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BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮ください。R-18
その手がその唇が総てを消し去ってくれるようだった。
全の動きに律動を合わせると快感が増して僕を酔わせた。
全の熱に浮かされたような瞳が眩しそうに細められて唇が落ちてきた。
「愛してる。。。」
今までにどれほどこの言葉を口にしただろうか?
全にはどれほど伝えただろうか?
「。。。愛してる。。。」
返された言葉は何処か悲しげで切なかった。
「お願い。。。離さないで。。。」
その言葉には答えは無かった。
その代わり与えられたのは激しい律動と快感だった。
覚えていたのはそこまでだった。
目が覚めた時、全の姿が無かった、不安と焦燥感に襲われたのだったがただ、夢ではないのは全身の痛み、今でも残っているのと手に付いた拘束の痕が擦れていた。
そのとき、全が現れた。
「起きた?」
「。。。全。。。」
「なに?幽霊でも見てるって顔だよ」
幸せだった。
こうして静かに二人で過ごせたら良かったのにと思ったけどそれは許されない事なんだと思ったら悲しくなった。
「背中のそれ消してしまおう、手当てもしなくてはならないね」
なんだか明るい全の声、分かっているからこそ明るく振舞おうとしてるのだろう。
「お前、瀬戸さんの元に行くんだろ?」
「うん、だけど。。。ほら。。。引っ越すのは年明けだし。。。」
「そう。。。うつ伏せに成って背中を見せて。。。冷たいだろうが少し我慢して。。。」
なんだろう、穏やかだった空気が一変、重く沈んだ。
「全。。。」
「なに?さあ早く、落ちなくなったらやばいだろ」
「う、うん。。。」
全の顔を見たいって思ったけれどそれは叶わなかった。
何を思って背中のマジックで描かれた薔薇を消しているのだろう。
「少し我慢して」
背中に化粧水のようなものが垂らされた、ヒンヤリとしたけれどそれは直ぐに体温と馴染んだ。
背中で動く全の手が優しくマッサージをするように撫でられた。
「や、全。。。だめ。。。」
「お前ねぇ、そんな声出したら俺が抑えられなくなるだろう?」
「違う。。。だってくすぐったいんだもん」
「はいはい、分かったからもう少し我慢してくれよ、そしたら腕を手当てだ」
背中を撫でる手、やっぱりくすぐったいには変わらない、極力抑えるようにするけれどやっぱり声が出てしまう。
「よし、綺麗になった、タオルで拭くからまだ動かないで」
「うん」
「見る?」
「うん」
僕の縦長の鏡、あの時、厭らしい姿を映したもの、忌々しい感覚が蘇る。
だけどそこにはもう、厭らしい姿も薔薇無かった。
「ありがとう」
「お前にそんなこと言われるのはどれぐらい振りかな、さぁ、手を出して。。。」
「うん」
手際よく手当てを程していく全の顔、また、眼鏡に阻まれて表情は分かり辛い、抱かれる時に見た、全の熱に浮かされたような瞳をもう一度、見たいって思った。
「ねぇ、全、眼鏡は外さないの?」
「だって俺、これねぇと不便だよ」
「コンタクトにすれば良いじゃない」
「バカ、素顔を見せるのはお前だけで十分だ」
抱き寄せられて額にキスされた。
なんだかくすぐったい、甘いひと時だって思った。
ふと全の素顔が見たくなったから眼鏡のフレームを摘まんで眼鏡を取り上げた。
綺麗な整った顔が目の前に現れた。
僕はその眼鏡をかけて見るとそれは度の入っていない伊達眼鏡、全を見上げて首を傾げた。
「ばれちゃったな、だから言ったじゃない素顔はお前だけに見せるって」
僕は真っ赤に成った。
だって全がそんなことを考えていたなんて、ずっと視力が悪いのだと思い込まされていたんだ。
「さあ返して、君には似合わないよ」
ひょいと眼鏡を取ってもとの位置に戻すと綺麗な顔は隠れてしまった。
「なんでそんな紛らわしい事するの?」
「こんなダサイ眼鏡掛けてれば言い寄られる事は少ないだろ」
なんだか僕に対する嫌味のような聞こえた。
「怒った顔たかも可愛いな」
「ば、バカ。。。」
全の身体を手で押した。
「はい、はい、じゃあ俺、帰るわ」
「え?仕事。。。」
「ああ、そんなところ」
「下まで送るよ」
「身体辛いだろ、良いよ」
「見送りたいんだ」
「そう、服、着ろよ、待ってるから」
笑顔を向けられた。
優しくて甘い顔だった。
急いで起きて服を着た、身体が辛いけどここで全と別れるのは嫌だと思った。
その時、視線を感じた。
「見ないでよ」
「なんで?脱いでる姿は何度も見てるんだから恥ずかしがる事ないじゃない、着てる姿も良いもんだね」
「なんだか照れくさいよ」
「そう?俺はいいもの見せてもらってる」
「ば。。。ばか。。。」
「バカ、バカって言うな」
全が笑ってる。
柔らかい時間が流れる。
「全、準備出来たよ」
「ああ、そうだな」
ドアを出る時眼鏡を外した全に引き寄せられた。
長い、長い、キスだった。
離されて息が上がった。
「感じた?」
「ば。。。バカ。。。」
「さよならのキス。。。」
冗談めいた言葉だったけどズキリと心が痛んだ。
僕が言わなくていけない言葉だった。
「全、嫌だよ。。。」
「顕一、終わったんだよ。。。ここでお別れだよ」
「そんな事言わないで下まで付いて行く」
全は仕方ないって顔でドアを開けると外に出た。
勿論、僕も後に続いた。
その時だった黒い影が僕らの方に突っ込んで来た。
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