。そうすれば、直ちに株は上昇する。これほど簡単で確実な特効薬はない。
しかし、辞めないだろうなぁ。それに渡辺氏と松浪氏以外は見事に誰も反旗を翻さない。我が身可愛いやの自民党は、芯まで腐っているんだなぁ。残念ながら、株はまだ下がり続ける。
バイロン・ウイーン(Byron Wein)氏のサプライズ予測
少々旧聞だが、今年もバイロン・ウイーン氏によるサプライズ予測が発表された。
バイロン・ウィーン氏とは、元モルガン・スタンレーの名ストラテジストである。現在は某ヘッジファンドに所属しており、翌年のサプライズ予測を的中させることで有名である。
実際、過去には、2000年のITバブル到来を予測、昨年も米経済が01年以来の景気後退に陥ると、楽観論が強かった予測陣の中で一人的中させている。因みに「2008年の10大予想」は、次のとおりであった。
1.米国は2001年以来の景気後退(2四半期連続のマイナス成長)に陥る==>○
2.FF金利(短期金利)は3%以下==>○
3.失業率は5%以上==>○
4.個人消費は精彩を欠く==>○
5.主要500社の年間ベースでの減益==>○
6.年後半にかけてのドル安==>○
7.原油価格の1バーレル115ドル到達==>○
8.インフレ圧力の高まり
9.中国株式の急落==>○
10.オバマ氏が第44代米大統領になる==>○
全て当たっていると云っても過言ではない。
そのウィーン氏の「2009年の10大予想」である。
1.米国SP500(株価指数)は1200ポイントに回復
2.金は1オンス1200ドルに上昇
3.原油は1バーレル80ドルへ、一部商品は08年の安値から倍になる
4.ドル円は75円、ユーロドルは1.65
5.米10年国債は利回り4%に上昇し(債券安)、市場の懸念はデフレからインフレに
6.中国の成長率は7%を超え、株式も反騰
7.金融業からの税収の減少で、ニューヨーク州が財政破綻の危機に
8.米住宅着工は秋に底打ちし、第三・第四四半期の実質成長率はプラスに
9.米貯蓄率は3%を超えず、消費が再び回復(クリスマスセールは過去最高に)
10.オバマ大統領はイラク撤兵ペースを遅らせ、アフガンへ増派
ほとんどのエコノミストが「今年中の景気回復は期待薄」としている中で、昨年の予測とは正反対の強気である。この背景には、オバマ新政権の財政、金融政策が効果を挙げると判断しているからだという。
中でも氏の心強いご託宣は、次のとおりである。
「現在の市場の合言葉は『富は失われた』だが、これからは『富はまた作られる』に変わるだろう」
ホントかよ~と云いたいが、明るい予測は歓迎である。是非ともそうあって欲しいものだ。
円 史上最高値更新
遂に円が史上最高値を更新した。
瞬間風速ではあるが、1ドルが75円台になったのである。円の実態とはかけ離れた数値だが、相場師同士が命を削ってこういう結果になったのだから、仕方がない。
まったく、為替相場は博打と一緒である。未来が予測できない。素人が手を出すと、血の海に放り込まれるのが関の山である。
政府が無能だからこの円高は見透かされている部分もあるのだが、戻るのも相場である。
冷静に考えれば、日本経済も薄氷を踏んでおり、米国や欧州と変わるところはない。為替は相対的なものだから、日本の方が危ないと思われれば、あっという間に円安のシナリオになるかも知れない。だから、為替の今後は乱高下する可能性もある。為替には近寄らない方が無難である。
だが、経済にとってはこの乱高下が一番困るのである。実体経済上、為替の安定は必要不可欠だからだ。おいらは、円の収まり具合が一番良いのは100円前後だと考えている。向こうで暮らした感覚から云うのだから、間違いない。
さて、おいらは円が強いことを実感するために久し振りに海外に出向こうと思う。
9月には再び広島に介護帰省するので、10月初旬にでもおいらの好きなポルトガルに行ってくるつもりである。とりあえずは1週間程度ポルトガルに滞在することを考えており、今、その計画を練っているところである。
金はまだ上がるか
史上最高値を更新した金相場をネットで検索してみると、直近では金の過熱振りが影響してか下方傾向のようである。しかし、ここ数日の動きは一進一退で、方向性が定まっているようには思えない。
さて、これまで金が上がってきた理由は単純である。
