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さすらいの天才不良文学中年
ブログ開設 小説雑感 箴言
「自由人」事始め(ブログ開設)
「情報の缶詰」新年号に「『自由人』事始め おいらのブログへようこそ」を掲載したので、転載する(一部修正)。
おいらのブログへようこそ
「さすらいの天才不良文学中年」というブログを開設した。
ブログを始めたのは、退職してから約1ヵ月後の今年の8月末である。お陰を持って、デビューから約5月の今日現在延べ約6500人からのアクセスをいただいた。また、2日現在のブログ人気では第8位のランキング(楽天「日記雑談コーナー」)になっている。
ブログとは何か。一言で説明すると、インターネット上での個人版ホームページである。早い話しが、「個人がインターネットで行う情報発信」である。
もともとは、「ウエブ(ホームページのこと)」と「ログ(記録)」とを足して創った造語「ウエブログ」をもじったものであるが、現在では「誰でも簡単に作れるホームページ」を意味したり、「ブログを見た読者がコメントし、開設者がそれに答えるというコミュニケーション機能」などが売りになっている。
したがって、これほど面白いものはない。多数あるブログにアクセスしてみると、開設者の紹介から始まって、日頃の思索や、趣味、凝っていること、美味いもの探し、文学談義、映画評論、色物、バカ話などを無秩序に、同時にそれらを体系建てて読みたい人にはそれなりに読めるようにしてある。
ブログを開設するまでの経緯を述べると、最初はどこのプロバイダー(ブログを運営している会社)にしようかと迷った。既に国内でもブログのプロバイダイーが多過ぎるため、目移りがするのである。
ブログの本や特集雑誌を買い込んでどこにするか仔細に検討したのだが、いずれも帯に短し襷に長しであった。結局、内容が充実しているライブドアを選択、「輝け中年の星探検隊」としてスタートしたのだが、フリーページ(項目建て)の編集が使いづらく、しかもリスポンスが悪い。したがって、わずか二日目で使い勝手の良い楽天に変更した。
これを機にブログのタイトルは「さすらいの天才不良文学中年」、設定者のニックネームは「さすらいのカンチョーマン(つるぎかずを)」とした。さすらいのカンチョーマンに特に深い意味はない。
おいらのブログの謳い文句である。
「さすらいの天才不良文学中年、つるぎかずをのブログ。筆者は一部上場企業を早期退職し、現在フリー。さすらいを愛し、こころの放浪を求め、新しいスタイルの生き方を模索中。つるぎかずをの新しいスタイルの生き方を通じて、日本の企業文化や団塊の世代に新しい風を送り込む。」
情報発信である。初めのころはそう思って気取って書き込みをしていたが、それでは長続きしないと気付き、いつものおいらのペースに戻した。これが良かったようで、最近はブログに書き込むと自動的に閲覧する人が多くなり、書き込みと同時にアクセス数がどっと増える。
これまでの延べアクセス(閲覧者)数の推移を見ると。
1000アクセス 10月10日(デビュー後 42日目)
2000アクセス 10月24日(デビュー後 56日目)
3000アクセス 11月14日(デビュー後 77日目)
4000アクセス 12月 5日(デビュー後 98日目)
5000アクセス 12月18日(デビュー後111日目)
であった。
母の看病のため半月ほど自宅を離れ、その間書き込みを休むとアクセス数がぱったりと途絶える。それを考慮に入れても、1日当たり平均約50名の読者が閲覧していることになる。
すでにホームページを開設している某氏の解説によれば、1000アクセス達成までが一つの山で、それを過ぎると伸び悩むか伸び続けるかに二分されるとのことである。幸い、伸び続けており、有難いことだ。
さあ、それでは、おいらのブログをお楽しみに。お代は見てのお帰り、いや、いただきません~。「つるぎかずをワールド」へごゆっくり、どうぞ。
何故一人か
この世界に足をつっこもうとしたときに、元上司からこう言われた。
「同人誌に入ったほうが良い」
この人は、そういう人なのだなと思った。
元々、ものを書くにあたって、徒党を組むつもりはない。確かに同人誌の中で力を付けて、そこから這い上がるという方法もあるのだろう。また、組織の力を使うという手もあるだろう。しかし、そうするつもりはない。
一匹狼で行く。
むしろ同人誌に入るのであれば、小説作法を教えるカルチャー・スクールの方がまだ良いと思う。ああいうところのテクは意外に馬鹿に出来ない。何時の世も予備校は捨てたもんじゃない。
しかし、おいらはそこにも行く気がしない。自分の才能を信じているからだ。自分の世界を大切にしたいからだ。早い話しが、書きたいものが書けるのだ。執筆中は、神が脳に宿っている気がするのだ。おいらが敢て、一人でやっているというのは、そういう背景があるからだ。
ただし、自分の作品を客観的に見つめることだけは、絶対に必要であると思う。そのため、原稿を第三者に(編集者のように)見て貰える人がいるとしたら、それは最高である。これについては、稿を改める。
第三者の眼
今月2日の「稿を改めるとした」続きをする。おいらの場合、この編集者の役目を自主映画界の鬼才、S氏に依頼している(写真はマルクス3兄弟)。
