福岡市個別指導学習塾慶應修学舎の記憶「石橋の思考」

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2026.01.07
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テーマ: コーチング(184)
カテゴリ: 政治経済論
福沢諭吉はかつて、「愚民の上に苛き政府あり」という言葉を残しました。この一文は、今なお強い響きをもって私たちの胸に迫ってきます。ただし、この言葉は誰かを見下すためのものではなく、「民主主義における責任の所在」を静かに問いかける警句だったのではないでしょうか。

本記事では、この言葉を出発点に、「愚かで貧しい有権者は、愚かな政治家しか持てないのか」という問いを、丁寧に掘り下げていきます。答えを断定するのではなく、考えるための材料を共有することを目的とした文章です。

「愚民の上に苛き政府あり」とは、福沢諭吉の『学問のすゝめ』に出てくる言葉で、「無学で愚かな国民の上に、厳しい(苛烈な)政治があるのは、政府が悪いのではなく、国民自身が自ら招いた結果である」という意味です。賢い国民には良い政府があるが、愚かな国民には厳しい政治が似合う、という理屈であり、国民が学問して徳を積むことで、より良い政治(寛仁な政治)が実現するという、国民の自覚と学問の重要性を説いた言葉です。


■ 福沢諭吉の言葉が示す本当の意味

「愚民の上に苛き政府あり」という言葉は、しばしば刺激的に引用されます。しかし福沢諭吉が本当に伝えたかったのは、「国のあり方は、国民一人ひとりの知と行動の総和によって形づくられる」という厳しくも誠実な現実だったと考えられます。

ここでいう「愚民」とは、生まれつき能力が低い人を指す言葉ではありません。「考えることを放棄し、学ぼうとせず、判断を他人任せにしてしまう状態」を意味していたのではないでしょうか。つまりこれは、誰もが陥る可能性のある姿なのです。

■ 「愚かな政治家」は突然生まれるわけではない

私たちは時に、「政治家が悪い」「政府が信用できない」と感じます。その感情自体は自然なものです。ただ、少し立ち止まって考えてみたいのです。

政治家は、真空から生まれる存在ではありません。選挙という制度の中で、「有権者の選択」によって舞台に立っています。つまり、「どのような政治家が選ばれるか」は、「どのような基準で、私たちが判断したか」と深く結びついています。

ここで大切なのは、「責任を責め合うこと」ではありません。「政治の質は、有権者の関心と理解の深さに比例する」という、少し苦い事実を受け止めることなのです。

■ 「貧しさ」と「愚かさ」は同じではない

「愚かで貧しい有権者」という表現には、強い違和感を覚える方も多いでしょう。その違和感は、とても健全です。

なぜなら、「貧しさ」は個人の努力不足だけで生まれるものではなく、社会構造や時代背景、教育格差など、複雑な要因によって生じるからです。そして、「貧しいから判断力が低い」という考え方は、決して正しくありません。



■ 民主主義は「参加型の制度」である

民主主義とは、選挙の日だけ参加する制度ではありません。「日常的に社会に関心を持ち、考え、対話を重ねること」そのものが、民主主義を支えています。

・ニュースを一つ深く読むこと ・異なる意見に耳を傾けること ・分からないことをそのままにしないこと

こうした小さな行動の積み重ねが、「政治を育てる力」になります。「無関心」は誰も傷つけないように見えて、実は社会全体を静かに弱らせてしまうのです。

■ 「私たちは、どんな政治を望んでいるのか」

「愚かな政治家しか持てないのか」という問いは、裏を返せば、「私たちは、どんな政治家を望んでいるのか」という問いでもあります。

短期的な得だけを求めるのか、長い時間をかけて社会を良くしようとする姿勢を評価するのか。分かりやすい言葉だけを信じるのか、地味でも誠実な説明に耳を傾けるのか。

その選択の積み重ねが、やがて「政府の姿」となって現れます。

■ おわりに:「問い続ける市民」であるために

福沢諭吉の言葉は、私たちを突き放すためのものではなく、「目を覚ましてほしい」という願いだったのではないでしょうか。

「民主主義は完成形ではない」。だからこそ、「考え続ける市民」が必要とされます。完璧である必要はありません。ただ、「自分の頭で考えようとする姿勢」だけは、手放さずにいたいものです。

「愚民の上に苛き政府あり」という言葉を、絶望の言葉としてではなく、「希望への警鐘」として受け取り、今日より少しだけ社会に目を向けてみる。そこから、静かな変化は始まっていくのだと思います。





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Last updated  2026.01.07 20:51:22
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