世界経済への先行き不安によって、世界中の投機マネーが金に流れたためである。しかも、金市場の規模は株や債券と比べると小さいことから、金市場にマネーが流れ込めば金価格は一気に上昇する。
金のこれまでの価格をおさらいしてみよう。
今から30年前の1980年、金価格は1トロイオンス(約31グラム)約700ドルであったが、2000年には約250ドルまで下がっていた。
しかし、金は2003年以降、原油高を背景に上昇し始める。2008年には1000ドルを超え、リーマン・ショックで700ドルまで下回ったものの、再び米国の量的緩和で上昇に転じていた。
そして、ここ数カ月はバブルの様相を示しており、2000ドルをも伺おうという狂乱価格である。
つまり、金の相場は上昇、下降という循環相場を繰り返しながらも、最近では一方的に上昇してきたといえよう。
さて、金は今後も上がるのだろうか。分からないとしか云いようがないが、個人資産を防衛する手段として分散投資するのであれば、その選択肢はあり得る。
しかし、猫も杓子も金だと云い始めたら、それは加熱相場である。素人が手を出すべきではない。金は、一旦調整(相場は下がる)すると考えた方が良いだろう。
問題は調整後である。おいらはマネーの流れは今までとは異なり、長期的には金は上昇する可能性が高いと考えている。したがって、一旦下がった段階で金への分散投資を行うのが賢明だと考えるのだが、その時期だけはやはり相場に聞くしかない。
天気予報
天気予報が当たらない。
昨日は、大型台風12号の影響で首都圏の午後は雨の予定であったが、横浜は曇りのままであった(台風の進度が遅かったからのようだ)。
天気予報は、相場の予想に比べれば当たるが(相場の予想で当たった試しはない)、所詮は予報である。このブログでも書いたが、あれは予報ではなく占いである。
しかし、そうも云っておれないとすれば、予報をする人が「曇りかも知れないが、雨になったら予報を聞いた人に怒られる」と責任逃れで「雨だと云っておけば責任はない」と思っているかも知れない。堕落である。
話しは変わって、日本の四大メジャー紙の一つと呼ばれている某経済新聞の市況欄は、後追いの解説ばかりである。
しかし、予報(予測)に期待するのは、過去起きたことへの解説ではない。過去がどうであったかを踏まえて、未来がどうなるかという示唆である。
何が云いたいのか。
予報するなら、命をかけて予報しなさいということである。間違ったら、潔く謝りなさいということである。
だが、そうなるのが嫌だから、予報士は皆、安全サイドに立った予報をするのである。
はっきり云う。そういう人は予報士など辞めなさい。それから、後付けしか解説しない経済学者も引退しなさい。
でも、おいらは思う。これらの人たちが占い師と名前を変えるのであれば、問題はない。
想像力
先週に引き続き、予想について述べる。
予想は、所詮、人間の想像力を超えることができないのだろうか。
ここに10年前の新聞記事(日経2001年1月1日「大予測・円と株価」。写真上)がある。
最近、書斎の整理を行っており、廃棄しようと思った資料の中から見つけたものである。
興味深いのは株価予測である。
リチャード・クー氏、ピーター・タスカ氏や田辺孝則氏などの錚々たるメンバーの予測は、10年後である今年(2011年)の株価予測を最低でも2万円、最高は7万円と予測している(全員の平均株価予測は2~3万円。なお、2000年の終値は13,786円)。
これに対し、昨日(9月5日)の日経平均株価終値は8,784円と1万円を下回っており、云わば、かけ離れた予測である。
思わず、この予測に笑ってしまったのだが、10年後のことを予測するのは確かに難しい。
しかし、人間はやはり過去に刷りこまれた経験則でしか未来を見ることができないのか、と思わざるを得ない。
それは、株は上がるものだという思い込みである。今は下がっていても株は長期的に保有すれば10年で最低でも倍以上になるという思い込みである。
結論は上記のとおり、9千円を下回っている低水準である。株はもう簡単には上がらないと知るべきなのかも知れない。
為替の予測の方はどうか。
こちらの方はバラツキがある。67円の円高から200円までの円安である。全く為替の予測はプロでも難しい。