S氏とは古い付き合いで、「俺、お前の仲」である。旧横浜映画専門学校出身、今村昌平門下で自主映画をプロデュースし、自身も映画出演の数は多い。最近では、来月初旬都内某所上映予定の自主映画で準主役を演じている。
その彼にはいろいろな助言をお願いしている。映画の手法による貴重な眼によって、おいらの作品を客観的に見ることが出来るのだ。
二人でやりとりする議論は実に面白い。そこで、最近、彼とのコラボにより、短編小説を一つ創り上げることに成功した。無論、ペンネームも二人で新しいものにしてだ。
いわば、エラリー・クイーンの日本版もどき誕生である。日本で言えば、藤子不二雄と同じである。したがって、このコラボ作品も、そのノリで先月末に某新人賞へ既に応募した。
彼とは、おいらの作品の批評と並行して、今後も創作を続けていく予定である。
アフォリズムに思う
気の効いたアフォリズム(箴言=「しんげん」などと訳す)にはなかなかお目にかからない。
それでも気に入ったアフォリズムを見付けると手帳に書き込むことにしている。例年そうしていると、年間で10個から20個程度のアフォリズムが溜まってくる。
先日、過去5年間のこの箴言を読みなおしてみた。新年になって手帳が新しくなったからである。
さて、本日はその中から気に入っているものをいくつか紹介しよう。
「人生とは日々持ち時間を失っていくということ」(車谷長吉)
「Make difference」(作者不詳)
「There are no second acts in American lives」
(人生に第二幕はない。F. Scott Fittgerals)
「人間は金の奴隷ではない」(作者不詳)
「見るべき程の事をば見つ。今はただ自害せん」(平知盛)
「人間は老いるほど夢が必要になる」(作者不詳)
「能力はすなわち情熱である」(尾崎士郎)
「天狗屋久吉おとまりの芸」(宇野千代。これには解説が必要である。名人芸だと思われるようになっても、その芸は日々進歩しなければ名人芸にはならない。慢心し、芸がストップしてしまうことを「おとまりの芸」と呼ぶのである)
「世の中は地獄の上の花見かな」(作者不詳)
「うつし世は夢 夜の夢こそまこと」(江戸川乱歩)
「Stay hungry and stick with you」(作者不詳)
「Some dance to remember, some dance to forget」(ホテルカリフォルニアの詞の一部)
「歌一つおぼえるたびに星ひとつ 熟れて灯れるわが空をもつ」(寺山修司)
アフォリズムを手帳に書き込んでいくのが愉しみである。
最後の1分間
誰が云った言葉か知らないが、「最後の1分間に全ての仕事が完成する」というのがある。
例えばこの文章だってそうである。考えて考えて考え抜いて、書き上げるのだが、最後の1分間に全てが完成すると云っても過言ではない。
逆に云えば、最後の1分間がなければ、このブログへの書き込みも完成はしないのである。
神が細部に宿るのも、最後の1分間である。その1分の間に推敲が完成し、神は細部に降臨するのである。
つまり、仕事(小説、文章)は、最初の段階でグランドデザインが決まり(戦略が決定する。小説の場合は、構想が起承転結となる)、力仕事である作業(戦術を駆使する。小説の場合は執筆となる)が骨の部分となり(骨を折る)、そうして最終段階を迎え、最後の1分間となるのである。
いやはや、この最後の1分間で全てが決するのである。ちょっと云い過ぎかとも思うが、勝負(株屋)の世界でも「掉尾(とうび)の一振り」と云うではないか。
最後の仕事、疎(おろそ)かにするではない。
直木賞最年長記録
今年の座右の銘を「老年よ大志を抱け!」とした。
そこで、と云う分けでもないが、直木賞の最年長受賞者を調べていたら、今年上半期の芥川賞の受賞者が黒田夏子さんに決まった。
75歳で最年長記録を更新したという。それまでは森敦さんの61歳であったから大幅な更新である。
いや、直木賞である。
正解は、星川清司さんの68歳(二番手は、古川薫さんの65歳)。
よし、最年長まではまだ期間があるのぅ。
老年よ、大志を抱け。
Nさんの教え(前篇)
本日より3日間は、関ネットワークス「情報の缶詰1月号」に掲載された「Nさんの教え」をおおくりします。
Nさんの教え
母は突然脳梗塞になり、先日、他界した。百か日も済ませ、落ち着きを取り戻すようになったが、一つ困ったことがあったので書く。実家の権利証などを母がどこにしまい込んでいたのかが全く分からなかったことである。
1.貴重品のありか
母はおおらかな性格であったが、貴重品の管理はしっかりとしていた。一人住まいであったために、泥棒に入られても貴重品のありかが分からないようにしていたのである。
それはそれで良いのだが、困ったのは残されたおいらである。預金通帳のありかさえ分からなかったのである。
これは、母自身もある日突然脳梗塞で倒れるとは思っていなかったためで、そういうことを書いたメモなど残していたわけではない。
懸命な治療とリハビリのお蔭で一時は杖をつけば歩けるまでに回復したが、言語機能は失ったままであったので、質問しても答えられなかった。
