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さすらいの天才不良文学中年
インド経済 徴兵保険 マイナンバー
インド経済
「寝室に盗人が来る家に引越しなどしない」
そのとおりである。
しかし、寝室とはインドのこと、盗人とはインド人のことだと、話しは穏やかではない。
先月4日付の日刊ゲンダイ「国際政治ナナメ読み」(原田武夫)によれば、同氏はフィナンシャル・タイムズの記事を引用し、スイスの製薬大手・ノバルティス社が新薬開発のためのインド投資を止め、インドから撤退するという。
理由は、同社の開発する白血病の新薬が知的財産権として保護されないからだ。インドの裁判所は、知財保護を門前払いにしたという。
ノバルティス社幹部の言葉が、冒頭の「寝室に盗人が来る家に引越しなどしない」である。
これでは、遅かれ早かれ、インドからは誰もが撤退せざるを得ないのではないか。インドに投資している人は、売り抜けを考えた方が良い時期が早くも来たのかも知れない。
徴兵保険という名の保険があった(前篇)
徴兵保険のパンフレットに興味を持ったので(おいらも物好きなである)、ゲットした。
徴兵保険は1870年代のドイツで始まっている。
わが国で徴兵保険を最初に扱ったのは、明治31年に設立された「徴兵保険会社」である。後に「第一徴兵保険」と名前を変え、その後「東邦生命」(破たんして「AIGエジソン生命」後、現「ジブラルタ生命保険」)となる。
また、「富国生命(富国徴兵保険)」、「大和生命(日本徴兵保険)現「プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命」」、「第百生命(第百徴兵保険)現「マニュライフ生命」」なども元は徴兵保険専門会社であった。
一説によると、大正後期まで日本の保険会社の一番の稼ぎ頭だったのが徴兵保険である。
この保険は学資保険に類似している。子供のときに加入し、徴兵になったときに保険金が支払われるというものである。
では何故、この保険が好評だったのか。それには当時の徴兵制度を考えておかなければならない。
明治5年(1873年)に制定された徴兵令によれば、満20歳以上の男子に兵役の義務を課していたが、常備軍は抽選によって選ばれ3年間の全日制勤務に服するものであった。
つまり、当時の徴兵制は「選抜徴兵」であり、徴兵検査で甲種合格となっても、そのまま入営して現役兵になるのはほぼ2割であった。
その理由は全国には現役師団が7個しかなく、また、日清戦争も始まっていない悠長な時代だったから、兵隊の数はそんなに必要ではなかったのである。
さて、当時の徴兵制である。3年間の常備軍を卒業すると、次の2年間は第一後備(こうび)軍となり、2年間のうちに年1度の短期勤務に服する。
そして、その後の2年間は第二後備軍となり、勤務義務はないが軍に所属するのである。こうして、合計7年間の兵役義務が定められていたのである。
なお、徴兵の免除は体格が基準に達していなかったり、病気の場合などの乙種合格の場合のほか、一家の主人や家のあと継ぎ、代人料を支払った者(当初は270円=現在に換算すると880万円程度)、官省府県の役人、兵学寮生徒、官立学校生徒、養家に住む養子も徴兵免除となっていた(この項続く)。
徴兵保険という名の保険があった(後篇)
当時の徴兵制は抽選で、2割程度が兵役についたと述べた。
しかし、平時ならそれでよいが、有事となると別である。動員令が出されて軍隊を拡充しなければならなくなると下士官の数が欠乏することになる。
ここで戦闘時の指揮命令系統を述べると、将校(士官、指揮官)――>下士官(中間管理職)――>兵隊(兵卒)となる。
将校は、士官学校や海軍兵学校などの卒業者である。そして、兵隊は徴兵制によって集められる。
しかし、下士官は兵隊の中から養成しなければならない。つまり、下士官は兵からの叩き上げなのである。だから、下士官は兵にとっては「鬼」として士官以上に恐れられる存在であった。
ところが、現役兵の中から下士官を養成していると人数と時間が足りないのである。
このため、徴兵制は抽選のほかに下士官志願者も認めることにしたのである。
これを「一年志願兵制度」と呼び、中学校を卒業していれば甲種合格を条件として1年間の入営を認め、下士官養成コースや学校へ通う許可も与えたのである。これは就業機会の少なかった明治時代には人気があったという。
しかし、これには大きな問題があった。陸軍には予算がなかったのである。ウソのような話しだが、当時の志願兵制度では食費と下着代などは自前であった。職業軍人になるための制度なのに、給料がでないのである。したがって、入営するにはお金が必要だったのである。
そこに目を付けたのが保険会社である。これをビジネスチャンスと捉え、男子誕生と同時に加入する学資保険ならぬ徴兵保険を考案したのである。
保険料の支払いは一時払いも分割払いも認め、その子が徴兵検査の年齢に達したときに甲種合格となったら約定の保険金額を支払うとしたのである。現在の学資保険と類似の考え方である。これが大当たりした。
なお、日清、日露戦争を経験し、軍の財政基盤も盤石となり、この「一年志願兵制度」は明治末年に廃止されることになった。
その後、昭和2年(1927年)に日本国民の全ての男子に兵役の義務を課す兵役法が定められている。
このため自費で兵役に行くこともなくなり、徴兵保険会社は一般の生命保険会社へ移行していくことになった、という話しである。
以上、徴兵保険の歴史は徴兵制の歴史だと気付かされる(この項終わり)。
マイナンバー制度の本質(前篇)
本日より3日間は、関ネットワークス「情報の缶詰2015年8月号」に掲載した「マイナンバー制度の本質」をお送りします。
マイナンバー制度の本質