予測の分布を見ると、10年前当時の約110円から円高になると予測した人は4人。円安になると予測した人は6人。佐々木英信氏は67円と現在の円高を予測しているが、株価は5~7万円まで上昇すると予測しておりこちらの方はハズレのトップである。
寺山修司のアフォリズム「どんな鳥も想像力より高く飛べる鳥はいない」を持ち出すまでもなく、人間は想像力を超えた範囲までの予想をすることはできないのである。
号外版「終わりの始まり」(第1回)
景気の先行きが不透明な状態がずっと続いている。欧州問題はとうとうイタリアの破綻にまで及ぶこととなり、その現実味さえ出るようになった。
週刊誌の見出しも世界恐慌など物騒な話題ばかりである。しかし、その内容は羊頭狗肉で不安を煽るものばかりであり、読んでも要領を得ないものが多い。
そこで、関ネットワークス「情報の缶詰9月号、10月号」に連載したものをこのブログに書き込むことにした。以下の内容はやや古くなっているため掲載を止めようと考えていたものだが、基本的な流れは変わっていないと思い、必要最小限の修正に留めて掲載することにした(連載4回)。
号外版「終わりの始まり」(前編)
米国の株価がダウ開始以来初の400ドルを超す上げ下げを繰り返した(今年8月)。これはただ事ではない。今月号と来月号は「命の次に大切なもの」のお話しをしよう。
1.日本経済は崩壊するのか
最近の大手書店の店頭を覗くと異常である。日本経済が崩壊するようなタイトルの本が平積みになっており、しかもそれらがベストセラーだという。物騒な世の中になったものである。
おいらの目についたものだけでも、
「2012年、日本経済は大崩壊する!(朝倉慶)」
「マネー避難 危険な銀行預金から撤退せよ!(藤巻健史)」
「デフレの終わり(若林栄四)」
「大災害から復活する日本(副島隆彦)」
などである。後の二つは、日本経済崩壊とは関係なさそうであるが、中身は同じ種類のものだと考えて良い。
では、日本経済は本当に崩壊するのだろうか。「日本経済の崩壊」が「円安、株安、債券安」という意味であれば、その可能性がないとは云えない。
この原稿は8月15日に書いているが、先週までの日本株は米国発の株大暴落によって9千円台を下回った。米国株の乱高下は米国国債の格下げを契機としたものだが、更なる引き下げも予測されている。
また、ヨーロッパの財政不安も解決の見通しは立っておらず、今度は仏国債の格下げも噂されている。円高も依然として史上最高値近辺をうろうろしている。
それに加えて、千年に一度の東日本大震災、しかも、放射能被害である。これは、明らかに今までのパターンとは違う。
では、日本経済は崩壊するのだろうか。残念ながらその可能性は否定できない。むしろ、問題はその時期がいつかのようである。結論から先に述べれば、遅くても2年後からそうなる、とこれらの書物は教えてくれるのである。
おいおい、本当かよ~。これはつまり、終わりの始まりである。
2.きっかけは国債の未達
実は、これらの本で日本経済崩壊の時期を明確にしているものはない。それは、いつ起きてもおかしくはないからだという。しかし、その一つの予測が国債の未達を引き金と考える人がいる(藤巻健史氏)。
これをやさしく説明しよう。
おいらたちは日本国民だから、税金を払っている。国はこの税収によって成り立っている。2011年度の国家予算は収入が48兆円、支出が92兆円である。この時点で既に借金が必要なのだが、国の借金(累積赤字)は924兆円もある。
財務省の予想によれば、2011年度末の予想は1002兆円だから、遂に来年3月には国の借金が1千兆円の大台に乗る(この項続く)。
号外版「終わりの始まり」(第2回)
号外版「終わりの始まり」(前編)
2.きっかけは国債の未達
昨日からの続きである。
誰でも分かることだが、借金すると怖いのは利息である。個人の世界では借金が大きくなれば、利息を払うためだけに働かなくなければなくなる。
実は、日本も既にこういう状況になっているのである。単純計算でも、金利が3%になるだけで、1千兆円×3%=30兆円の利子を払わなければならず、税収のほとんどの金額が利息で吹っ飛んでしまうのである。
民主党が仕分けして予算の組み替えをすればバラ色になると云っていたのだが、今年の予算のうち社会福祉費は37兆円である。この費用を減らすことができるとは思えない。確かに役人による無駄遣いはあるので冗費は減らすべきだが、根本の問題の解決にはならない。