母の生前は無理をしてまで探そうとは思わなかったが、相続をしなければならなくなったので、さすがに家探しをすることになったという経緯である。
2.衣装ダンス
一人暮らしの方が亡くなって、マンションやアパートを退去しなければなくなると、遺族が遺品整理屋などにお願いして、一切合財の家財を処分するという話しを聞く。
部屋いっぱいに生活臭のある家財が残されていた場合、短期間での処分は並大抵の苦労ではないだろう。
幸い、母は実家で亡くなっているので、そういう整理屋に依頼する必要はない。ただし、当面は実家を留守にするので、家の権利証や貴重品だけは探し出しておき、後は時間をかけて遺品整理をすることに決めた。
ところが、どこを探してもこれが出てこないのである。母さん、さすがである。これでは、泥棒もすごすごと引き下がざるを得ないだろう。
家探しの結論から述べると、預金通帳などの貴重品は二階の透明なケースの衣装ダンスの中に忍ばせてあった。普段着のなかにさりげなく隠してあったので、これを探すのは至難の業であった(この項続く)。
Nさんの教え(中篇)
2.衣装ダンス(続き)
また、家の権利証は書類の束の中にしまってあった。だから、書類を一つ一つチェックしないと見付からなかったのである。
仏壇の中に貴重品を入れるなど、誰でも思いつくところには隠していない。母さん、あっぱれである。
しかし、このことで思ったのは、おいら自身のことである。おいらも突然母と同じ状況にならないとは云えないだろう。もしそうなった場合、貴重品のありかを全て家内に話しているわけではない。
特に預金通帳や株関係の書類などはネットで管理していることもあり、万が一のことがあった場合、少々厄介なことになるかも知れない。このことは他山の石として、家族に迷惑をかけないようにしなければならないと思った次第である。
3.Nさんの教え
さて、表題の「Nさんの教え」である。母は大の読書好きであり、筋金入りの手紙魔であったから膨大な書類が残されていた。
先ほど述べたように、その書類を一件、一件チェックしたので、畢竟、書類の中に興味のあるものを多く見つけることができた。困ったことは、その都度おいらの手が止まることであった。ついつい内容を読んでしまうのである。
その中の一つに母の老人大学時代の友人であるNさんからの手紙があった。これが面白い。
「一年は長いが、六十年は短い。その間、私は何もできなかった。大きなことも小さなこともできなかった。反省の繰り返しである」で始まる文章は達人のそれである。
「小学校を卒業して海軍の機械工場に就職した。そのときの算術の試験問題に『寒暖計の摂氏と華氏の目盛りが、同じ目盛りになるのは何度か』とあったが、全く解けなかった。
また、国語では『リュウコウセイカンボウはますますショウケツを極む』のカナを漢字にせよの問題で、流行性感冒は何とか書けたが、ショウケツは歯が立たなかった。
これらのことなど未だに忘れることができない。(中略)(この項続く)
Nさんの教え(後篇)
3.Nさんの教え(続き)
十八歳のときに従弟の海軍士官から次の処世訓をいただいた。
健康であること
人に好かれること
努力すること
この人生訓を常に口ずさみ実行を心掛けたが、未だに達していないことに気付く。健康であろうとしたが、飲めば酔い、酔えば飲むので内臓障害になると悟ったときにはあまりに人生が過ぎていた。悔いが残る。
人に好かれることとは、不平不満を云わず、絶えず感謝し、人の嫌がることを実行することだと気付いたときにはもう遅い。悔いが残る。
努力するとは、ただ努力するだけではなく、努力の中に創意工夫を加えることだと気付いたのは晩年であった。悔いが残る」
Nさんのような年配の方の興味深い話しが聞けるのである。
歳を取るということは、人生を知ることである。母はそのことに早くから気付いていたように思う。だから、侏儒の言葉のように気に入った内容の手紙、新聞や雑誌の切り抜きを大事に保管していた。母はこのような貴重な手紙や書類を山のようにおいらに残してくれたのである。
次は、母が残した、叔父さんの言葉である。
「最近気付いたのですが、人の一生はものごとを得る過程と失う過程の組み合わせだと思うようになりました。
両親によって命を得て、友を得て、家族を得て、仕事を得ることになります。だが、あるときから両親を失い、友を失い、仕事を失い、健康を失います。
最後に立って半畳、寝て一畳という自分の居場所を失います。
世間では『人は必ず死ぬ』と教えています。
しかし、死を目前にしたものにとっては自分一人だけが死ぬわけで、世間の皆は死なないのです。ここに人生の孤独の根本があると思うのです」
どうです。ディープでしょう。
最後に母が好きだった言葉で締めくくる。
「人生において多くの美しきものを手に入れたものは、そのかわり、多くのものを提供しなければならない。
自分の苦悩をまぬがれたものは、他人の苦悩を軽くする責務を負うべきである。
わたしたちはこの世に存在する不幸の重荷を一緒に担わなければならない」(シュバイツァー)(この項終わり)
なお、昨日の試験問題の解答は、「マイナス40度」と「猖獗」です。
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