「101歳の手品師」
ある介護施設に、少しだけトランプの手品ができる101歳のおじいさんがいました。彼は毎日、肌身離さず古びたトランプを持ち歩いています。
ある日、施設に実習に来ていた若い学生が、将来への不安で落ち込んでいるのを見かけ、彼はこう言いました。
「トランプの数字を全部足すと、いくつになるか知っているかい?」
学生が首を振ると、彼はゆっくりと計算を教えました。
「1から13までを足すと91。それが4つのマーク分で364。そこにジョーカーを1枚足すと……365。ちょうど1年分になるんだよ」
おじいさんは、束の中から「ハートのA(エース)」を一枚抜き取り、学生に手渡してこう続けました。
「トランプの1枚1枚は、君が過ごす1日1日と同じ。時には『ジョーカー』みたいな最悪な日もあるけれど、それをどう使うかは君という手品師次第なんだ。
ほら、君の手元には今、『新しい始まり』を意味するハートのエースがある。明日はきっと、いいカードが引けるよ」
その言葉と、100年以上を生き抜いてきた彼が繰り出す不器用で優しい手品に、学生は「自分の人生というゲームも、まだこれからだ」と勇気をもらったそうです。
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