そこで、国はやはり借金するしかないのである。国の借金は国債の発行による。国は国債を銀行や郵貯、生損保などに売って、お金を得るのである。
しかし、市中銀行などの機関投資家はそろそろ国債を買うお金がなくなってきている。何故なら、今まで買いすぎたからである。何せ、日本の国債の95%は日本人が買っているのである。その日本人の個人金融資産は1,400兆円であり、2年後には国債の借金がこれを超えると予想されている。
では、市中銀行に余力がなくなればどうなるのか。話しは単純で、国債が売れなくなるのである。これを業界用語で「国債の未達」と呼ぶ。実は、これが最も財務省が恐れているシナリオである。
国債が未達になれば、国債は大暴落する。それが引き金になって株も為替も大暴落、日本経済は崩壊する可能性がある。だから、財務省は増税路線一辺倒なのである。
しかし、これを救う「禁じ手」がある。それは日銀の直接引受である。読者諸兄は思われるに違いない。市中銀行が買うのと、日銀が買う(引き受ける)のも同じじゃないかと。
そう、見た目は変わらない。だが、銀行が買う場合は、銀行にお金がある。そのお金はおいらたちの預金したお金である。つまり、裏打ちがある。これが、お金の価値が下がらない拠り所なのである。
ところが、日銀が引き受ける場合は、日銀がお金を印刷する訳だから、お金の裏打ちがない。つまり、江戸時代に金の含有量のほとんどない小判を幕府が出したのと同じである。お金を刷れば刷るほど、お金の価値はなくなってしまう。これをインフレと呼ぶ。
インフレには良いインフレと悪いインフレがあるが、典型的な悪いインフレである。例えば、一気にビール一杯が今の500円から数千円、いや1万円になってしまうことを想像して欲しい。企業は倒産し、失業者も溢れる。しかも、大震災と放射能汚染が発生しているのである。明るい材料はない。
3.暴走する先物取引
次に、現在の株取引の実情がどうなっているかについて述べる。
おいらは機関投資家の運用部門にいたから分かるのだが、今の運用は先物が主流である。何故かというと、レバレッジが効くからである(元手の数10倍での勝負が可能)。それに、先物では売りが簡単である(紙数の関係から詳しい説明は割愛)。
しかも、先物と現物の差を利用して(これを裁定取引という。この説明も割愛)、コンピューターに絶対に儲かるプログラムを入れ、千分の一秒単位で注文を行っているのである。
このコンピューター売買(別名プログラム売買)による勝敗は明快でリーマンショック後の米国の金融機関(ゴールドマンサックスなど)は連戦連勝している。株はゼロサムゲームだから、それだけ負けている人がいるということであり、個人投資家が損をしているのである。
しかし、コンピューターの支配する相場に未来があるだろうか。この道はいつか来た道で、いずれLTCM破綻の二の舞になる可能性が高いと云わざるを得ない。つまり、そのとき株は大暴落するのである。
4.円と株はどうなる
では、おいらたちはこの事態に対し、どう防衛したら良いのであろうか。それに預金封鎖はあるのか。今月号は暗い話なので、来月号は明るい話題にしたい。以下次号(この項続く)。
号外版「終わりの始まり」(第3回)
号外版「終わりの始まり」(後編)
先月号に続き、「命の次に大切なもの」のお話しの後編である。
1.マルサスの人口論は正しかったか
次に、世の中の大きな動きで見過ごせないのが「物がなくなっている」という現実である。物の代表的なものとは、原油、穀物(食糧)、金などである。
おいらたちが子供の頃、マルサスの人口論というのがあった。簡単にいうと、人口は等比級数的に増えるが、穀物は等差級数的にしか増えない。したがって、いずれ食糧危機に陥ると云う分かりやすい理論であった。
それが、今、現実のものとなろうとしている。理由は簡単である。人口があまりにも増えすぎたのである。マルサスの時代の地球の人口は5億人であった。それが1900年に10億人、1950年に25億人、2000年に60億人となり、今や、70億人を超えているのである。穀物も人口増加に伴って倍増してきたのだが、問題は「耕地面積は増えない」ということである。
では、今後これがどうなるかということは、このまま何もしなければ食糧は高騰するしかないのである(これを救う方法として遺伝子組み換え技術があるが、色々な問題があり割愛)。