前々回のコラム「預金封鎖はあるのか」でいつの間にかマイナンバー制度が決まっていたことが不気味だと書いた。そのマイナンバー制度のことに触れてくれとのリクエストがあったので今回はその特集とする。
1.マイナンバー制度とは
いよいよである。10月5日から日本人すべてに一枚ずつ12ケタの数字(これがマイナンバー)が記載された「通知カード」が配られる。
マイナンバーとは聞こえはいいが、国民総背番号制のことである。
どうでもいいことだが、この番号は一生変えることはできない。おいらは某企業に勤務していたので社員番号をもらっていたのだが(6ケタで最初の2ケタが生まれ年であった)、あれと同じである。会社の中では社員番号で一元管理されていたのである。
マイナンバー制度の表向きの目的は「社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理」するためであると云われている。
だから、住民票や税務署関係資料、年金手帳、健康保険証などの番号が統一されることになる。
確かに一元管理した方が便利である。確定申告のときでも社会保険料控除や医療費控除、保険料控除などが自動的に分かることになり、煩わしい作業が軽減されるのも事実だろう。
それに諸外国では英米独伊など多数の国が導入しており、先進国で導入していないのは日本ぐらいのものである(中韓も導入済)。
しかし、良いことばかりではないのである。
2.申告納税から賦課納税に
マイナンバー制度の導入の本質は、「申告納税」から「賦課納税」に変わることである(この項続く)。
マイナンバー制度の本質(中篇)
2.申告納税から賦課納税に
マイナンバー制度の導入の本質は、「申告納税」から「賦課納税」に変わることである。
これまでの納税は申告に基づいて行われるものであり、申告納税である。だから、あなたは自分の所得を申告しそれに対して課税がなされるというルールであった。
しかし、これからは形式的には申告納税が続くものの、実質的には賦課納税になると考えた方が良い。
これはどういうことかと云うと、申告した内容に不明朗な点があった場合、税務署から「あなたにはこれだけの所得がありましたから、これだけ納税してください」という連絡がくることである。
マイナンバーとは預金はもとより、あなたの株や不動産などの資産を国(税務署のこと)が細大漏らさず把握するということだからである。
預金通帳をいくつかに分けて持っていたとしてもそれぞれにマイナンバーがつくことになるので、税務署はマイナンバーによる名寄せをすれば、一発でお金の流れが分かるのである。
「へそくり預金」や息子や孫などの「身内名義預金」、実家のある人は田舎に預金通帳を持つなどの「疎開預金」も瞬時に捕捉されることになる。
これはある意味で怖い。資産というストックだけではなく、フローというお金の流れまで全てお見通しとなるからである。このマイナンバー制度の導入によって、国税の悲願であったストックとフローの両方をつかむことが可能になるのである。
3.不都合な真実
あなたが会社に勤めているなら、あなたのマイナンバーを会社に報告しなければならない。そりゃそうだ、給料をもらうためにはマイナンバーを提出しなければならいだろう(内閣府は提出しない場合に懲戒解雇はできないとしているが、提出の強制はできるとしている)。
しかし、会社が副業を禁止している場合、マイナンバーを報告すると副業をしていることがバレることになる。そうなると、副業をやめざるを得ないケースも考えられる。
また、主婦などがバイト先をかけもちしている場合、主婦の扶養控除の対象となる103万円を超えていても税務署は納税調査に手間がかかるため、これまでは観て観ぬふりをするという温情もあった。だが、今後は直ちに捕捉されることになり、控除の対象外となってしまうのである。
さらに、さきほど述べた子供名義預金などは親が子供のために結婚式の費用を貯めていたとしても贈与税が課税されてしまうことになる(この項続く)。
マイナンバー制度の本質(後篇)
4.とどめは資産課税
そして、とどめは資産課税である。
前々回も書いたように遠い将来に資産課税がないとは限らない。そのとき、あなたのストックは国に丸裸で把握されているので資産課税がされた場合には逃げ道はない。
金持ちには厚く、貧乏人でも薄く広く課税されてすってんてんである。
おいらにはろくな財産はないので関係がないかと思うものの(それでも不動産やいくばくかの株がある)、空恐ろしい世の中になったと感じざるを得ないのである。
5.マイナンバーの漏えいは懲役または罰金
最後に、もっと恐ろしいことはマイナンバー漏えいのリスクである。つい最近、日本年金機構から大量の年金情報が流出したが、マイナンバーが同じようなことにならないという保証はない。
実際、マイナンバー先進国である米国(社会保障番号。おいらもアメリカに住んでいたのでアメリカのマイナンバーを持っている)でもアンセム保険会社(米国第2位の医療保険会社)が800万人分のデータを盗まれている。
だけどねぇ、中小企業の経理担当者が操作するパソコンが不正アクセスされ、マイナンバーを会社ごと盗まれるなどは今後予想されることである。マイナンバーの漏えいは懲役または罰金となるので、経営者は生きた心地がしないだろう。
そして、一番の問題点は国家レベルで一元管理することである。運用は普通の公務員が行うわけだが、その公務員は情報を漏らさないという性善説で成り立っている。
しかも、完璧なシステムなどない現状で日本国民全員の情報が一元管理されるのである。これほど危険なことはないと思うのだが、いかがであろうか。
マイナンバー制度、それでも今年の10月から実施される予定である。いよいよかぁ(この項終わり)。
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