BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2009年04月02日
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池の辺の桜並木、はらはらと散り行く桜の中を歩く、幽かに聞こえる宴の声、空に輝く月が二人の姿と桜を照らし、青い夜に陰影を付けていた。
二人の間を春の冷たい風がすり抜けて行き、それと同時に藤野がくしゃみをした。
「大丈夫ですか?」
「うん、少し冷えるな」
「そうですね、ここは人気がないですけど水辺ですから風が他所よりも冷たいのかも、先輩、ここに座っていて下さい、暖かいもの買ってきますね」
近くに有ったベンチに藤野を座らせ、勢い良く駆け出す栢山を見送ると藤野は水辺に輝く月と光に照らされる桜を眺めていた。
静かな夜、水に映る月は時折枝から放れた花びらが波紋を作り姿を変えさせた。
それが面白いと藤野は思う、そして昨年栢山に連れられて行った小高い丘に咲く老木の大きな桜を思い出す。
そのときだった、突風が桜の花びらを巻き上げると同時に藤野のコートも風に呷られ死角を作る。
こんなことがあるのだろうか?藤野は思う。
その時だった、池の中州に何かが舞い降りた様に見えた。
けれどそれは一瞬で人なのかあやかしなのか、それとも桜が魅せる幻想なのか?
風に閃く桜の花びらが舞い降りた天女の様に思えた藤野は目を瞬かせ、水辺を凝視したが風の過ぎ去った池は静寂を取り戻し、先ほどまでと変わらぬ光景がそこには有った。
随分長い間その場所にいた気がしていた、今だ帰らぬ恋人を想い瞳を閉じた時だった。
後ろから手が伸びて胸に抱えられた。
「ごめんなさい遅くなって」
頬に当てられた缶コーヒーの温もりが心地よい、渡された缶コーヒーのプルタブを開け、一口飲み込む、時間が掛かった割には冷めていない。
「お帰り」
隣に座った栢山の片に頭を預ける。
「どうしちゃったんですか?」
「なんだか凄く長かった気がして。。。」
「そう?5分位だと思いますよ」
コーヒーを飲んでしまった栢山がいう。
「そろそろ帰りましょうか?」
藤野は栢山のネクタイを引っ張って口付けて微笑む。
「また、あの老木の桜見に行かないか」
「ええ、あそこはまだ咲いたばかりでしょうね。」
そういってベンチを立つと二つの影は歩き出した。

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最終更新日  2009年04月02日 01時23分36秒
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