原油は、株などのリスク資産から逃避した投機マネーがなだれ込み高騰したが、食糧の確保には原油が必要である(人力だけで食料を作ったのは昔の話し)。
また、脱原発となれば、原油への実需は大幅に増大する。原油も埋蔵量には限度があるので、今後下がることは予想しづらい。
2.金はまだ上がるか
だから、穀物の高騰と原油の高騰は実需によるものである。しかし、金は違う。投機マネーが一斉に金のマーケットに入り込み、史上最高値を更新しているのである。
では、金はまだ上がるのか。
結論から述べると、世の中の流れが根本から変わったのである。だから、従来のように上がったり下がったりするのではなく、一方的に上昇すると考えられる。
ただし、最近の上げ方は異常である。一旦調整する(下がる)可能性はあるが、それでも長期的には上がり続けると考える。
3.世界の主軸はどこに
日本経済が崩壊すれば、いずれ世界経済も崩壊せざるを得ない。しかし、そのときにどこから復興するだろうか。どこが世界の主軸になるだろうか。それは国力のあるところである。やはり、米国が最初に復活すると思われる。そうであれば、通貨はやはりドルに頼らざるを得ない。
では、米国に続いて復興する国はどこだろうか。それは日本だと予想している。カネが無くなっても、優秀な企業(人材と技術)が残ってさえいれば、ゼロからのスタートが可能である。戦後の混乱期がまた来たと思えば良いのである。大幅な円安になっていることも日本にとって追い風である。日本は復活するのである。そこに明るい未来を見ることができる(この項続く)。
号外版「終わりの始まり」(第4回)
号外版「終わりの始まり」(後編)
4.投資戦略の基本は分散投資
さて、それでは今後の投資戦略はどうすれば良いのであろうか。
おさらいすると、今後数年間のうちに日本経済は崩壊し、円安、株安、債券安となる可能性があり、その場合はハイパーインフレが懸念される。インフレになるとお金は紙切れになる。だから、銀行へ預金を預けたり、タンス預金はしてはならない。
預金封鎖はあるのか。新円切替はあるのか。
国が借金を返せなくなると、銀行の持っている国債は紙切れになる。国が借金を返さないのなら、誰もが借金は返さないとして、平成の徳政令になるかも知れない。そうすると、おいらたちの預金も返ってこない。それが預金封鎖である。
ハイパーインフレになると、新円切替も予想される。ビール一杯が1万円では都合が悪いからだ。そうなると、旧円は皆紙切れになる。全くお金を持っていてもロクなことはない。
国債も買ってはいけない。お金同様、紙切れになるだけである。これだけ、国に借金があるとハイパーインフレを逆手に取って、借金をチャラにしようと考える国の上層部もいるかも知れない。
財務省と日銀はインフレを絶対に抑え込みたいと考えているが、一旦、インフレが始まるとハイパーインフレを容認するかも知れない。ビール一杯1万円である。100万円の国債だってタダのようなものである。戦争中のことを考えれば良い。戦時国債は戦後のハイパーインフレによって、無価値になっている。
株はインフレに強い。しかし、投資した企業が倒産すれば株券はただの紙切れである。つまり、株はリスク資産の典型である。株はいずれ上がるが(一旦は暴落する)、購入するのであれば覚悟して買うことである。
さて、投資戦略の基本は分散投資である。ハイパーインフレに強いものが二つある。物と他国通貨である。
物の代表は不動産であるが、大きな問題点は流動性がないことである。資金に余裕がなければ買ってはいけない。
金は上昇する。だが、実は金も買い方を間違えると流動性に欠けるので注意が必要である。銅を混ぜた金のインゴットのイミテーションも多い。
他国通貨はドルを買う。日本経済が崩壊すれば1ドルが今の76円から1000円になっている可能性も否定できない。何せ、円は紙切れになるのである。
ユーロは買ってはいけない。ギリシャなどの財政状況は既に破綻している。それらの国は離脱するか(そうするとユーロに残るのは独、仏のみ)、離脱しなければユーロ圏事態が沈没する可能性がある。それほどユーロの事態は深刻である。
5.結論
財産は分散する。今、持っている円は時期を見てドルに替える。金を買う。ただし、今は高いので、一旦下がった時点を見極める必要がある。コモディティ(穀物など)に投資している投資信託を買う。いつ買うか、どれだけ買うかは、あなた自身が決めることである。
財産を防衛するのも命懸けであるが、その性格上、以上の予測に責任は一切負えない。つまり、外れるかも知れない。識者の中には国債は暴落しないと唱えている人もいるからである。
しかし、それならそれで、日本経済は安泰ということで喜ばしい限りではないだろうか(この項終り)。
ウオッシュレットの普及と資本主義の死(前篇)
もう一冊の水野和夫の「資本主義の終焉と歴史の危機」(集英社新書)について触れる。
これは目からうろこが落ちる本である。
おいらは昔から経済の本を読むが好きである。それは世の中を動かしているのが経済だからである。ソ連が崩壊したのもその背後には経済の破綻がある。経済はときに国家をも動かすのである。
しかし、最近の経済はどうもおかしい。マイナス金利になっても円高は続き、デフレは収まらず、景気の浮揚も見えてこない。
そういう謎をこの本はあっけらかんと解きほぐしてくれるのである。
従来の経済学では、宇野弘蔵によると、経済を分析するためには資本主義の原理論、段階論、現状分析の三段階が必要であった(いわゆる経済原論)。
要は、資本主義の純粋化傾向は重商主義、自由主義を経て、19世紀末には終わり、国家が経済に介入する帝国主義の時代が到来するという段階論を理解する必要があり、この段階論は国家が経済に関与することから国家論とも呼ばれるのである。
ところが、水野和夫はそんなしちめんどくさいことは云わずに、「資本主義とは成長をもっとも効率的に行うシステムのこと」と、にべもない。
しかも、「金利と資本利潤率がほぼ同じ」ことを過去のデータに遡って実証し、「その金利が今やゼロに近いということは、利潤率がゼロになった。すなわち、資本主義が終焉を迎えたことを意味する」と喝破するのである。
ただ、それだけでは何のことか分からないから、比喩を出すと、表題の「ウオッシュレットの普及と資本主義の死」を思い出して欲しい(この項続く)。
ウオッシュレットの普及と資本主義の死(中篇)
ウオッシュレットが国内で普及し始めたのは1990年代である(発売は1980年)。
以来、ウオッシュレットの普及は目覚ましく、現在では日本の津々浦々まで普及し、ウオッシュレットのないトイレは、北は北海道、南は沖縄でも探すのが難しくなっている。
これは秀吉が国内に与える領土がなくなって、朝鮮出兵をしたのと同じ話しである。
つまり、この場合の成長はトイレが無尽蔵にあれば別だが、当然、トイレの数には限りがある。
トイレの数とは実は市場のことであり、資源のことである。地球規模で世界経済を考えた場合でも市場と資源は当然、有限である。新興国が発展すればそれでオシマイである。
そのことを水野は資本利潤率が頭打ちになった国が過去何をしてきたかで実証するのである。
すなわち、資本主義の勃興は16世紀のイタリアでの実物経済のもとで利潤率の上昇に伴い繁栄が始まり、資本蓄積が進むと投資効率が低下する(ウオッシュレット理論)。
そのイタリア(ジェノヴァ)は国内に投資しても利益が出ないのでスペインの国王に金を貸す。商業から金融にシフトしたのである。つまり、商業では儲からないから金融に活路を見出そうとした分けであり、これは取りもなおさずイタリアの凋落を意味する。
その資本はオランダに移り、オランダは東インド会社に投資し、そこで利潤が出なくなると今度はナポレオン戦争に勝った英国に金は移る。
その英国は産業革命で黄金時代を迎え、大英帝国として覇権を得る。だが、大英帝国もバブル崩壊不況でその時代は長続きせず、米国への金融にシフトする。
資本は米国に移り、米国は覇権国となる。
結局、これは資本の流れ=覇権の移動というサイクルである。しかも、注意しなければならないことは、このサイクルでは覇権国の金利が低いということである。
実際、現在の覇権国である米国の金利も低く(前回述べたように「金利と資本利潤率は同じ」)、もう実物経済の発展は見込めない、すなわち凋落を意味するということである。
2年前に流行ったピケティ理論では、「r(資本・資産から得られる富=資本収益率)>g(労働から得られる富=経済成長率)」である。
その資本収益率=金利がゼロになるのだから、実物経済の利潤率がゼロ以下になるのは自明の理である(この項続く)。
ウオッシュレットの普及と資本主義の死(後篇)
そこで米国が活路を見出そうとしたのが金融の自由化であった。
サイクルは繰り返したのである。米国も金融にシフトしたのである。具体的には1995年、国際資本から国境の壁を取り除いたのである。
これは凄まじかった。カネはグローバリゼーションに最も適しているからである。
それまで規制のあったカネの移動に国境がなくなったものだから、世界中のカネが米国に集中した。米国主導の金融革命は金融新商品(証券化商品など)を生み出し、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを組み込んだ仕組み債が市場を席巻する。
しかも、銀行には自己資本の12倍までしか投資してはいけないという規制があったのだが、99年の金融サービス近代化法によって子会社を通じて証券業務にできるようにしたため(銀行と証券の兼業解禁)、事実上、無制限に投資できるようにした。
これによって新たに100兆ドルのカネが新たに創出され、米国は金融帝国としてわが世の春を迎えたのである。
だが、これがリーマンショックの端緒であったのである。2008年、米国の金融バブルは崩壊し、信用収縮が金融革命を抹殺したのは記憶に新しいところである。
では、これからどうなるのだろう。
何も手を打たなければ、新興国などが資源を食いつぶし、従来の先進国の中でさえも南北問題(北(先進国)と南(新興国)の格差問題)が生じるという。
つまり、先進国の中で富める者と貧しい者との格差が広がる、すなわち、中産階級の没落が予想されるのである。
やれやれ、資本主義の行く末はどうなってしまうんだろう。恐ろしい世の中である。
だが、以上の水野和夫の分析には説得力がある。歴史を踏まえ、現状分析を丁寧に行っているからである。なお、水野和夫はその処方箋まで言及しているので、それは皆さんに読んでほしい。
ところで、この本には姉妹書があり、「超マクロ展望 世界経済の真実」(水野和夫、萱野稔人 共著。集英社新書)も面白い。
この本がベースとなって「資本主義の終焉と歴史の危機」が書かれている。一読をお薦めする(この項終り)。
アメリカも「のるかそるか」に
トランプが勝った。
そのこと自体には驚かない。
民主党から共和党になったこと自体は過去の繰り返しであるし、どちらが大統領になっても今後のアメリカの衰えを止めることは難しいと思っているからである。
むしろ、史上最低同士の大統領候補の争い(ヒラリー69歳、トランプ70歳)にこそ今のアメリカの劣化が見られると考えていたので、より悪くない方に投票するしかないなと思っていたのだが、その結果がトランプであったということに尽きる。
つまり、これはヒラリーがエスタブリッシュメントであるとか腐敗しているとかそういうレベルではなく、アメリカ国民はもはや「のるかそるか」の大博打に出なければならない状況にまでなっているという閉塞感の表れだと思うのである。
おいらは、資本主義の行き詰まりがその背景にあると考えている。だから、世の中は一度ガラガラポンにしなければ何も始まらないという本能的な選択を選挙民がしたのだと思うと腑に落ちるのである。
しかし、これで思い出すのが、2009年に日本で起きた民主党政権の誕生である。
自民党ではダメだ、民主党がやれば旧来の自民党よりはよくなるはずだと国民は期待したのだが、蓋を開けてみれば、民主党は自民党よりもひどい政治しかできなかったのである。
政治に素人をあてがうと、そういうことにしかならないのである。
だから、トランプが大統領になって改革に期待感が持てるというのは恐らく幻想である。
思い出して欲しい。オバマも8年前にチェンジと唱えてデビューして何も変革できなかったのである。
だから、今後もアメリカの国力はゆるゆると衰え、それに対し中国は世界のリーダーの座を目指し、ロシアがしぶとく生き残るという構図になるのだろう。
閑話休題。
ところで、民主主義と云いながら、ヒラリーの投票数がトランプよりも多いのにトランプが勝つ選挙人制度というのに問題はないのかねぇ。
小選挙区制と同じで、1票でも多く取ったら負けた方の投票は全て「死に票」になるシステムは果たして民主主義と云えるのかのぅ。
こういうのを、遺恨を残す選挙というのだろう。
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